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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

小説案 ①:「ケンキョー」

作者: マッコイ

「これはごく最近現れ始めた症例で・・・、医学界では『ケンキョウ』と呼んでいます」

「ケ、ケンキョー?何ですか、それ・・・」

 健斗(けんと)は聞いた事も無いその病名を聞き返した。医師は健斗の隣でガタガタと震える幸江(さちえ)を見ながら、ゆっくりと口を開く。

「ケンキョウは病気ではないと考えています。“嫌う”に“鏡”で『嫌鏡』と書いて、その症状はいたって単純、ただ()()()()()()()()という事だけなんです。鏡だけでなく、磨かれた金属や大理石の表面など、顔が映って見えるはずのあらゆるものにも映らなくなる。そしてカメラや写真にもその姿が写ることはない。その原因は、今のところ全く不明です・・・」

 健斗は絶句した。ふと左を向くと、そこにある薬品の入った棚のガラスに自分の姿が映っておらず、自分を通して反対側にあるカルテだけがそこに映っていた。それを見た途端、健斗の心の中を恐怖が駆け巡った。椅子から跳ねるように立ち上がり、医師の肩に掴み掛かって叫んだ。

「先生!コレって俺の頭がおかしくなってんだろ!?早く・・・、早く治療してくれよ!おい!!」

 激しく動揺する健斗の様子を見て、幸江は遂に泣き崩れた。冷たい床にがっくりと膝を落とし、頭を抱えて泣き叫ぶ。医師は健斗の肩を掴み返し、強い口調で言い聞かせる。

「落ち着きなさい!嫌鏡の本当の恐ろしさはそこにあるんです。自分の姿を自分だけが見る事が出来ず、段々と自らの存在に疑問を抱くようになる。そしてその疑問が次第に恐怖へと変わっていき、最後には自我が崩壊して思いもよらない行動を起こしてしまう。実際、嫌鏡の最初の患者は恐怖のあまり発狂して自分の腹をナイフで刔って、その血で鏡に自分の名前を書いて・・・首を掻き切って死にました」

 医師の言葉に圧倒されて、というよりもその患者の話の生々しさに吐き気がして、健斗の恐怖心は身を潜めた。

 あまりにも非科学的な症状、そしてそこから引き起こされる自分自身の消滅。その全てを聞いた上で、健斗は医師の目をまっすぐ見つめて尋ねた。

「先生・・・、嫌鏡を治す事は、そうならないようにする事は、出来ますか?」

 健斗の声は震えていた。治療出来なければ、自分もそうなってしまうのか・・・。

「治ります、治してみせますよ!だからそれまで自分の意思をしっかりと持って、恐怖に負けないでいて下さい。自分の手を見て、あなたは確実にそこにいるんですよ!」

 健斗は自分の両手を見つめた。そこにははっきりと自分の手があるのが見える。そうだ、俺はここにいる。そう自分に言い聞かせて、両手をぎゅっと握りしめた。

こちらは自分の考えた小説の案を使って、そのワンシーンだけをとりあえず書いてみたものです。

出してみて、何かしら反響があった場合には作品として書いていこうと思います。

よろしくお願いいたします。

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