第34話、天生石の秘密
アガルータの朝、
にゃ〜は起きてから歯を磨いて、窓から差し込む朝日を浴びながら紅茶を嗜んで部屋でのんびりとしている。
はずだった.....。
目が覚めるとベッドで寝ているのではなく、椅子に座っている。昨日椅子で寝た記憶が無い。しっかりと鈴にゃ〜とみぃにゃ〜と共に同じベッドに寝たはずだ。しかし今にゃ〜は椅子に座っている。部屋じゃない、窓どころか電気すらない、猫目なので暗いところは多少見えるが、にしても暗い。
にゃ〜は立ち上がろうとしたが、身体が動かない。肘掛けから手が離れず背もたれからも身体が離れない。何かが巻き付けられている。縄だ、にゃ〜は縄で椅子に縛られている。
(にゃっ!?捕まってる!?また!?)
前にも盗賊に捕まったことがある。でも、もう盗賊団は壊滅したはずだ。だとしたら誰が.....。というかここはどこなんだ。にゃ〜が困惑していると。部屋に光が灯る、ランタンに火が付いたのだ。まだ薄暗いが真っ暗よりはマシだ。部屋には木箱や樽が置いてある。どうやらここは倉庫のようだ。
目の前の扉が開き、1人の少女が入ってきた。この部屋の主、リラである。
彼女が入ってきたらすぐに察した。にゃ〜を捕らえたのはこいつだ。
「ごきげんよう、惨めな子猫ちゃん」
「リラにゃ〜.....どういうつもりにゃ?」
「どういうつもり?まさか昨日私に屈辱を味わせたことを忘れてはいませんわよね?」
ここで素直に謝っていれば、少しは、いや、大分変わっていたのかもしれない。
しかしにゃ〜は言ってはいけない事を口にしてしまったのだ。
「悪いのはリラにゃ〜だにゃ!鈴にゃ〜にあんなこと言うから!」
「この期に及んでまだそんな生意気な口が聞けるのですね、ようござんす、その強気な姿勢だけは認めてあげますわ、しかし、今のであなたの助かる道は完全に途絶えました」
リラにゃ〜は手のひらを上にして開くと魔法書らしきものが現れ手のひらの上に乗った。
「あなたには満足いくまで、私の玩具になってもらいますわ」
「お前の玩具になんてならないにゃ!早くこれを解けにゃ!」
「なるならないは私が決めること、さあ、覚悟しなさい、私は貴女方の行動を知っている、楽しみも悲しみも苦しみも私は見ていましたわ、これがどういう意味かお分かり?」
「?」
「分からないという顔ですわね、では、盗賊団のアジトで貴方が身につけていたあのリング、覚えていらっしゃいますか?」
「っ!?」
にゃ〜は全力でもがいてその場から逃げようとする。しかし、固く縛られた縄はビクともしない。
嫌だ、嫌だ、あれだけは.....あれだけは絶対に嫌だ.....。
「ふふふ♪怖いですか?怖いですわよね〜、あの痛みをもう一度味わうことになるのですから♪」
「い、嫌にゃ!嫌にゃ!」
リラにゃ〜は本を持っている手とは逆の手を本に添えて魔法を唱える。
「『トネール・エンチャント』」
すると添えた手がバチバチと言う音を立てて電気を帯びる。
にゃ〜は電気ショックの恐怖を知っている。全身に駆回るビリビリとした痛み、身体の神経という神経に細く鋭い針を何本も何本も突き刺したかのようなあの感覚。二度と喰らいたくない痛みである。
リラにゃ〜は電気で帯びた手を見せつけながら、1歩、また1歩と近づいてくる。
「く、来るにゃ.....来るにゃ.....来るにゃーーーーっ!!!」
そんなにゃ〜の必死の懇願にも一切聞く耳を持たず、リラにゃ〜は手に帯びた電気をにゃ〜のお腹辺りに押し当ててきた。
「に゛ゃああああああぁぁっっ!!!!」
盗賊団の拷問が比にならないぐらいの痛さ、そのあまり暴れ出そうとするがにゃ〜を固く縛る縄はそれを許さない。痛みから少しでも逃げようと体をなじっても逃れられず、にゃ〜に許されているのはただ悲痛な声を上げ続けることだけ。そんな地獄のような痛みににゃ〜は耐えられるはずもなく、一瞬にして意識を飛ばした。
「にゃぁぁっ.........ぁっ...........」
「あら、もう気絶しましたのね、まぁいいですわ、私にちょっかいを出したらこうなるということがこれでわかったでしょう、さてと、準備は整いました、あとはあの子を釣ればいいだけですわね」
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アガルータの朝、私は目を覚ましました。同じベッドで私達は真ん中が私、右にみぃちゃん、左にニーナちゃんというふうに寝ているのですが左にいるはずのニーナちゃんがいません。みぃちゃんはまだ寝息を立てて寝ています。
(あれ?ニーナちゃんもう起きてるのかな?)
