第35話、従者との契約
鈴殿が、部屋を出ていくと同時に実殿、そしてセフトが追いかけようとするが、私は2人の腕を掴んで止める。
「すまない2人共、ここは私に任せてくれないか?2人はここに残ってリィルと一緒にニーナ様を見守ってて欲しい」
「う、うん」「わかったっす!」
私はすぐに鈴殿を追いかけた。
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私は図書館の扉の前に立ち、ふぅ〜っと深呼吸をして扉を開けようとしました。しかし後から追いかけてきた木乃葉ちゃんが私に声をかけます。
「鈴殿、少しだけ待って」
「木乃葉ちゃん.....」
「本当にやるのか?1人で」
「うん、みんなに頼ってばっかりじゃいられないから」
「そうか、じゃあ質問する」
木乃葉ちゃんが一呼吸置いて、再び口を開きました。
「何か勝算はあるのか?」
「わからない、でも、戦わないと!」
「そんな事じゃ勝てるわけない、しっかり策を立ててから挑むべき、あまりにも無謀すぎる」
「でも!私がやらなきゃ!無謀だとわかっててもリラさんに力を証明しなきゃ次に進めない!これは私の覚悟なの!」
「鈴殿.....なら、無理矢理にでも止める」
木乃葉ちゃんはそう言うと、目に見えない速さで私の背後へ回り込み私の首に針のようなものを刺しました。
「痛っ!何をして.........っ!?」
すると、突然私の体全身が痺れたように動かなくなり、その場に倒れてしまいました。立ち上がることは愚か指一本動かせません。
「う.....うごけ.....な.....い.....!?」
「すまない.....でもこれも鈴殿の為」
木乃葉ちゃんは私を担いで図書館の近くの空いていた部屋に入り、私を下ろしました。
「こ.....のは.....ちゃん.......何.....これ.....?」
「麻痺針を打った、針を取るまでは動けない」
「そん.....な.......取ってよぉ.....」
「取らない、鈴殿は考えが甘すぎる、勝てるはずもない相手に1人で突っ込むなんて覚悟とは言わない、ただの無謀だ、しばらくそこで頭を冷やして」
そのまま木乃葉ちゃんは部屋を出ていってしまいました。
(くっ.....なんとかこの針を取らないと.....!)
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バタンと扉を閉める。これで少しは頭を冷やすだろう。少なくとも考えを改め直さないと解放するつもりは無い。
それにしても、あの大魔道士にお世辞にも戦える力を持つとは言えない鈴殿が1人で挑もうだなんて、何を血迷ったのだろうか?全く、覚悟の決め方が違うとプレスターで注意したばかりだと言うのに.....。
私は一旦部屋に戻ろうと廊下を走る。すると後ろから氷で作られた小さい刃物が飛んで来た。こちらの言い方だとないふと言うやつだろう。
私はその気配に気づき、氷を避ける。後ろを振り向くと、水色の短い髪のメイド、ルノン殿が立っていた。
「見つけましたよ、木乃葉様」
「くっ.....!」
私もクナイを構えて戦闘態勢を取る。先に仕掛けてきたのはルノン殿だった。ルノン殿は氷のないふを複数魔法で生成し。私に飛ばしてきた。
私は全て軽々と避けた。これぐらい造作もない。私もクナイを懐から数本取りだし投げる。しかしルノン殿は氷の壁を生成し、クナイを防いだ。お互いに飛び道具を投げては相手の飛び道具を避けるという攻防戦が繰り広げられていた。しかしこのままでは負けてしまう、私の道具の数には限りがある。しかし相手は魔法だ。魔力がある限り無限に飛び道具を生成することが出来る。あまりに分が悪い。何とか接近しなければ.....。
私はクナイを両手に持ち、飛んでくる氷をクナイで破壊しながら、徐々に接近した。
(よし、この距離なら.....!)
