20 歓迎会!
――放課後生徒会室にて――
俺は今、とても重要な場所にいる。
これで、俺の生徒会活動に対するモチベーションが変わるかもしれない。
「本当に入るつもりなんですね?山岸 鶫 さん」
「はい」
迷いを感じさせないほど、真っ直ぐな瞳で東雲先輩を見る山岸。
そんな山岸に、余計な事を言う犬飼さん。
「つぐっち、本当にいいの?。人前に立つことだってあるし、朝、早くから挨拶活動があったりして、大変だよ?」
貴方は黙って下さい!
山岸が入りたいと、言っているのだから、それを尊重してあげたらどうですか!
そう思う俺だが、その心配は要らなかったようだ。
「うん、大丈夫」
「では、生徒会、加入と言う事でいいですね。皆さん」
「私は大歓迎です!」
山岸が生徒会に入る。
人も増えてうれしいし、あの山岸が入ったことで、俺のモチベーションも上がる。
とてもいいことづくめだ。
「初瀬君はどうですか?」
「はい!俺も大歓迎です!」
「では、これからお願いしますね。山岸さん」
「はいこちらこそお願いします!私、精一杯頑張ります!」
二人は、固い握手を交わした。
「では、つぐっち!このマニュアルを読んでくださいね!」
「無理せず、ゆっくり覚えてくださいね」
「そうそう、東雲様が言うようにゆっくり覚えてください」
「東雲様?」
と首をかしげる山岸。
山岸は、まだ知らないのだ。
犬飼が、東雲のメイドをしていることを……
こうして、山岸が生徒会に入った。
とてもめでたい事だ。て言うか、俺が入った時よりも、犬飼さんが優しくて羨ましいです!
ーー山岸が生徒会に入った後のことーー
今日は、生徒会の用事もなく、みんな予定もないため、折角という事で、俺と山岸の歓迎会をやる事になった。
「それでは、山岸さん、初瀬君。そして、犬飼さん。これからよりよい生徒会にしていくために、頑張りましょう」
「はい!お互い頑張りましょう!」
そう言うとテーブルに置かれていた、沢山の料理を頬張る犬飼さん。
そんな姿に笑う、山岸。
呆れるように、ため息をついた東雲先輩
「太りますよ犬飼さん」
「大丈夫です!私は、食べても太らないタイプだと言い聞かせていますので!」
そんなことをしたところで、太らないとは限らないが……この犬飼さんのスラリとした体型は、このおまじないからきているのかも、知らないので、一概に否定はできない。
「こう君、頬っぺたにクリームがついているよ」
俺が食べているプリンアラモードのクリームだろう。
山岸にこんな恥ずかしい所を見られた!
近くに穴があれば入りたい気分だ!
「あ、ありがとう山岸」
「ど、どういたしまして」
さっきの言葉は前言撤回。
クリーム様!ありがとうございます!
まさか、山岸にクリームを取ってもらえるとは!
こんなこと、幼少期以来の快挙だ!
さて、こんなご褒美をしてくれた山岸に、今度は俺の番だ。
「良かったら、クリームを取ったお礼として、どうかな?」
「えっ、良いの?」
「うん、食べて」
「じゃあ、一口貰うね」
と山岸は、美味しそうにパフェを食べた。
やっぱり、山岸の笑顔は可愛い。
「こう君にもお返し。一口どうぞ!」
「えっ、良いの?」
「うん、良いよ」
「じゃあ、遠慮なく……」
はぁ~なんて幸せなんだ!
ご褒美を2回もくれるとは!
もう、言い残す言葉はない!
すると、東雲先輩は笑った。
そして、こう言った。
「なんでしょうか……お二人は、なんだか、新婚ほやほやのラブラブ夫婦みたいですね」
「ふ、夫婦!?わ、私たちがですか!?」
と顔を真っ赤にする山岸。
山岸と夫婦……
「おかえりなさい、あなた」
「あなた、今日もお疲れさまでした」
「あなた、ご飯にするそれとも……」
これは、いいかも……
と思っていると、犬飼さんが咳ばらいをし、俺を睨んできた。
俺は、東雲先輩の言葉を慌てて否定した。
「東雲先輩、俺達が夫婦なんて、大袈裟ですよ」
「でも、二人はなんだか、お似合いで、羨ましいですよ」
「そ、それは、俺達が昔からの幼馴染で、親友に近いほど仲が良いからですよ」
「二人は幼馴染なんですか?」
「そうです。小さいころからの幼馴染です」
「そうですか……そうなると……」
東雲先輩は黙り込む。
「あの、東雲先輩?」
「あっ、いや何でもないです」
どこか慌てた素振りを見せた東雲先輩。
そこに違和感を覚える山岸。
東雲先輩は自分のスマホを取り出し、時間を見た。
「そろそろ、お開きの時間にしましょうか?」
こうして、俺達の歓迎会は終わった。
「では、私たちはここで」
「分かりました」
「今日はありがとうございました」
東雲先輩と犬飼さんと別れ、今、俺は山岸といる。
そのうち俺は、死ぬのだろうか?
ここ最近は、山岸と居る時間が多い。
今の段階で、相当運を使い果たしている。
て言う事は、やっぱり俺は死ぬ!
いやいや、そんな事よりも、山岸と会話をしなければ!
無言のまま、二人で帰宅なんて、この時間の無駄使いだ!
とりあえず、会話だ。
「そういえば、なんで、山岸は生徒会に入ったんだ?」
「私ね、変わりたいの。今までの自分は、引っ込み思案で言いたいことも言えず、みんなに流されていただけ、だけど、この生徒会を通して変わりたい!そして、私、ある人にある思いを伝えたい!だからね、生徒会に入ったんだ。それが、一番の理由かな」
なるほど、それが一番の理由……うん?一番の理由と言う事は、他にも理由があるということだよな……
「あっ、ごめんね。こんな話を聞いてもつまらないよね」
「ううん、そんなことはないよ」
一番があると言うことは、二番もあるよな……だとしたら
気になる!全然つまらなくない話ではないか!
なんなら二番目の理由を聞くべき!
と俺は二番目の理由を聞こうとした。
だが、先に山岸にこう聞かれた。
「こう君はどうして、生徒会に?」
「えっと、俺は、東雲先輩に誘われて」
「えっ!?東雲先輩に!すごいねこう君……」
別に凄いわけではない。
許嫁と言う関係と言う事で、東雲先輩との関係が深まり、何だかんだで、今に至るだけだ。
凄いと言うなら、山岸の方が凄い。
自らを変えようと言う理由で、東雲先輩にお願いをして、生徒会に入ったのだから、俺の数倍はすごい。
こうして、たわいもない話をし、山岸と帰った俺。
久しぶりに、山岸と帰って楽しかったし、山岸の良いところを見つけられて良かった。
こうして、次の日から生徒会の挨拶活動が始まるのであった。
読んでくれてありがとうございました!
次回もよろしくお願いします!