第6話、猫又さんの正体、この子も可哀想な子でした
私達は和服の猫又さんに包帯を巻き、ベッドに寝かせました。
辺りはすっかり暗くなっています。
「大丈夫かな?この子」
「大丈夫、生きてるみたいだにゃ、それにしても傷だらけだにゃ〜」
「何があったんだろう……」
和服の猫又さんがゆっくりと目を開けました。
「うーん……」
「あ、起きた!大丈夫?」
「い、嫌っ!やめて!もう迷惑かけないからぶたないで!」
和服の猫又さんは急に拒絶して目線を逸らし、目を固く閉じてガタガタと震えています。
しかし私とニーナちゃんは冷静に優しく声をかけてあげました。
「落ち着くにゃ、にゃ〜達はそんな事しないにゃ〜」
「私達はあなたを助けようとしているの」
和服の猫又さんは自分に危害を加えないと分かったのかこちらに顔を向けました。
顔は少し涙目でした。
「本当に……?」
「うん、だから何があったか話してみて?」
すると和服の猫又さんは起き上がり、今の状況を説明し始めました。
「私…人間のお兄ちゃんとお父さんとお母さんがいたの、でもお兄ちゃんが旅立っちゃったの、お父さんとお母さん寂しがってた、その日から私を『約立たず』とか『邪魔なやつ』とか言うようになって、ついにはぶってきたりして…」
「なんで?そんなに悪いことをしたの?」
「ううん、怒られるようなことは何もしてない…」
「だったらどうして!」
「わかんないの……そしたらお父さんとお母さんが私を無理やりここに連れてきて、私は木に縄で縛られて、お父さんとお母さんは私だけを置いて行っちゃった…」
酷い、酷すぎる、この子は別に何もしてないのに何故この子がこんなに傷だらけならなくちゃ行けないの?
私は怒りがこみ上げて来ました。
「そんな!お兄ちゃんがいなくなったからそのストレスをこの子にぶつけたって言うの!?理不尽にも程があるよ!」
「鈴にゃ〜気持ちはわかるけど落ち着くにゃ、この子が怖がっちゃうにゃ〜、それに今ここで鈴にゃ〜が怒ってもどうにかなる問題じゃないにゃ」
「そ、そうだね…ごめんね、取り乱しちゃって」
「いいの、でももうお家には帰れない、私はいらない子だし……」
和服の猫又さんはさらに暗い顔になってしまいました。
私もこの状況をどうにかしないと!でもどうしたらいいか全く分かりません。
するとニーナちゃんは笑顔でこう言いました。
「じゃあ、にゃ〜達が君を拾ってあげるにゃ〜、だから一緒に家に住むにゃ♪」
和服の猫又さんは少し驚いた顔をしています。
「本当!?」
「もちろんにゃ!そんな可哀想な子を放ってなんて置けないにゃ、鈴にゃ〜も文句はないにゃ?」
「うん!私達はあなたをいらない子だなんて思ってないよ♪」
「ありがとう、私に優しくしてくれて」
和服の猫又さんはさっきとは違い、笑顔を私達に見せてくれました。
「そういえば、私達の名前、教えてなかったよね?私は猫谷 鈴」
「にゃ〜はニーナって言うにゃ〜、よろしくにゃ♪」
「鈴ちゃん、ニーナちゃん、よろしく!私は『実』って言うの」
「実ちゃん、かわいい名前だね♪」
「ありがとう、お兄ちゃんが付けてくれたの」
「みぃにゃ〜はお兄ちゃんが好きなんだにゃ〜」
「うん、お兄ちゃんはいつも優しくしてくれたんだ、ん?みぃにゃ〜……?」
「そうだにゃ、鈴にゃ〜みたいに2文字にした方が呼びやすいと思ったから、最初の『み』を取ってそのまま伸ばしてみたにゃ〜♪」
いや、それは分かりますが、実ちゃんの聞きたいのはその「にゃ〜」という語尾では?
「ニーナちゃんっていつも『にゃ〜』って言ってるの?」
「鈴にゃ〜にも言ったけど、生まれた時から言ってるからこれが普通なんだにゃ〜」
「そうなんだ、なんだか可愛いね♪」
「そ、そうかにゃ〜?」
ニーナちゃんはちょっと照れています。
ニーナちゃんって褒められると弱いタイプ?
「実ちゃん、私はあなたのことをなんて呼べばいいかな?」
「なんでもいいよ、鈴ちゃんの好きなように呼んで」
「じゃあ私もみぃちゃんって呼んでいい?」
「うん、その呼び方大好き♪」
みぃちゃんは嬉しそうです。
するとみぃちゃんが何かを思い出したようにベッドから出ようとしました。
「そうだ、私の大事なもの!」
「これのこと?はい、一緒に落ちてたよ」
私はみぃちゃんを運ぶ時に持ってきた大きい布袋をに渡しました。
「ありがとう!良かったぁ…」
「それ何?ずっと気になってたんだけど」
私がそう言うとみぃちゃんは布袋の中から物を取り出しました。
中から出てきたのは三味線でした。
「これって、三味線?」
「うん、お兄ちゃんが旅立つ前にくれたの、お兄ちゃん三味線が得意で私も教えて貰ったんだ」
「みぃにゃ〜の三味線、聴いてみたいにゃ〜」
「いいよ、怪我が治ったら聞かせてあげる、私を助けてくれたお礼もしたいし」
「そうだにゃ〜、とりあえず今日はゆっくりと休むにゃ」
「うん!あ、でもその前にお腹空いちゃった、縛られていた間何も食べてなかったの」
「じゃあ何か食べるにゃ〜、作ってくるからちょっと待ってるにゃ〜、鈴にゃ〜、手伝ってくれるかにゃ?」
「うん、わかった」
私達はキッチンへ行き、急いで料理を作りました。
それをみぃちゃんの所に持っていきました。
「ありがとう、いただきます♪」
みぃちゃんは料理を食べました。するとみぃちゃんは涙を流し始めました。
「美味しい、久しぶりに美味しい物を食べた…」
「そんな泣くほどなのかにゃ〜……?」
「お兄ちゃんが旅立っちゃってから私はほとんどちゃんとしたご飯を食べられなかったの、だから嬉しくて……」
「気に入って貰えて何よりだにゃ〜♪」
その後、私達も夕食をすませました。
するとみぃちゃんはウトウトとしてきました。
「眠いの?みぃちゃん、」
「ん、ちょっと疲れちゃって…」
「じゃあ今日はもう寝るにゃ〜、よいしょっと」
ニーナちゃんはみぃちゃんがいるのにもかかわらずベッドに潜り込みました。
「ニーナちゃん…流石に3人が一つのベットって言うのは…」
「大きめのベッドだから問題ないにゃ〜♪」
「いや、そういう問題じゃなくて……みぃちゃんはいいの?」
「うん、私、お兄ちゃんとずっと一緒に寝てたから」
「あ、そうなの……」
私も仕方なく一緒のベッド入りました。
3人とも疲れていたのかすぐに寝付いてしまいました。
色々あった1日ですが、家族(?)も一人増え、これから楽しそうな生活が送れそうです。
どうも、rurusuです。
思えば私の小説って会話文だらけですよね、それって小説としてどうなんでしょうか?(汗)
もしよろしければコメントもお待ちしております♪
では、また次回!