14 7月
俺たち学校では、今日からプール開きだ。
「あぁ!女子のスク水姿を間近で見られるとは、ここは楽園なのだろうか!」
と女子生徒の水着姿に興奮している浜田……いや、変態さん。
そんな女子姿のスク水は良いものだろうか?
どの人も一緒にしか見えないと思うが……
「あぁ、なんて残念な男だ。この良さを分からないとは……まだまだお子ちゃまだな!」
別にお子ちゃまでも結構。
変態なんて言うレッテルを貼られるよりましだ。
あっ!山岸さん!」
「えっ!どこ?!」
「ははは!どうやら、山岸さんには興味があるようだな!」
と言って、俺を笑う浜田。
こいつに殺意が湧いたので、一回、プールに沈めても良いでしょうか?
「おぉ!見ろ!本当に山岸さんが来たぞ!」
はいはい、どうせ嘘でしょ
と俺はチラリとみると、あらびっくり!山岸が……スク水姿を拝められるとは……
「しっかり目に焼き付けておけよ浩介。」
すると、こちらにきづいた瀬奈さんがやってきた。
「ちょっと男子達!こっちますぎ!」
「はぁ?女子の水着を見て悪いのかよ?」
「駄目に決まっているでしょ!女の子達、嫌がっているよ!後!、初瀬君!鶫があんたの事、気持ち悪いだってよ!」
「えっ、それは本当でしょうか?……」
「じぁ、本人に聞いてみれば!」
俺は、山岸の方を見た。
すると、山岸は顔を逸らした。
と言う事は、瀬奈さんが言っていた事は、本当だったと言う事だ。
「おい!浩介!この馬鹿にいってやれ!水着姿は、正義であると!」
「はぁ!?何が正義よ!この変態!」
「うるせー!お前は、引っ込んでいろ!お前なんか、誰も興味ないんだよ!」
「別に構わないし!」
と言う瀬奈さんだが、瀬奈さん貴方も色んな人にみられていますよ。
まぁ、浜田だけは例外ですが……
と授業前からこんな衝突があり、ながらもいざプールの授業が行われた。
そして、この授業でやっぱりあの人が注目されていた。
「瀬奈さん、素敵~」
「綺麗だな~瀬奈さん」
「いいよな、浜田は。あんなかわいい幼馴染がいて」
「はぁ?別に可愛くないし、それにあいつのどこが可愛んだよ」
遠目から、瀬奈さんを見ていた男子達。
一方、女子の方では、瀬奈さんの泳ぎを見ていたギャラリーがスターみたいな歓声を上げていた。
「鶫!今どうだった?」
「う、うんさっきより伸びていたよ」
タイムを計っていた
「じゃあ、次は鶫の番だね」
そう言わた山岸は、泳いだ。
だが、山岸はスポーツが得意ではないため、泳ぎははっきり言って、下手くそだ。
だけど必死にクロールをし、頑張る山岸。
そんな山岸を陰ながら俺は応援した。
まぁ、他のにもライバルがいるようだが……
山岸愛は他には負けない!
「すごい鶫!初めて!25メートル泳げたじゃん!」
「う、うん」
すごいよ!山岸!おめでとう!
その後、男女混合のチームを3チーム作り、対戦をすることになった。
一チームに、6人。
最終アンカーは50メートル。後のメンバーは、25メートル泳ぐ、自由型対戦だ。
「よろしく〜皆んな」
俺たちチームには、瀬奈さんがいる。
これで、ほぼ、俺たちの勝ちが確定だ。
だが、相手のチームには犬飼さんや、水泳部の部員もいる。油断は出来ない。
ちなみに、山岸とは違うチームである。
本当なら、一緒になりたかった!
そう思いながらも、瀬奈さんの指示の元、順番が組まれた。
その結果、俺と同じ順番に山岸がいる。
それと、水泳部員も紛れている。
山岸と同じ順番なのはうれしいが、水泳部の部員がいるのが、なかなかきつい。
こうして、対戦が始まった。
俺達チームは現在2位、1位は、山岸チーム。
3位は犬飼チーム。差は山岸チームが一歩リードしている。
山岸は、俺より先に泳ぐ。
そして、次は俺の番。
クロールをする山岸を俺は追う。
山岸は、とても遅い。
追いつくことは出来なくても、距離を詰められそうだ。
だが、問題はもう一人ある。
俺の後ろを追う、水泳部の男子。
彼が、凄まじいスピードで俺を抜きそうだ。
このままでは、俺たちチームがビリになってしまう。
俺は必死に頑張った。
だが、15メートル来た時点で、抜かされた……
結果、俺たちは今、最下位。
一位は、いまだに山岸チーム。
二位は、犬飼チーム。
三位は、俺のチームだ。
「ごめんなさい。俺が……」
「大丈夫だよ、後は最後の私に任せて」
と俺の背中を叩くと、瀬奈さんはプールに入った。
現在、三位である俺達チーム。
だが、ここから巻き返しもできる。
一位は、山岸チームそれを追うのは、犬飼チーム。
そして、三位は俺達だが、ほとんどのチームの差はない。
これで、一位は貰った!
