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11 ゴールデンウィーク3日

普段は制服姿の山岸しか見れないが、今日は普段着を見れる。


一体、どんなファッションをしてくるのだろうか


「久しぶりだね。こう君……」


どんなファッションでくるか想像するだけで、楽しみだ。


「なんだか、楽しそうですが、何かあったのですか?」

「いいえ、別になんでもないですよ」


まさか、好きな子のファッションが気になっていまして

なんて東雲先輩には言えない。


「そうですか。それはそうと、初瀬君。今日良かったら、一緒に今日の夕飯の買い出しにでも行きませんか?」


「ごめんなさい。今日は予定が入っていまして」

「そうなんですか。して、予定とはどのような。差し支えなければ教えて貰います?」

「友達と遊ぶ約束を」

「そうですか。分かりました。楽しんできてくださいね」


――午後―― 


俺は、瀬奈さんに言われた所に向かった。


集合時間は午後13時。


俺が到着したのは午後12時40分。


まだ時間がある。


さて、どうやって時間を潰そうか。


待ち合わせ場所の近くには、カフェがある。


とりあえずそこへ行って皆が来るのを待とう。


そう思った矢先のことだった。


「こう君!」


この声、その呼び方。もしかして……


俺は声がした方を振り返った。


「ひ、久しぶり……」


そこには、山岸がいた。


いつもの制服姿とは違い、とても可愛らしい格好をしている。


こんなの見せられたら、イチコロレベルだ。


「もしかして、こう君一人?」


「うん、そうなんだ。だから、あっちのカフェで待とうかなと思っていて……良かったら、山岸も向こうに行く?」


「うん」


と言う流れで、山岸とカフェに入ることになった。


俺達は互いに向かい合わせで、座りコーヒーを飲んだ。


俺は、山岸に格好つけようと、ブラックコーヒーを

山岸は、コーヒーミルクを飲んだ。


山岸にかっこいい所を見せようとブラックコーヒーを頼んだが、ブラックコーヒーはとても苦い。


山岸に格好つけずに普通に甘めの物を頼んでおけばよかった……


「こう君、大丈夫?それ苦いでしょ?」

「あっ、うん大丈夫だよ」


本当はだ大丈夫じゅあなんだけど

そうだ。


「すみません」


コーヒーの苦みを消すため、俺はパンケーキを注文した。

その結果コーヒーの苦みを消すことには成功することが出来た。


だが……


「山岸、お前も食べたいのか?」

「ううん、大丈夫だから」


と言っても山岸はパンケーキが欲しそうにこっちを見てくる。

目をキラキラさせてくる以上はあげるしかないよな……


「良かったらあげる」


「えっ、良いの?」


「うん、いいよ」


俺は山岸に残ったパンケーキをすべてあげた。


山岸はとても、美味しそうに食べてくれている。


見ているだけで、幸せになる。


俺は残っているコーヒーを飲んだ。


コーヒーは半分は残っているが、この山岸の可愛い姿を見れれば乗り越えるだろう。


こうして、カフェで過ごした俺達は、集合5分前に俺達は元の場所に戻った。


すると、待ち合わせ場所には、瀬奈さんがいた。


「あれ?二人とも一緒だったんだ」


カジュアル姿の瀬奈さん。

いつもより大人びてとても素敵です。


「で、2人とも、デートはどうだったの?」


「ちょっと!愛梨ちゃん何言っているの!?」


「そうそう、これはデートじゃないから!」


「とか言いつつ」


ニヤニヤと俺達を見る瀬奈さんに一言。

これはデートではありません!

貴方を待っていてこうなりました!と


「まぁ、それよりも遊びに行こうか!」


「おいおい待て!俺をおいていくつもりか!?」


「それはあんたが遅いからでしょ!」


そこに現れたのは、浜田だ。

どうやら、浜田も誘われたようだ。


「じゃあ、改めて遊ぶに行きましょう!」


そう言われるがまま瀬奈さんに連れてこられた場所は、映画館だ。


「実は、この映画、私と鶫が見たいて言っていた映画なの。だけど二人だけじゃあつまらないと思って君たちにも来てもらった訳!」


なるほど、恋愛映画か……

この二人が見たいのも納得できる。


俺達は恋愛映画を見た。

隣に左隣に浜田。右に山岸がいる。


「この映画いいな……」


と小さな声で呟き、号泣している浜田。


全く、大袈裟なリアクションだ。

そんななく程でも……

隣を見た俺は、気づいてしまった。

浜田だけが泣いている映画と思いきや、山岸に瀬奈さんまで泣いている。

ていう事は俺だけが泣いてないことになるが……

俺も泣かなくてはいけないのだろうか?


