18 生徒会の誘い
俺は、今、東雲先輩から生徒会に誘われた。
東雲先輩から、生徒会に誘われたのは光栄だ。
だが、生徒会に俺は入っても良いのだろうか?
生徒会と言うのは、成績が優秀な人が入る場所で、一般生徒や俺みたいな馬鹿が踏み入れてはいけないところのよう気がするが……
「別に、私がいるので、無理して入らなくても、大丈夫ですから!」
俺を睨む犬飼さん。
多分、俺が生徒会に入る事で、東雲先輩を独占でき無いではないかと、危惧しているのだろう。
でも、安心してください。俺は生徒会なんて言う所には入るつもりは全くありません。
「東雲先輩、気持ちは嬉しいのですが、この件は断らせて貰います。俺にとってはハードルが高いです」
「よし!」と言わんばかり、小さくガッツポーズを見せた犬飼さん。
一方、俺の言葉に東雲先輩は瞬きを何回も繰り返した。
そして、こういった。
「ハードルが高いですか……一体、どのようなところが」
東雲先輩は、天才だから、俺みたいな凡人以下の気持ちなんて分からないだろう。
「えっと、生徒会と言うのはその……優等生が集まった組織という感じで、俺には……」
その瞬間、東雲先輩は笑った。
「別に皆が優等生ではありませんし、優等生だろうと優等生じゃないと、関係ありません。生徒会に入るのは権利は皆、平等にあります。だから、初瀬君も入ってみたらどうでしょうか?きっと、いい経験になりますよ。そうですよね?犬飼さん」
犬飼さんを睨んだ東雲先輩。
もしかして、さっきのガッツポーズを東雲先輩は、見ていたのだろう。
犬飼さんは明らかな作り笑いをしながらこう言った。
「えぇ、そうですね。初瀬様にとってもいい経験にはなると思います。ですけど、無理して入らなくても大丈夫ですから!」
と俺を意地でも入らせないようにする犬飼さん。
だけど、東雲先輩の言葉を聞いて変わりました。
「先輩、俺、足を引っ張るかもしれませんがよろしくお願いします」
俺は生徒会に、所属してみることにした。
たくさん、失敗などをするかもしれない。
けれど、この活動を通して、学ぶこともあるだろう。
「私たちが、しっかりサポートしますので、安心してください。ねぇ、犬飼さん」
「えっ!は、はい!」
犬飼さんは、多分、俺のことをサポートするつもりは無いだろう。だけど、東雲先輩がサポートしてくれるなら、心強い!
「では、早速。このマニュアルに目を通して置いて下さい。あっ、言っておきますけど、今日中ですからね!」
と机の上に置かれた分厚いマニュアル。
そんなのを一日で、見ろと言われても……
「大丈夫ですよ初瀬君。犬飼さんは一日で覚えましたが、初瀬君はゆっくり覚えて下さい。中には実戦で覚えられる事もありますので、慌てなくても大丈夫ですよ。ねぇ、犬飼さん」
東雲先輩は、また犬飼さんを睨んだ。
「そ、そうですね。ゆっくり、ゆっくり」
とか言ってる、犬飼さんだが、心の中はこう思っているだろう。
「初瀬君。くれぐれも東雲様の手を煩わせる事をしないように、今日中にマニュアルを覚えて、東雲様の忠実な僕になってくださいね」(威圧的に)
なんて言うことを思っているだろう。
「それでは、初瀬君。これからよろしくお願いします」
と手を伸ばす東雲先輩。
俺は、東雲先輩の手を握ろうと……
すると、犬飼さんの手が電光石火のように遮り、東雲先輩の手を握れなかった。
すると、犬飼さんは俺の胸倉を掴む、こう言った。
「なんて、おこがましい!お前みたいな小物が、この東雲様の手に気安く触ろうなんて!」
すると、東雲先輩は、咳払いをし、「犬飼さん……」と呼んだ。
犬飼さんは、東雲先輩の方を恐る恐る振り返る。
俺から見ると、東雲先輩は、今にも怒りそうな雰囲気だ。
「犬飼さん……先程から私の婚約者に何をするのですか?返答次第では……」
「じょ、ジョークですよ!せっかくの仲間なので、こう言うジョークもあってもいいかな~的な」
犬飼さんは、必死に嘘をついた。
下手な唇笛を吹く犬飼さんに対して、東雲先輩はこう言った。
「ジョークですか……まぁ、それならいいですけど……」
とどこか納得してない東雲先輩だが「まぁ、それはさておき」と前置きをすると、俺を見る。
すると、東雲先輩はにっこり笑った。
「では改めて、よろしくお願いします。初瀬君」
「こちらこそよろしくお願いします」
俺と東雲様は、握手を交わした。
そして、俺を睨む犬飼さん。
多分、東雲と握手している俺に嫉妬しているのだろう。
こうして、俺は生徒会に所属することになるのであった。
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