「瀬奈さん、貴方には負けませんから」
そう言い残し、最終アンカー 犬飼 百葉は、泳ぎ始めた。
クロールをする犬飼。彼女の泳ぎは、誰もが魅了されるような、美しい泳ぎを見せる。
そして、一位で、泳いでいた水泳部の女子を抜かし、一位になった。
案外、犬飼さんは強敵なのかもしれない。
「素敵です!犬飼さん!」
叫ぶ浜田。
自分で気づいてほしい。
周りはドン引きだ。
だが、これをきっかけに犬飼さんを応援する人が増えた。
犬飼さんとは違うチームの生徒も犬飼さんを応援している。
勿論、俺のチームにもいる。
「へぇーやるじゃない。私も本気で行っちゃうよ!」
そう言ってバトンを受け取った瀬奈さんは泳ぎ始めた。
現在三位の俺たちだが、二位の男子生徒に物凄い勢いで、追いかける瀬奈さん。
頑張ってください!瀬奈さん!
25メートル付近で、瀬奈さんは、男子生徒を抜かした。
そして、あとは少し先にいる犬飼さんだけだ。
折り返した瀬奈さんは序盤より早いスピードで犬飼さんを追い詰めてくる。
「犬飼さん!あんな奴に負けるな!」
と浜田は犬飼さんを応援する。
ちなみに、浜田が所属しているチームはビリだ。
自分のチームを応援はしないし、幼馴染を応援してあげないとは、後で、瀬奈さんに何言われても俺は知らない。
一方、犬飼さんを追う瀬奈さんは、距離を縮めてくる。
だが、残りあと半分。
このまま追いつけるかは、微妙なところだ。
「瀬奈さん!頑張ってください!」
同じチームの女子生徒が瀬奈さんを応援した。
そして、その光景を見た、浜田も犬飼さんを応援した。
「負けないでください!犬飼さん」
「勝ってください!瀬奈さん!」
また一人の男子が瀬奈さんを応援した。
「勝ってください!犬飼さん!」
「負けないで!瀬奈さん!」
今度は、瀬奈さんを応援する者が現れた。
そして、次第に互いを応援する声援が飛び交い、外野は盛り上がりを見せる。
一方、プールの方は、瀬奈さんがじわじわと犬飼さんに追い付いてきた。
あと少しで、犬飼さんを抜かせる!
「頑張ってください!瀬奈さん!」
他の生徒の声援に紛れながら俺も瀬奈さんを応援した。
だが、結果は……
「みんなごめん!」
「いいえ、瀬奈さんは頑張りましたよ」
惜しくも2位になってしまった俺達。
だけど、2位で満足だ。
「いい勝負。ありがとうございました!」
「こちらこそ、ありがとうございます!犬飼さん。でも次は負けませんからね!」
「こっちも、今度こそ勝たせて貰うから覚悟しておいてね!」
二人は、硬い握手を交わした。
すると、周囲から拍手が沸いた。
「お前と犬飼さんの勝負。凄かったス!」
感動したのだろう、浜田はそんなことを言った。
たかが、勝負でそんなに感動するものでもないと思うが……
こうして、白熱した水泳バトルは終わった。
それから数日後
「瀬奈さん!今日一緒にランチなんかいかがでしょうか?!」
と瀬奈さんのところに来たのは、犬飼さん。
あれ以降、二人は仲良くなったらしい。
「うん!犬飼さん!一緒にランチに行こう!ほら、鶫も行くよ!」
「う、うん……」
瀬奈さんと犬飼さん、そして、山岸はランチに向かった。
「いや~、あいつが犬飼さんと仲良くなったおかげで、これから犬飼さんと過ごす時間も多いかもな!」
と何かを期待している浜田。
一体、何を期待しているのかが知らないが……
それよりも……
俺は山岸の背中を見た。
瀬奈さんと犬飼さんはとても楽しそうだ。
だが、山岸は……
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