私はルノン殿に飛びかかり、クナイを振った。そして、氷の壁を打ち破った。ルノン殿は一度距離を取る。
「私の氷障壁を打ち破るとは、なかなかやりますね」
「貴様らの目的はなんだ?何故ニーナ様を傷つけた?何故鈴殿を狙う?」
「リラ様はあなた方への仕返しと言っております」
「確かにニーナ様はリラ殿に失礼なことをしたかもしれない、だがここまですることないだろう!」
「あの方は怒ると徹底的に相手を潰そうとするのです、私も出来ればあなた方と戦いたくはない、しかし私達はあの方のメイド、潰せと命令されればあなた方を潰さなければなりません」
「正気か!?くっ.....!でもニーナ様、鈴殿に手は出させない!お前もイリス殿も手を出すと言うなら、私が止める!」
「いいえ、それは無理です、イリスお姉様は既にニーナ様達の部屋に向かっておられます」
「何だと!?」
いや、少し考えればわかる事だった。リラ殿は鈴殿の天生石を通して場所を特定することができる。つまり、今までの行動は全てお見通しという訳だ。しまった、早く向かわなければ.....!
「鈴様は、いま動けませんね、捕らえてリラ様の元へ差し出します」
「ルノン殿!」
「私の邪魔をするというのなら、あなたも排除します」
「やめろ!自分が何をしているかわかっているのか!?従いたくない命令に従って、戦いたくもない相手と戦って、おかしいと思わないのか!?主の暴走を止めるのも従者の役割なんだぞ!」
「私はあの方の命令に逆らうことができません、止めたければ私を倒しなさい、さもなくば、あなたは死にます」
ルノン殿は目を瞑り手を横に広げて何かを呟いた。私は必死で彼女に呼びかける。
「ルノン殿!やめろ!こんなことして何になる!?」
しかし、ルノン殿は無視して続けた。
「我が世界へと誘おう、心まで凍結する白の世界、声すら届かぬ氷の棺.....」
「くっ...!やるしかないのか.....!」
私はクナイを構えた。しかしもう遅かった。急激に辺りの気温が下がり、辺りが凍り始めた。廊下の絨毯、飾ってある花瓶、壁に貼り付けてある絵画、壁やドアまでも、私達の周り全てが凍っている。まずい、この場から一旦離れなくては.....。私は後ろに下がろうとするが、足が動かない。
「しまった!足元も凍ってる!」
「震え、凍え、凍てつくがいい!」
ルノン殿は目を開けて魔法を唱える。
「『グラス・リモンド』!」
次の瞬間、突然ルノン殿から眩い光が放たれ、辺りは光に満たされた。光が止み、私は目を開けた。地面に白い氷が敷き詰められただけの真っ白な世界。凍えるほどの寒さで、立っているのがやっとである。
しかし目の前のルノン殿は腕も足も肌が出ているのにもかかわらず平気な顔して立っている。
「ここは.....?うっ!さ.......むい.........」
「ここは私が魔法で作った別空間、マイナス34度の氷の世界です」
私はあまりの寒さにクナイを落としてその場にうつ伏せで倒れ込んでしまう。
「うぅ.....寒くて、力が.......!」
「ごめんなさい、ですが私が責任をもって看取りますから.....」
ルノン殿は私の目の前まで近づき、しゃがむ。そして右手で私の頬を触れた。すると、触れた所が凍り始めた。凍えきって感覚などないこの身体では最早冷たさすら感じなかった。
それでも、私が何をされるかは嫌でも察してしまう。私の顔を凍らせ、窒息死させるつもりなのだ。
「くぅっ.....!やめ.....ろ.....!」
「冷たい世界で、ゆっくりとお眠りなさい」
頬の氷が広がっていく、苦しい、息ができない。意識が薄れていく。ここまでか.....。
と思ったその時、突然氷の世界がひび割れて崩れ始めた。そして元の屋敷の廊下へと戻る。ルノン殿は頬に触れていた手を離し、反対の手で触れていた方の腕を抑えて痛がっている。それと同時に顔の氷も溶け始めた。助かったのか?