私はみぃちゃんを起こさないようにベッドから降りました。
私は部屋を一通り探しましたがニーナちゃんの姿はありませんでした。
(お散歩にでも行ってるのかな?)
私は部屋の外に出ました。すると向こう側からリラさんが歩いてきました。そして、声をかけてきました。
「ごきげんよう」
「おはようございます、リラさん、早起きなんですね」
「当然ですわ、私はアガルータの中心的存在、自分の体調管理も出来ずにこの仕事は務まりませんわ」
「私も見習います、ところでニーナちゃん見ませんでした?」
「いいえ、見ていませんわ、自室にいないとすれば外にお散歩にでも行ったのでは?直ぐにでも戻ると思いますわ」
「そうですか、なら良かったです」
「そんなことより、今すぐに私の図書館まで来なさい、あなたに用がありますわ」
「わかりました!」
私はリラさんと一緒に図書館へ行きました。リラさんが椅子に座り、一息つくと口を開きました。
「さて、早速ですが、あれから色々と調べた結果、とある小説にそれらしき記述がありました、『最高神の領域への道は、隠された『扉』と多様な力を持つものの『鍵』が合わさることにより、開かれる』と」
「つまり、扉と鍵を見つけないとってことですか?」
「ええ、そうですわね、ですが朗報です、鍵がみつかりそうですわ」
「えっ!?その鍵ってどこにあるんですか!?」
「良い質問ですわ、扉を開けるための鍵、その鍵になりうるもの、それは、あなたの天生石ですわ」
「え?私の?」
「ええ、正直驚きましたわ、たかがワーハクタクの天生石が、まさかの特別製のものだったとは、やはりニライとカナイの考えは読めませんわね」
話をまとめると、ニライ様とカナイ様がいる場所へ行くには扉があって、その扉には鍵が必要で、その鍵が私の天生石だったとのことです。
「鍵はもう手に入ってるってことは後は扉を探せば!」
「いいえ、その天生石はまだ鍵としては使えませんわ」
「じゃあ、どうやったら鍵になるんですか?」
「小説には、『多様な力を持つものの鍵』と書かれています、あなたの天生石の力は、結界に触れた相手の技術を劣化版として使用する、という力でしたわね?」
「はい!この力のおかげで今日まで生きてこれました」
「運の良さと仲間の助けも相まってですがね、ちなみにあなたの習得した薙刀、弓、銃の技術は実際にその武器がないと使えませんわ」
「え?そうだったんですか?」
「えぇ、あくまで技術だけを習得した状態なので、まぁそれは良いとして、その力を『技術記憶』と呼ぶことにしましょう、この技術記憶、『多様な力』という部分に当てはまりませんか?」
「あ、確かに.....」
「そして、この世界には様々な天生石の力を持つ者がいますが、その中でも特別な力を持つ者があなた以外にもいますわ、その者の力をあなたの天生石に全て記憶させれば、あなたの天生石が鍵として完成する、ということですわ」
流石リラさんです。たった1文から、これほどの考察ができるなんて.....。
現実世界での定期テストが平均点以下の私の頭では、到底思いつきません。
「その特別な天生石の力を持ってる人ってどれくらいいるんですか?」
「現在わかっている範囲では、キリンヤガの城、アガルータ、蓬莱の国、桃源の都、カナン城、シャンバーラ、アルヴァロンの島、今上げた7つの国に1人ずついるとされています」
「えっと.....キリンヤガの城と、アガルータと.....」
「あなた、紙とペンはお持ちで?」
「えっ?いえ、持ってないです」
「はぁ.....貴方はほんとにニライとカナイの領域に踏み入ろうとしているのですか?」
