10 2日目
旅館のチェックアウトを終えた俺達。
「坊ちゃん、そして、宇鷹ちゃん。また遊びに来てね」
「はい、また遊びに来ます」
女将さんは、俺達を手を振り、俺達を見送ってくれた。
色々あった旅館だったが、また二人で来たいもんだ。
その後、俺達は、ショッピングや観光を楽しんだ。
旅館の近くには、おみやげ街が広がっている。
俺達は、そこでおみやげを買うことにした。
「おや!こうちゃん久しぶり!」
「お久しぶりです。おばさん」
俺は、良く昔によく行っていた事もあり、この辺の人達とは顔見知りだ。
「あら?こうちゃん。そちらの美人さんはもしかして……」
「えぇ、僕の彼女です」
「こんにちは、東雲 宇鷹と申し上げます」
「東雲……もしかして、東雲
「はい、そうですが、どうしてご存じで」
「彼にはいつもお土産を買ってくれてね。それで、良く娘さんの話を楽しそうにしてくれるのよ。だからあなたに会えてとても嬉しいわ」
とお土産のおばさんは東雲先輩の手を握った。
「そうだ。こうちゃんとしのちゃん。これ持っていき!」
そう言っておばさんに渡されたのは、色んなものが詰め合わせとなったお土産だ。
「おばさん。こんなには申し訳ないですよ」
「遠慮しないで!二人とも」
俺達は互いに顔を見た。
そして、東雲先輩がクスっと笑った。
俺もそれにつられて笑った。
「お言葉に甘えて、貰いましょうか」
「そうですね」
俺達は、近くにあった足湯で一息をし、いろんな所に行った。
何回も行ったことのある街なのに今日は今までの中で一番楽しかった。
「初瀬君、また機会があれば行きましょうね」
「そうですね」
こうして、1泊2日の旅行は終わった。
だが、まだゴールデンウイークは終わってない!
旅行疲れがたまり、俺は11時くらいまで寝てしまった。
スマホを見ると、11時20分。
それと、通知が来ているが……
瀬奈さんからだ。
「ヤッホー、初瀬君。今日暇かな?良かったら、午後から遊ぼうよ!勿論、鶫も来るよ(笑)」
山岸がくるのか……
山岸とは研修合宿以来となる。
あの時、山岸とヤバい空気になってから喋れてない。
久しぶりに会うのは少々きついが、行く!
なぜなら、そこに山岸が来るからだ!
こうして、俺は、瀬奈さんの誘いに乗る事にした。
――東雲先輩の部屋にて――
「東雲先輩!今日の午後遊びに行ってきてもよろしいでしょうか?」
俺は、勉強中であった東雲先輩に外出許可を貰うため、頭を下げていた。
一応、同居人である東雲先輩に、許可なく出かけるのは、東雲先輩に、迷惑をかけるかもしれないと思ったからだ。
「えぇ、別に構いませんよ」
「本当に良いのですか?」
「せっかくのゴールデンウィークじぁ、ありませんか。たまには、思う存分、友達と遊んできて下さい」
という事で、俺は、山岸達と遊ぶことになった。
「因みに、お友達とはどんな人なんですか?」
「えっと、一人は中学の頃の友達で、もう一人は、昔からの幼馴染です」
「そうなんですね」
「みんな、いい子なんです。今度是非、東雲先輩に会わせて見せたいですよ」
「いい子……もしかして、女性の方ですか?」
「そうですが……なにか?」
「いえ、なんでもありません……」
この時、東雲先輩は髪の毛をくるくるいじり始めた。
それに、表情もどこか、不機嫌そうに見えるのだが
これは、俺の気のせいだろうか?
「もう、用事が済んだなら、出ていってもらいますか?」
やっぱり気のせいではない。
明らかに、東雲先輩は不機嫌だ。
こういう時は素直に従うべきだ。
しかし、どうして東雲先輩は不機嫌に……
まぁ、お土産でも買って、機嫌でも直してもらおう
そう思いながら、俺は山岸達がまた場所に、向かうのであった。
――数分後――
東雲先輩はスマホを取り出し、どこかへ電話をした。
「お久しぶりです――さん。一つお願いがあるのですが……」
読んでくれてありがとうございます!
次回もよろしくお願いします!