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13 犬飼さん


「お待ちしていました」


にこと笑みを浮かべる犬飼さん。

犬飼さんは俺に近づく


「い、犬飼さん」


犬飼さんからは柑橘系のいい匂いがする。


それに大きな胸が俺に当たっていて……


もう……


「ここではなんなんで、とりあえず、場所変えましょうか。どうやらこの場に余計な人もいらっしゃるようなので……」


と犬飼さんは屋上の出入口の扉を見た。


犬飼さんの方を見ると、屋上の扉が少し開いている。


もしかして


「お前たち……」

「悪い、つい気になってお前の後ついていった」

「ごめんねー二人とも」


と浜田と瀬奈さんが謝る。


犬飼さんは「いえいえ大丈夫ですよ。ですが、今度はついて来ないでくださいね」


と言い、俺の腕を掴んだ。


「さぁ、この二人は置いて行きましょうか?」


この場には、浜田や瀬奈さんがいると言うのになんていう事を!


俺は恥ずかしい思いをしながら、二人の元を去るのであった。


そして、俺は体育館裏に案内された。


「ここなら大丈夫ですね」


すると、犬飼さんは深い深呼吸をした。

そして、こう言うのであった。


「実は、私、初瀬君の事が好きなんです!だから私と付き合ってください!」


えっ?……


これって告白だよな……


瀬奈さんが冗談で、言ったことが現実になってしまった……


いやいや、一旦落ち着け俺!


そもそも、犬飼さんが俺に告白する動機が分からない。


まさか、一目惚れなんて言う事はないだらうし


きっとこれは何かの間違いに決まっている!


「一目惚れなんです!だから付き合ってください!」


まさかの一目惚れー!


こんな面白みもない俺の顔のどこに惹かれたんだー!


「駄目でしょうか?」


こんな美少女に告白されることなんて、これからの人生で絶対にないだろう。


ならば、ここで告白を承諾するのも悪くないかも知れない。


だけど……


「ごめんなさい。無理です」

「えっ?……どうして、ですか?」


うるうるしている瞳で、俺を見る犬飼さん。


それを見ると、告白を断った俺の胸に突き刺さる。


だけど、犬飼さんのためにも正直に言わなければ


「俺には今、お付き合いしている人がいます。だから、犬飼さんの告白は嬉しいけど、ごめんなさい……」


俺には東雲さんと言う大切な彼女がいる。

正直、犬飼さんの告白は嬉しかったが、東雲さんを裏切れない。


それに、東雲さんを裏切れば、俺に頭をさげてまで、東雲さんと付き合って欲しいと頼んできた親父も裏切ることになる。


「良かったです。私の告白を断ってくれて……」


はい?


なぜか、ほっとしている犬飼さん。

一体、告白を断ってなぜほっとしているのだろうか?


すると、犬飼さんは俺に白いカードを渡した。

そして、犬飼さんは「見てください」と言われ、俺は渡されたものを見た。


東雲家、専属メイド


犬飼 百葉  


「改めまして東雲家 専属メイド犬飼 百葉と申します。私は、東雲家に御恩があるが故に東雲 宇鷹様の専属メイドをしています。そして、私には宇鷹様を見守る義務があります」


な、なにこれ?

話についてこられない俺をおいて、犬飼さんは話を続ける。


「さて、先程の続きですが、告白断ってくれてありがとうございました。あれで、告白を受け入れていたら、初瀬様を始末しなければならなかったので、良かったです」


あはは、さらっと面白いことを


こんなかわいい子が、俺を始末するなんて!


冗談がきつすぎますよ!


「まぁ、信じて貰えてないですね……ならこれでどうでしょう」


次の瞬間、犬飼さんは拳銃の銃口を俺の頭へ向けた。


「どうです?これで信じてもらいます?」


にっこり笑う犬飼さんは、もはやサイコパス。

拳銃を俺に向ける時もなんの躊躇いもなかった。


「私、こう見えて人を殺したことがあるんですよ。だからこうやって銃口の引き金を引くのも簡単ですよ」


分かった、分かったから許してくれ!

焦る、俺に犬飼さんは笑った。


「冗談、冗談ですよ。この拳銃も偽物ですよ。ほらね」


と拳銃の引き金を引いて見せるが、何も起こらなかった。


はぁ……殺されるかと思った……

俺は、安心し、全身の力が抜けてしまった。


そんな俺を他所に犬飼さんは腹を抱えながら笑っていた。


だが、一瞬にして表情が変わり、真面目な表情をした。

そして、また俺に拳銃を突きつけるとこう言った。


「でも、宇鷹様を泣かせたりしたら、私、許しませんから……たとえ、友人だろうが、クラスメイトだろうが、宇鷹様を泣かせた人物を追いかけ始末しますから。だから……」


犬飼さんが俺の耳元に近づき「初瀬君も気を付けてくださいね」


と言い残し、犬飼さんはどこかへ行ってしまった。


まさか、転校してきた人物が、東雲先輩のメイドだとは……


恐ろしい、転校生(刺客)が来たものだ。


――放課後――


犬飼と東雲は一緒に帰っていた。


「宇鷹様、私、宇鷹様のこと一生守っていきますね!」


「ありがとうございます。では、私はこれからも犬飼さんを大切にしますね」


「そ、それって逆プロポーズ……」


「違います」


「もぅ〜照れないでくださいよ〜」


「照れてません」


犬飼は東雲の事を本当に大切に思っている。

だから、東雲を泣かせることがあれば、犬飼は許さない。


この命がある限り、犬飼は東雲を守っていく。

読んでくれてありがとうございます!

次回もよろしくお願いします!

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