第8話、家の中で戦闘!?どうしてこんなことに…。
私は今プレスターの街の路地裏の中にある家にいます。
街で魔法使いであり、利奈ちゃんのお姉ちゃんである緩菜ちゃんと出会いました。
緩菜ちゃんが魔法を見せたいと言うので、緩菜ちゃんに連れられここにいます。
あとでニーナちゃんもここに来たのですが、何故かニーナちゃんが緩菜ちゃんと戦うことに……。
「さぁ、大人しく鈴にゃ〜を返すにゃ、そしたら君を傷つけなくて済むにゃ〜」
「あら随分ね〜、あなたも大人しくお家に帰ったらどう?おこちゃま妖怪さん♪」
「あ!にゃ〜を子供扱いしたにゃ?おまえをまた捕まえて後悔させてやるにゃ!」
ニーナちゃんは尻尾を伸ばして緩菜ちゃんの動きを封じようとしました。
しかし、緩菜ちゃんは尻尾を軽々と避けています。
「おっと、同じ手には引っかからないわよ」
「ちょこまかと!うるさいネズミみたいだにゃ!」
「そのネズミ1匹も捕まえられない猫ちゃんは誰かしら♪」
「くっ……、人間ごときがにゃ〜を馬鹿にして……!」
「ほらほら〜私はここよ、捕まえてみなさ〜い♪」
「ああもうっ!イライラするにゃ!おまえだけはぜぇぇったい許さないにゃー!」
ニーナちゃんはものすごく怒っています。どうやらニーナちゃんは人間に馬鹿にされるのが嫌いなようです。
「ふふふ♪そうやってムキになって目の前の事しか見えていないのがおこちゃまな証拠、ほら、今も罠にかかっていることに気付いてない」
「えっ……?」
ニーナちゃんは手足を動かそうとしました。しかし、ビクともしません。
よく見ると手足に水色のリングのようなものが付いています。
「にゃっ!?なにこれ…動けない…!」
「拘束魔法、あなたが私を捕まえることに夢中になっている間にリングで手足を封じた、『リストレイント』って名前なの、素敵でしょ♪」
「くっ……こうなったら、尻尾だけで意地でもおまえを捕まえてやるにゃ!」
「あらそう、でも残念ね、あなたは今からそれすらもできなくなる」
「どういうことだにゃ!?」
「すぐにわからせてあげる♪」
緩菜ちゃんは水色のリングを3つ飛ばしました。
3つのリングはニーナちゃんの3本の尻尾にそれぞれ1個ずつ付き、尻尾が元の長さに戻っていきます。
そして完全に動かせなくなってしまいました。
「にゃ〜!?尻尾が勝手に戻ったにゃ!?しかも、動かせない……!?」
「そのリングはね、聖水と同じ効果があるの、妖怪は聖水に弱い、かかっただけで能力が使えなくなるどころか身動きすら取れなくなるのよ」
「そんな!卑怯だにゃ!」
「卑怯?そもそもあなたがいきなり私を攻撃したのよ?話し合いじゃ解決しそうにないからあなたを動けなくしたまでよ」
緩菜ちゃんはニーナちゃんにゆっくり近づきました。そしてニヤリと笑いました。
「く、来るにゃ…!」
「さて、どうやって遊んであげようかしら?」
これはまずい、緩菜ちゃん…ニーナちゃんになにかするつもりだ。止めなきゃ!
私は緩菜ちゃんの所に行きました。
「緩菜ちゃん、もうやめようよ!もう勝負は着いたでしょ?」
「鈴、この猫ちゃんは少し育ちが悪いみたいなの、だから少しお仕置きしないと」
緩菜ちゃんはニーナちゃんの頬をパシンっと手で何度も何度もはたきました。
「痛っ!痛い!やめろにゃ〜!」
「ふふふ♪どう?痛い?でもあなたが悪いのよ、あなたがいきなり攻撃してこなければこんなことにならなかったのに」
「くっ……!人間のくせに……にゃ〜を見下すんじゃないにゃ!」
「あら、まだそんな威勢があるのね、身体のどこも動かせないのに」
緩菜ちゃんは魔法書を取り出しました。
このままニーナちゃんに攻撃をするつもりなのです。
「緩菜ちゃん、やめて!」
私は緩菜ちゃんの腕を掴み、止めようとしました。
「どうして?喧嘩を売ってきたのはこの子なのよ?それに、まだ反省してないみたいだし」
「そうかもしれないけど…そこまでやる必要ないじゃない!」
「大丈夫、殺したりしないわ、少し痛めつけるだけよ」
緩菜ちゃんは腕を上げています。もう魔法を唱える寸前です。どうしよう……このままじゃニーナちゃんが……そんなの、そんなの絶対に……。
「ダメーーー!!!!」
私は思わず叫びました。
そして私の青い宝石が強い光を放ちました。それと同時に辺りに衝撃波が出ました。
「わっ!?これは!?」
「宝石が…光ったにゃ!」
さらにニーナちゃんの体に付いていたリングが外れ、緩菜ちゃんとニーナちゃんは少し吹き飛ばされ、尻もちを付きました。
しばらくすると、衝撃波は止み、宝石の光もなくなりました。
「なんだったの……今の……」
「わからないにゃ、でも、とんでもない力を感じたにゃ……」
すると、私は突然意識が遠のいて行き、ついには倒れてしまいました。