「こう君泣かなかったんだね……」


「初瀬君、意外に薄情だね……」


「初瀬。おまえ、ひとでなしだな……」


浜田と瀬奈さんに言われては良いが、山岸に言われるのはきつい。


幸い、辺りは暗い。そして、みんな映画に興味深々だから、俺が泣いてないことには気づいていないはず。


――映画終了後――


3人は映画のことで、盛り上がっている。

まるで、俺だけ、取り残されたような……


「こう君は、どうだった?」


「うん、面白かった……」


「それ本当?」


「えっ……本当だよ」


「嘘だよね」


どうして、山岸は俺が嘘をついていると分かるのだ。

もしかして、俺の心を読めるエスパーとか



「こう君、私、こう君の幼馴染だよ。ずっと近くで、こう君を見てきたんだよ。だから、嘘くらい分かるよ」


なるほど、そういう事なのか


確かに、長い付き合いだと色々とわかってくるか……

俺も、山岸の癖など、ある程度把握している。


だから、山岸が俺の嘘を見破れたのか……


「ごめん、山岸。俺嘘ついていた。本当はあの映画面白いと思わなかった」


「そっか。そうだよね。こう君、こう言うの興味なさそうだしね」


いや、そんな事はない。

むしろ興味はある。


今回見た映画は、両想いの幼馴染が色んな苦難を乗り越えて、最終的には結婚をする話だった。

今回の主人公とヒロインは、昔からの幼馴染……


まるで、俺達みたいだ。


「山岸はどうだった?」

「私は、良かったと思うよ。なんなら、あんな恋をしてみたいと思うくらいだよ」


と薄っすら笑みを浮かべた山岸。

だが、すぐに顔を真っ赤にし、こう言った。


「あっ!えっと!こう君と!その付き合いた!と言う事ではないからね!」


「うん……」


そんな事は分かっていたが、こうも否定されると傷つく……


「なんかごめん。こう君……」


「おーい二人とも早く!」


と瀬奈さんに呼ばれ、山岸は瀬奈さんの所に向かってしまった。

その後、俺達は、近くのファミレスで食事をした。


俺は山岸と迎え合わせで座った。(多分、瀬奈さんが忖度を図ったのだろう)


だが、俺達は会話はない。それどころか、山岸と目も合わない。


その事もあり、ご飯を食べる俺達は


「あっ、ちょっと二人とも私達お手洗いに行ってくるから待っていて!ほら!鶫行くよ!」


「えっ、ちょっと愛梨ちゃん!」


瀬奈さんに連れていかれた山岸。


残るは俺と浜田のみだ。


だが、会話がなくただ沈黙が続く。


なんか思っていたのとは違う。


俺が思っていたのは、浜田が俺に話を掛け「今日の山岸さん!素敵だったな!」的な事を言ってくると思ったが……


浜田はウーロン茶を飲み干す。

そして、俺を見るとこう言った。


「なぁ、浩介。お前山岸さんと何かあったのか?」


「いや、別に」


「嘘をつくな俺には分かるぞ」


どうやら、浜田に嘘をつくのは無理そうだ。

ここは正直に言おう。


なにか、変わるかも知れないし


「実は……」


俺は山岸と合ったことを言った。


「ほう、それは大変だな」


と言い残し、飲み物を取りに行ってしまった浜田。

なんか、アドバイスとかくれると思っていたが……


俺の期待は、儚く消えた。


すると、山岸と瀬奈さんが、戻ってきた。


特に様子が変わった様子はない山岸は、俺の目の前の席に座った。


そして、浜田も戻り、俺達は食事を続けた。


すると……


「こ、こう君!」


と声を上げた山岸。


次の瞬間、こう続けた。


「それ!わたしにも頂戴!わ、私のもあ、あげるから!」


なんか、明らかに挙動がおかしいが……


誰かに言わされているような気がするが……山岸が欲しいと言うのだ。


俺が、注文したチーズインハンバーグを分ける事にした。


「はい、どうぞ」


「こ、こう君が食べさせて!」


と顔を真っ赤にする山岸さん……

俺はもう一度聞きなおす


「今なんて?」


「だ、だからこう君が、私に食べさせて!」


それは、このフォークを使って、俺が山岸に食べさせるのですか!


だとすれば、無理です!