「私の氷結界魔法を破った!?」
「間に合ってよかったわ〜、危ないとこやったな、木乃葉はん」
聞き覚えのある声が後ろからする。この柔らかくて独特な話し方。アガルータに来る前に寄った村で世話になった者、黒乃殿の声だ。黒乃殿の声が近づいてきた。その方向に顔を向けると、弓を持った黒乃殿が膝を着いて心配そうに私を見つめている。
「木乃葉はん、大丈夫か?冷た!冷えきっとるやないか!はよ身体温めんと風邪引くで」
「黒乃殿.....どうしてここに.....」
「話は後や、少し待っててな」
黒乃殿は立ち上がりルノン殿を見つめる。ルノン殿はかなり動揺しているようだ。
「何者ですかと言いたいところですがその前に一つだけ質問させてください、私の結界魔法をどうやって破った!?」
「結界の中を狙っただけやで?」
「っ!?結界に穴などないはず!それに結界内は別空間のはず、それを外から中の私をただの弓矢で撃つなど!」
「不可能じゃないで、ウチもワーハクタクとはいえ、妖怪の端くれ、結界の構造ぐらいは勉強済みやで、少し矢に妖術で細工をしたんや」
「ちっ!誤算だった、一度引きますリラ様」
「うぅ.....待て.....ルノン殿.....!」
ルノン殿は逃げ帰って行った。そして、黒乃殿が周りの安全を確認し、弓をしまって、私の腕を自分の肩に回した。
「立てるか?」
「かたじけない.....そこの部屋に鈴殿がいる、そこで話をしよう」
私も力を入れ立ち上がり、さっきの部屋に入った。
鈴殿は息切れを起こし、大人しくしていた。恐らく後ろ首に刺さった麻痺針を抜こうと必死にもがいていて、疲れてしまったのだろう。
「鈴はん?どうしたんや!」
「私が麻痺針を打った、抜いてあげて」
黒乃殿は首の針を抜いた。そして、鈴殿は起き上がり壁に背をつけて床に座った。
「はぁ.....はあ.....」
「大丈夫か?鈴はん」
「ありがとう.....って、黒乃ちゃん?なんでここに?」
「今から話す、木乃葉はんもそこに座り」
私は頷き、黒乃殿から離れて鈴殿の隣に座った。黒乃殿はふぅっと息をついて口を開いた。
「とりあえず2人とも無事みたいやな、安心したわ、実はヒョウ姉ちゃんが鈴はん達が村を出た後どうしても心配って言うからな、ルミはんと一緒に着いてきたんよ」
「え?来たのってルミちゃんだけじゃなかったの?」
「ウチらは外で待機しとったんよ」
「ウチら、ということは豹牙殿もいるのか?」
「もちろんや、多分他のみんなの所に向かってるで」
「よく居場所が分かったな」
「これのおかげやで」
黒乃殿は着物の懐から、小さな黒い箱のようなものを取り出した。
「ルミはんからもらってな、これで状況を説明してもらったんや」
「なんだそれは?」
「とらんしぃばぁ言うらしいわ、この黒い箱で遠くでも会話ができる凄い道具やで」
「機械か、ならその道具でそっちに「イリス殿が向かってると」伝えてくれないか?」
「了解や!」
黒乃殿は黒い箱に話しかけ始めた。機械を否定する訳では無いが、あんな小さな道具で遠くの者と会話出来るなんてにわかにも信じられない話だ。
「あー、あー、ルミはん?こっちは何とか無事やで、木乃葉はんがそっちにイリスって人が向かってるらしいわ、え?わかった、伝えとくわ」
「どうした?」
「えっと.....そのイリスって人、来てないらしいで?」
「本当か?一体何が.....」
「だから部屋に戻ってきて欲しいって、みんなで作戦会議やって」
「わかった」
私は立ち上がり、鈴殿に話しかけた。
「鈴殿、先程は無礼なことをしてすまなかった、鈴殿を止めるにはあれしか無かった」
「ううん、悪いのは私だよ、みんな必死に私を守ろうとしてくれていたのに勝手なことをしちゃった、ごめんなさい」
「確かにいずれは一人で立ち向かわなきゃ行けない時も来るかもしれない、でも、みんながいるうちは頼ってもいいんだ、行こう鈴殿」
「うん!」
私は手を差し伸べて、鈴殿は手を取って立ち上がった。
「それじゃ部屋に戻ろ?」