「もちろんです!」
「ならなぜメモを取らないのです?私はさっきから重要なことを何個もあなたに伝えています、そんな小さな脳ミソで、全て覚えられるとは思えませんが?」
「そ、そんなに言わなくたっていいじゃないですか!」
「いいえ言います、いいこと?あなたはこれから旅に出ることになるのです、旅先で重要な情報を聞いても覚えていなければ何も意味がありませんわ、情報を聞いたらメモを取る!常識ですわ!」
リラさんは少し声のボリュームを大きくして言いました。確か現実世界の学校の先生にも、似たようなことを言われた気がします。私が痛いところを突かれて黙り込むと。リラさんは再び口を開きました。
「そして言われたらすぐに返事をする!」
「は、はい.....」
「なんですかその返事は!声もロクに出せなくなったのですか?もっと声を張りなさい!」
「はいっ!」
「ようござんす、あまりイライラさせないでいただけます?大きい声は疲れますのよ?今回は特別です、持って行きなさい」
リラさんは右手の手のひらを上にして手を広げるとその上にメモ帳のような小さなノートと羽根ペンが現れました。そして、リラさんが小さなノートと羽根ペンをポイッと上に投げるとノートと羽根ペンが宙を浮き、羽根ペンがひとりでにノートに文字をスラスラと書き始めました。そして、ノートがペンと共にふわふわっと私の元へ来ました。私はノートを受け取りました。
「今言ったことが全て書きましたわ、それはプレゼントです、情報は必ずメモしておくこと、帰ってきた時に見せてもらいますからね」
「はい!ありがとうございます!優しいんですね、リラさんは」
「当然ですわ、ところで、ニーナの場所を知りたくありませんか?」
「えっ?でもさっきリラさんは知らないって.....」
「ひとつ教えてあげます、この世界には、優しさを利用して罠にかける者もいます」
そう言うとリラさんはニヤリと不敵に笑い、右手を上げました。すると、突然リラさんの隣に、縄で椅子に縛り付けられた傷だらけのニーナちゃんが現れました。
「えっ!?ニーナちゃん!?大丈夫!?」
「うぅ.....す.....ず.....にゃ〜.......」
「ご安心なさい、殺してはいませんわ」
「なんでこんな酷いこと!」
「昨日の事に腹を立てたからです、この猫は私に汚い尻尾を巻き付けた、高貴な私に対してあのような行為は侮辱に値しますわ」
「だからってここまでしなくったっていいじゃないですか!今すぐニーナちゃんを離してください!」
「返して欲しいなら、私と戦いなさい、勝てばニーナを返します、そして私の特別な力を差し上げますわ!」
「天生石、お願い!」
私は天生同化を開始しました。
そして、リラさんがパチンと指を鳴らすとニーナちゃんが消えてしまいました。
「ニーナちゃん!」
「大丈夫、この屋敷のどこかにテレポートさせただけですわ」
「リラさん!さすがに許せません!」
「来なさい猫谷 鈴、あなたも攻撃手段は持っているはず、私に勝ってニーナを見つけ出して御覧なさい」
そう言われて、私はおきつね様が使っていた炎の玉を思い出しました。右手を上げ力を込めます。すると、私の周りに青い炎の玉が4つ作り出されました。そして、私は手を前に振り下ろします。
「行って!」
炎の玉はリラさんに飛んでいきました。しかし、リラさんの目の前で炎が全て消えてしまいました。
「あれ!?消えちゃった!」
「魔法障壁ですわ、そんな見え見えの攻撃にはわざわざ使うまでもないのですが、本を燃やされても困りますのでね、では、次はこちらから」
(来るっ!)
