15 山岸と瀬奈さん
瀬奈さんと犬飼さんが仲良くなったのは良いことだ。
だが、一つ俺には心配事がある。
そして、その心配は的中することになった。
それは数日たったある日のこと。
いつものように犬飼さんは、瀬奈さんをランチに誘っていた。
勿論、瀬奈さんはランチに行くことを快く快諾していた。
「ほら、鶫も一緒に行くよ!」
「ごめん、今日は私、他の子と食べるつもりだから……」
「そう、分かった」
瀬奈さんと犬飼さんは仲良く二人で、ランチへ行った。
そして、山岸は、一人で弁当を食べていた。
そんな山岸の背中を見た俺は、山岸の所へ
「山岸、良かったら一緒に食べないか?せっかくだし、たまには幼馴染と食べても……ほら、昔は一緒に食べていたし」
と色々と言ったが、本当は一人で、寂しそうにお弁当を食べる山岸は見てられないから、山岸を誘ったからだ。
そんな俺に、山岸は笑った。
「それ、幼稚園の頃だよね!良いよ、こう君が良かったら一緒に食べよう」
快く快諾してくれた山岸。
俺は、山岸の机でご飯を食べた。
山岸が寂しそうに食べているのが見てられないからご飯を誘ってみたが、まさか、山岸とご飯を食べるとは!
これもこれで、悪くないかも……
「なんか、こうして食べるのは久しぶりだね」
「そ、そうだな」
あぁ、目の前に山岸!
幸せ~
俺は幸せのひと時を過ごすのであった。
だが、そんな時間はあっという間に過ぎ、俺は弁当を食べ終えてしまった。
俺はふと、山岸の弁当を見た。
そんな時、俺は気づいた。
「山岸、好き嫌いは良くないぞ」
山岸はトマトが嫌いだ。
昔はよくトマトを残していたが、まだトマトを残していたとは……
本当にもう……可愛いな~!
「こう君、食べて」
幼稚園の時を思い出す。
俺は良く、山岸が残していたトマトを食べていた。
山岸が俺に食べさせてくれたが、今はさすがに無かった。
だが……
「いただきます」
こんな幸福なことはない。
山岸のトマトを頂けたのだ。
トマト様に感謝だ。
「どう?美味しい?」
「美味しいよ!」
「そう、良かった」
だいぶ、元気を取り戻した山岸。
良かった元気になってくれて……
俺は、本題へ
「なぁ、山岸。お前、瀬奈さんと何かあっただろ?」
「ううん、別に何も無かったよ!」
「嘘をつくな。長くお前といるからわかるんだよ」
「こう君には分かっちゃうんだね……」
薄っすらと笑った山岸はこう言った。
「実はね、最近、愛理ちゃんとうまくいかないんだ。
多分それは、犬飼さんのせいだろう。
犬飼さんが瀬奈さんをご飯に誘っているところを頻繁にみる。
そして、多分、俺が見てない場所でも瀬奈さんをさせているだろう。
その結果、山岸は瀬奈さんと距離を置いてしまったというところだろう……
と俺は山岸の相談を受けるのであった。
だが、今の俺は何も出来なかった。
ただ、「そうなんだ」としか答えられなかった。
放課後。
「初瀬君から私を呼び出してきたなんて、一体何用何ですか?」
「犬飼さんにお願いがあって」
これは、山岸にいい学校生活を送ってもらうために……
そう思った俺は、犬飼さんを呼び出した。
そして犬飼さんにあるお願いをした。
「犬飼さん。山岸 鶫と仲良くしてくれませんか?」
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