「ちょっと待って、リラ殿が天生石でこっちを見てる、このまま戻っても作戦がバレてしまう」
「どうするの?ここに置いていく訳にも行かないし.....」
「私に貸して」
私は手拭いを懐から取りだし、天生石を包んだ。そしてまた懐の奥にしまい込んだ。これで監視の目は止まったはずだ。
「これでよし、こうすれば音も聞こえないはずだ、しばらく私が預かる、大丈夫、後で返すから」
「うん!木乃葉ちゃんが持ってるなら安心だよ」
「ん、じゃあ行こう」
私達は、ニーナ様達がいる部屋に向かった。
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「遅い!」
私はリラ・フルール、アガルータの長にして理想郷大妖怪が1人、私は今、 ルノンとイリスを待っている。
猫谷 鈴を捕らえて連れてくるように指示を出したがあまりにも遅い、水晶で猫谷 鈴の居場所を確認しても図書館の近くの部屋の中で一切動かない。
「一体何をしてるのです!猫1匹捕まえるのに何分かかっているのですか!」
すると、図書館の扉が開き、ルノンが入ってきた。左の腕を右手で押えている。負傷したのだろう。
「申し訳ありませんリラ様、作戦を失敗してしまいました」
「誰が逃げ帰ってきていいと?彼女はまだ近くの部屋にいるはずでしょう?さっさと捕まえてきてくださる?」
「どうやら、あちらに助っ人が来たようです、かなり強敵の様子」
「おバカさんですわね、猫谷 鈴を人質にすれば手を出せないはずでしょう?ほら、もう一度行ってくる!」
「リラ様!何故そこまでするのです!?」
「お黙り!あなたは私の命令を聞いていれば良いと何度言ったらわかるのですか?私の命令が聞けないのなら契約を切りますわ!」
「.....っ!分かりました」
「では、もう一度行きなさい」
「ですが取り逃してしまいました、どこに行けばよろしいのでしょうか?」
「どこって、この水晶を見ればわかるでしょう?」
「.......えっと、何も見えませんが?」
「そんなわけな.......え?」
私は水晶を見る。だが水晶の中は真っ暗だ。
何かがおかしい、天生石を持っているのなら何かに包まれていない限り、そこの状況が分かるはずだ。ん?何かに包まれていいない限り.....?
「あーーーーーっ!!!!」
「ど、どうされたのですか?」
「ルノン!さっさと猫谷 鈴達を探しなさい!他のものは殺しても構いません、とっ捕まえて連れてきなさい!」
「そんなっ.....!いえ、かしこまりました.....」
ルノンは図書館を出ていく。そうだ、この水晶は望遠鏡と同じでレンズの部分を隠されてしまうと何も見えなくなってしまう。聞こえてくる音も布で包まれてしまうと篭ってしまう上に布で摩れる音で周りの音が一切聞こえなくなる。
「たかが妖怪もどきの癖して手の込んだことを.....!腹が立ちますわ!あんなのに負けるもんですか!理想郷大妖怪の威厳のためにも、何がなんでも潰しますわ!」
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黒乃ちゃんと合流した私達は自分達の部屋に着きました。部屋のドアを開けると、ベッドに座っているニーナちゃんと隣に座っているみぃちゃんとリィルちゃんとセフトちゃん、近くの椅子に退屈そうに座っているルミちゃんがいました。
「あ!鈴にゃ〜!」「鈴ちゃん!」
「ニーナちゃん!よかった、起きてたんだね、大丈夫?」
「鈴にゃ〜も無事でよかったにゃ、一人で行くなんて言うからにゃ〜心配しちゃったにゃ」
「ごめんなさい、ところで豹牙ちゃんは?」
椅子に座っているルミちゃんが答えます。
「さっき連絡があったわよ、隣の部屋にいるらしいわ、赤毛のメイドをとっ捕まえてね」
「えっ!?イリスさんを!?わかった、あの人に聞きたいことがあるのちょっと行ってくる!」
「鈴ちゃん!私も行く!」「にゃ〜も!」
みぃちゃんとニーナちゃんがベッドから降りました。しかし、木乃葉ちゃんとリィルちゃんがニーナちゃんを止めます。
