19 生徒会活動
生徒会に入った俺は、次の日から早速、挨拶活動に参加することになった。
「おはようござます……」
「声が小さい!」
「おはようございます……」
「やる気あるのですか!」
「おはようございます!」
「まだまだ、足りません!」
と朝の挨拶活動に参加した俺だが、俺は朝から犬飼さんに大きなメガホンでしごかれている。
俺達の前を歩く生徒には、俺達を見て、クスッと笑う生徒も……
こんなことをされるために生徒会に入ったわけではないのだが……
それにしても眠い……
「やる気あるのですか!初瀬さん!」
「犬飼さん、ちょっと初瀬君に厳しいですよ。初瀬君はまだ初日。多少は大目に見てあげてください。それに他の生徒に注目されていて、恥ずかしいですよ」
流石東雲先輩!
全てがごもっともです!
「す、すみません」
頭をペコペコ下げる犬飼さん。
それを見ていると、なんだかスカッとする。
「初瀬君。貴方ももう少し、やる気を出してください。私達は、他の生徒の模範にならなくてはいけない組織です。朝は眠いかもしれませんが、しゃっきりしてください」
「すみません……」
クスクス笑う、犬飼さんの横で、俺も東雲先輩に注意されるのであった。
その後、注意を受けた俺は、気持ちを変え、挨拶活動に励んだ。
「おはようございます!」
「おはようございます!」
「おはようござまいます!」
最初はだるいな……なんて思っていた挨拶活動だが、こうして真面目にやると気分がいい。
なんだか、朝から頭が冴えている感じだ。
そんな事を思っていると見知った顔が現れた。
「こ、浩介!お前どうしてここに」
そう驚くのは俺の友達 浜田 裕だ。
そういえば、まだ、誰にも生徒会に入ったことを教えていなかった。
「俺、昨日から生徒会に入ったんだ」
「なに!さてはお前!そこにいる東雲先輩を狙っているのか!」
「そんな訳ないから」
「本当か……」
と疑われる俺だが、実際のところ東雲さんは狙ってなんていない。
もう、狙ったと言った所だろう。
まぁ、こんな事は本人は絶対に言えないが……
「初瀬君、おしゃべりもいいですが、活動もしっかり、やってくださいね」
「すみません……」
「あと、そこの君、ネクタイが緩んでいますよ」
と東雲先輩は、浜田のネクタイを直す。
浜田は下を伸ばしデレデレだ。
なんだか、その姿が、まるで新婚ホヤホヤの夫婦みたいだった。
「じぁ!あとは、頑張れよ!」
とネクタイを直して貰い上機嫌な浜田。
浜田はスキップをしながら去る。
全く、単純な奴だ。
――その後――
俺の挨拶活動は、続きあと少しで終わりを迎える。
そんな時、俺はある人物と遭遇した。
「あれ?こう君?……」
目の前に現れたのは山岸だ。
今日も可愛い……じゃなくて
「どうして、こう君がここに」
「俺、生徒会に入ったんだ」
「そうなんだ。頑張ってね。私、応援しているから」
「あれれ!つぐっち!?」
おはよう!と言った瞬間、山岸を抱きしめた犬飼さん。
なんて羨ましい光景なのだ。
俺も犬飼さんみたいに、山岸を抱きしめたいもんだ……
あっ、違う違う……俺はもう山岸の事は……
「犬飼さんも、生徒会に?」
「そうだよ!私も生徒会に入っているんだ!」
「そうなんだ」
「ちょっと二人とも、まだ、挨拶活動は終わっていませんよ」
「すみません、東雲先輩」
「いますぐ、持ち場に戻ります!」
「全く……」と俺達に対して、ため息をついた東雲先輩。
東雲先輩は、山岸に「お時間を取らせてしまい申し訳ございません」と謝ると東雲先輩も、持ち場に戻ろうとした。
すると、山岸が東雲先輩に声をかけた。
「あっ、あの東雲先輩!」
「はい、何でしょうか?」
「そ、その!私を生徒会に入れて貰いませんか!」
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