「鈴!」
「鈴にゃ〜!」
「鈴ちゃん!」
しばらくして、私は目を覚ましました。
まず最初に視界に入ったのは心配そうな顔をしているみぃちゃんでした。
「あ、気づいた!鈴ちゃん、大丈夫?」
「みぃちゃん…私は一体…」
「鈴ちゃんの持ってる石が急にすごい力を発揮して、鈴ちゃんが倒れたの」
「ニーナちゃんと緩菜ちゃんは?」
「鈴ちゃんのおかけで戦うのはやめたみたい、お互いピリピリしてるけど…」
顔を横に向けると、ニーナちゃんと緩菜ちゃんは腕を組んで椅子に座っていました。2人ともそっぽをむいています。
「もう2人とも仲良くしようよ…どっちもごめんなさいっていいなよ」
「私はこの猫が謝るまで謝らないわよ、何にもしてないのに突然襲いかかってきたのはこいつなんだし」
「ふん、よく言うにゃ、鈴にゃ〜の石の力を使って悪いことしようとしてた癖に」
緩菜ちゃんはそれを聞いて反論します。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!私そんなことしようとしてないわよ?」
「じゃあなんで鈴にゃ〜をさらったりしたんだにゃ!」
「さらってないわよ!私は鈴と話がしたいからここに来てもらっただけよ」
「にゃ!?鈴にゃ〜、ホントかにゃ!?」
「うん、前にも言ったけど緩菜ちゃんは悪い人じゃないの、協力してくれた私たちにお礼をしたかったんだって」
「じゃ、じゃあ、もしかしてにゃ〜の勘違い……!?」
「そうみたいね、まったく、冤罪もいいところだわ」
「ご、ごめんなさいにゃ…てっきり鈴にゃ〜の石が狙いだと思ったにゃ」
「わかればいいのよ、私も悪かったわ」
2人はなんとか和解したようです。やっぱりニーナちゃんよ勘違いでした。
「そういえば緩菜ちゃん、どうしてあの本を試すとき、私達を選んだの?」
「この街で鈴を見かけた時、なんだか他人とは思えなかったのよ、利奈と同じ感じがしたの、いきなり話しかけても怪しまれると思ったから商売人のような真似をして、鈴が来るのを待っていたのよ」
「そして私は他の人を本に集中させて、鈴だけを救出した」
「それでにゃ〜達は放ったらかしかにゃ?」
「残念だけどテレポートできるのは1回につき1人だけなのよ、ごめんなさいね〜♪」
「謝る態度じゃないにゃ!それに全部タダであげるような商売人なんていないにゃ!」
「そこはどうだっていいのよ!元々鈴が目的なんだから」
「ま、まぁ、色々あったけどみんな揃ったし良かった」
その後、さっきの戦いで部屋の中がめちゃくちゃになっていたので私達は緩菜ちゃんの家の中を片付けと掃除をしました。
「その本はそっち、ああ違う違う!もう一個上の段」
「もう!いくつ本があるんだにゃ?絶対使ってないやつがあるんだからちょっとは捨てるにゃ!」
「全部大事な魔法書なの!魔法も使えない子猫ちゃんにはわからないでしょうけどね」
「あ!またにゃ〜を馬鹿にしたにゃ!商売が下手っぴな魔法使いのくせに!」
「なんですって!」
相変わらずニーナちゃんと緩菜ちゃんは言い合いが止まりませんが、なんだかんだで進んでるみたいです。
「そういえば鈴ちゃん、緩菜さんとはどういう関係なの?お友達?」
「うん、現実世界で親友が死んじゃったんだけどその子のお姉ちゃんなの」
「そうなんだ、緩菜さんも鈴ちゃんも大事な人を失って辛い思いをしてるんだね」
「もしかしたら、ここにその親友がいるかもしれないから見つかるまで一緒に頑張ろうって約束したの」
「見つかるといいね、親友さん」
「うん、みぃちゃんのお兄ちゃんもここにいるかもよ?見つかるまで一緒に頑張ろ?」
「うん!」
そして片付けが終わりました。
「ふぅ……やっと終わった……協力してくれてありがとう、良かったら家に泊まってかない?もう暗くなってきたとこだし」
「じゃあお言葉に甘えちゃおうかな?ニーナちゃんとみぃちゃんもそれでいいでしょ?」
「うんいいよ、緩菜さんのこといっぱい知りたいし」
「まぁ、1日くらいなら泊まってやってもいいにゃ〜」
私達は緩菜ちゃんの家に泊まることにしました。
そして次の朝の事です。
みぃちゃんが寝ている私を揺さぶっていました。
「鈴ちゃん、鈴ちゃん!起きて!」
「どうしたの?そんなに慌てて」
「朝起きてお散歩してたら街の様子がおかしいの、一緒に来て!ニーナちゃんと緩菜さんも見に行ってるよ」
何があったのでしょう。私は急いでベッドから離れ、街の中央へ向かいました……。
お久しぶりですrurusuです!
1ヶ月ぶりぐらいですかね、本当にマイペースですね(汗)
さて、今回は少し戦闘シーンを入れました。
やっぱり戦闘の表現って難しいですね、表現力と語彙力を身につけたいところです。
最近暑いですけど熱中症にはご注意を!
では、また次回♪