「ニーナ様、まだ大人しくしていた方がいいかと」
「そうだよニーナ様、起きたばっかりなんだからまだ休んでた方がいいよ〜!」
「たっぷり眠ったから大丈夫にゃ、2人はここで待ってるにゃ」
「はーい♪」「御意」
私達は隣の部屋に行きました。部屋の扉を開けると。中には腕組みをしながら立っている豹牙ちゃんと、椅子に縄で縛られているイリスさんがいました。
「おお、鈴達やないか!どうしたんや?」
「本当に捕まえてる.....」
「ん?あぁこいつか?とりあえず何が起きたか説明した方が良さそうやな」
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少し前のこと、ルミからの連絡で屋敷に入り、黒乃と別行動を取った後のことである。
ルミからここの者に襲撃に会う可能性があるので合流してくれという連絡が入ったので、ワイはルミから貰ったとらんしーばーの声の案内を頼りに部屋の近くへと辿り着いた。そして部屋の扉へと近づくと、反対側から赤毛で白黒の服を着た女が足早で歩いてきた。
「っ!あなた何者ですか!」
「うん?あんたここのもんか?」
「えぇ、私はこの屋敷のメイドですわ」
「そうかい、なんや忙しそうやなぁ、この部屋になんか用か?」
「よそ者に教える義理などありません、そこをどいて頂けますか?さもないと、力ずくでも追い払います」
「何をそんなに焦ってるんや?そう言われるとどきたく無くなるなぁ、なんなら無理矢理にでも捕まえて目的を聞き出すんも悪くないな」
私は思わずニヤついてしまう。こう闘争心を向けられるとワイも心が踊ってしまうのだ。ワイは薙刀を構えた。さて、どれくらいのもんかお手並み拝見と行こうか。
「あくまで邪魔をすると?分かりました、貴女を捕らえます、覚悟してください!」
赤毛の女は構える。だが遅い、薙刀を構えた時点で戦いは始まっている。ワイは素早く後ろに回りこみ薙刀の石突で赤毛の女の膝裏をトンっと小突く、体制を崩したのを確認して薙刀を背中にしまい、倒れてくる女の背中を片手で受止め、もう片方の手で膝の裏を抱え持ち上げる。お姫様抱っこ状態だ。
「うわっ!?やめてください!降ろしてください!」
「ちょっと失礼するでお嬢さん」
ワイはそのまま隣の部屋を足で開けて中に入り、女を椅子に座らせて腰に着けていた縄で縛った。これもルミから貰った縄だ。持っていて損は無いと言われたが確かにその通りだ、ルミの備えの良さにワイは感心した。
「くっ!解きなさい!こんなことをしてただじゃ済まされませんよ!貴女を捕らえてリラ様に突き出してやります!」
「おっと、それ以上減らず口叩くと首が飛ぶで」
ワイは薙刀を取り出し、刃の部分を女の首に突きつける。
「っ!?わ、分かりました、要求はなんですか?」
「喋らんと大人しくしとったらそれでええ、ああせや、あの部屋に何があるんや?教えてくれんかの?」
「中にいるのはお客様です」
「名前は?1人でええで」
「そこまでh.....っ!?」
そこまで教えられないと言おうとしたのだろう、ワイは薙刀が当たらないように首スレスレの所で振った。ワイはもう一度聞き返す。
「な ま え は ?」
「ニ、ニーナ様です」
「よしわかった」
ワイはとらんしーばーを取り出し、口に近づけてぼたんを押す。
「あーあー、こちら豹牙、今隣の部屋にいるで」
『なんで隣なのよ、早くこっちに来てくれる?』
「いや、あんたらの部屋の前にここのめいどっちゅーのがおっての、とっ捕まえとったんやが、こいつが敵か?」
『その人の髪色は?』
「赤毛やで?」
『ビンゴ、そいつが敵よ、そのまま待機してて頂戴、いざと言う時には人質にできるわ』
「了解」
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「という訳なんや」
「そうなんだ、助けてくれてありがとう!でも村はいいの?猛獣とかは豹牙ちゃん達が全部追い払ってるんじゃ.....」