「いいから、やりなさいよ。ほら!鶫を見なさいよ!」


瀬奈さんが少し苛立っている。


そして、山岸を見ると、口を開け待っているが……

本当にやるのですか!山岸さん!


「お前がやらないなら、俺がやっちゃおうかな」


それだけはやらせないぞ浜田!


俺は、ハンバーグをフォークでさし、ソースが落ちないように、山岸の元へ、あとは山岸の口へ……


山岸の口に運ぶ時、俺の手は震えていた。

もしかしたら、ソースをこぼすかも……


なんて思っているうちに、山岸の口元に

そして、ハンバーグが山岸の中に!


「どう?美味しい?」

「う、うんとても美味しい」


その時の山岸はとても幸せそうに食べていた。


「さぁ、次は初瀬君の番だね!」


「お、俺は大丈夫だよ!」


「なに、鶫からのプレゼントを受け取れないの?」


「いや……」


そんな事は絶対にない。

ただ、この二人に見られながらと言うのが、俺は嫌なのだ。


「こ、こう君、あげる!だから口開けて!」


山岸が頼んだのは、エビが入った海老ドリアだ。


最初、俺もこれを注文しようかと迷ったメニューだが、まさかこんな形で食べる事になるとは……


山岸は俺の口元に運ぶ。

すると、瀬奈さんが「ちょっと待った!鶫」と山岸に言った。

そして、こう言った。


「ちょっと鶫!そのままあげたら危ないでしょ!ほら、初瀬君火傷してしまうでしょ!」


「そうか、もうかなり時間が……」


「あんたは、黙って、ご飯でも食べてなさいよ……」


「は、はいすみません……」


と瀬奈さんは、浜田を睨む。

そして、山岸を見るとにっこりと笑った。


「ほら、鶫。初瀬君が火傷しないようにどうするんだっけ?」

「え、えっと……えっ、ちょっとやめて!愛梨ちゃん!」


「これで分かったでしょ?」


「これ、本当にやるの?」


「そうだよ」


「む、無理だよ」


「なら、本人に言っちゃおうかな。ねぇ、初瀬く」

「分かった!分かったから!」


そう言うと山岸は海老ドリアに息をふぅふぅと息を吹き込んだ。


「ど、どうぞ!こう君!」


俺は、山岸からドリアを貰った。


味は、普通のドリアという感じだが、とても美味しくて、とても幸せだった。


なぜなら!山岸に食べされて貰ったからだ!


「どう、()から貰ったドリアは美味しかったかな?」


とニヤニヤと笑う瀬奈さん。

この


「ま、まぁ美味しかったです……」

「だって、鶫!」

「や、やめてよ……」


瀬奈さんに頭を撫でられている山岸は顔を真っ赤にし、恥ずかしそうだ。

だが、どことなく、嬉しそうに見えるのだが……気のせいだろか


「さぁ二人とも!私達のショッピングに付き合って貰うよ!」


食事を終えた俺達は瀬奈さんと山岸の買い物に手伝う事になった。浜田は「お腹が痛い」と言って、逃げようとしたが、そんな嘘で、上手く行く訳がなく、浜田は瀬奈さんの荷物持ちになった。



「助けてくれ浩介……」


沢山の荷物を持たされている浜田。


ご愁傷様です。


一方、俺はと言うと、山岸の荷物持ちをする事になった。

だが、山岸は俺に荷物を持たせようとしない。

それどころか……


「こう君疲れてない?」


「良かったら、そこで休憩して、何か奢ってあげるよ?」

「こう君も行きたいところとかあったら言ってね」


など言って、俺に気を使ってくれる。


なんと言う優しさの塊。


もぉ、惚れてしまう!


ゴールデンウイーク3日目。俺は、山岸とのショッピングを楽しんだ。


まるで、天国にいるような時間だった。


誰かに隠し撮りなんてされているとも知らず……


ーー東雲家ーー


「宇鷹様。言われた通り、初瀬 浩介の写真を隠し撮りしてきました」


山岸にデレデレである俺の写真を東雲は受け取った。

そして、東雲は「はぁ……」と深いため息をつくとこう言った。


「私が居ないところで、こんなに楽しそうに」


「ーーさん。貴方にお願いがあります」


東雲はーーに何かをお願いした。

そして、--は快く快諾した。


「宇鷹様のお願いですもの。私で良ければ快く受けさせてもらいます」


そして、次回ーーが動き出す。








読んでくれてありがとうございます!

次回もよろしくお願いします!

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