「ん?あぁ、村の子供達なら街で好き勝手やっとるで」
「え?ということは.....村の人達、全員連れてたの?」
「せやで?村のもんほっとけないなら連れてくればええだけの話やろ?」
「そ、そういうものかな.....?」
「で、こいつどうする?」
「私、イリスさんに聞きたいことがあるの」
イリスさんは私に目を合わせました。私は一呼吸置いて口を開きます。
「ねぇイリスさん、あなた達の目的は何?どうして私達を捕まえようとするの?」
「リラ様はあなた方の復讐が目的です、私も本当はこんなことをしたくはない、あの方のご命令には逆らうことができません」
「そのリラっちゅーやつがどんなやつか知らんが、話を聞く限りあまり従いたくないって言い方やな」
「ええ、ですがそれが出来ないのです」
「なんでや?」
「昨日の出来事と混じえて説明しましょう、リラ様は昨日ニーナ様に屈辱を受けたとかなりお怒りでした.....」
イリスさんは昨日の夜の話を始めました。
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昨日の夜、夕食が終わった後の話である。
私とルノンはリラ様に呼び出された。
「あの猫共に復讐です、今日の夜中まずニーナを捕えて目覚めた瞬間に痛めつけてやりますわ」
「リラ様!大人気ありませんよ?少しちょっかいを出されただけではありませんか!」
「お黙り!イリスとルノンは明日図書館で待機してるように、猫谷 鈴を私がおびき出して潰します、あなた方は猫谷 鈴が、逃げ出しそうなら捕らえて私の元へ連れてきなさい」
「リラ様!さすがに従えません!」
「いいえ、従ってもらいます、契約をお忘れですか?」
契約、それは私達とリラ様との間に交わさたもので、私達に魔力を与える代わりにメイドとなり絶対服従をするというものである。
そして、リラ様は契約を結ぶ時、私達に魔法をかけた。その魔法とは.....
契約を切った瞬間に発動し、与えられた魔力が全て消えると同時に即死魔法が発動する
というものである。そのため私達は命令に背くことが一切出来なくなってしまったのだ。
「くっ.....!かしこまりました」
「あなた方は何も言わずに私の言うことを聞いていれば良いのです、そうすればあなた方の魔力は永遠に保証してあげますわ」
私は次の朝、納得が出来ぬまま命令に従い実行した。
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「そんな!じゃあイリスさん達は契約のせいで自由を奪われてるってこと!?」
「ええ、ですから私達は実行せざるおえなかった」
「じゃあ今朝天生石のことを教えてくれたのも、私を潰すための罠.....」
「はい、あの方はニーナ様を痛みつけるだけでは飽き足らず、今度はあなたを潰そうとしているのです」
私の身体が怒りで震えます。ふざけてる。いくら法律がないとはいえ、こんなのやっていい事じゃない.....。
「イリスさん、あの人の暴走を止めよう!私、許せないよ!」
「しかし、私には契約が.....」
「イリスさん、私に考えがあるの、ルノンさんを説得して連れてきて!天生石は隠してある、だからリラさんにはバレない、安心して?」
「分かりました」
私はイリスさんの縄を解きました。イリスさんは部屋を出ます。
「ニーナちゃん、みぃちゃん、豹牙ちゃん、お願い!手伝って!」
「もちろんにゃ、あの魔道士、とことんムカつくにゃ!部下を持つ者としてしっかり教育してやるにゃ!」
「鈴ちゃんの為なら私も頑張る!」
「可愛い弟子のことや、断る理由はないやろ?」
「ありがとう、じゃあ早速隣の部屋で作戦会議しよう!」
私達は隣の部屋へ行きました。
大変後れてしまい申し訳ありませんでした!
ここのシナリオを完成間近で急遽書き直しという事態になってしまいまして、書き直してやっと投稿することが出来ました。お楽しみ頂けると幸いです。
では、また次回!