リラさんはさっき小さいノートを出現させた時と同じように、本を自分の元に出現させ、本を開き魔法を唱えます。
「『ルミエール・エギュイーユ』」
そして、リラさんの本から大きな黄色い魔法陣が現れ、そこからこちらに向かって光の針が大量に飛んできました。すかさず私は結界を張って身を守ります。
「天生結界、いつまで持ちますかね♪」
「くっ.....!」
結界の振動が強い.....もう天生結界が限界に近づいています。まずい状況です、早く打開策を考えないと.....。
しかしもう考えるのも遅かったんです。光の針は私の結界に次々と突き刺さって、遂には結界に穴が空いてしまいました。そして、私の腕に光の針がカスりました。
「痛っ!」
私は咄嗟に手を引っ込めてしまいました。その瞬間結界が割れてしまいました。でも結界の破裂の衝撃で針が消えてくれるはず.....!
と思いきや、針は消えず私の至る所に突き刺さって来ました。表現出来ないほどの痛みが私の体全身に走ります。
「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!」
リラさんが本を閉じると。光の針が止み、私に刺さった針も消えました。それと同時に私もその場で倒れてしまいました。意識を保つのでやっとです。そしてリラさんが私の元にやってニヤリと笑いました。
「どうでしたか?私の特別な天生石の力、私の中の天力を光の武器に変換する力ですわ、そしてその力を魔法として使用する、あなたの天生結界ごときでは、私の魔法を防ぐことなどできませんわ」
「うぅ.........」
「ふふふ♪さっきの威勢はどこに行ったのですか?残念ですがあなたが私に勝てる可能性は微塵もありません、諦めて私に天生石を譲りなさい、そしたら殺さずに魔法の実験道具として使ってあげますわ、倉庫に捕らえてあるニーナと共にね、おっと答えを言ってしまいましたわ♪」
そんなの嫌だ、こんな所で諦められません。私は立ち上がろうと全身に力を入れましたが痛みで力が入りません。
「立ち上がろうとしても無駄です、もし立ち上がれたとしてもそんな傷だらけの状態で戦うことは不可能でしょう」
「くっ.......うぅ.......」
「悔しいですか?認められませんわよね?ですがこれが現実というものです、理想郷と言えども強い者が上に立ち弱い者を支配する弱肉強食の世界は同じ、認めざる負えませんわ」
リラさんは本を開いて魔法を唱える準備をしています。私にとどめを刺すつもりなのです。
(そんな.....ここで旅は終わりなの?利奈ちゃんの元には私には行けないの?私は死んで、ニーナちゃんのこともみぃちゃんのことも、今まで会ってきた沢山の人のこともみんな忘れちゃうの?)
そんな感情でいっぱいいっぱいでした。
嫌だ.....。こんな所で終わりなんで絶対に嫌だ!そう思った瞬間、私の天生石が強い光を放ち始めました。
「っ!?なんですの!?ぎゃっ!?」
そして、強い衝撃波が出て、リラさんは少しのけ反り、距離を取ります。
私は全身に力を入れました。痛くない、これなら立てる!私は立ち上がりました。
「絶対に負けない!負けるもんか!」
「っ.....!ルミエール・エギュイーユ!」
リラさんはもう一度魔法を唱えました。光の針が飛んできます。すると光の針は天生石に吸収されるように消えていきました。
「っ!?私の魔法針を吸収した!?」
「そうやって簡単に他人を傷つけて、他人を見下して、そんなの街の長のやることじゃないよ!」
「ただの妖怪もどき風情が綺麗事を、あなたに街の長を語る資格などある訳ありませんわ!」
「種族なんて関係ない!あなたのやってる事は間違ってる!」
「生意気な口をっ.....!」
リラさんはイライラしながら別の本を出現させました。
「遂に私を怒らせましたわね、いいでしょう、あなたを徹底的に潰して差し上げますわ、私の最上級魔法、最高神より与えられた特別な力、見せてあげます」
そして本を開いて右手を上げて魔法の詠唱を始めました。
「我が放つは無数の剣、魔力と天力より作られし光の刃、天生石よ、我が魔力と引替えに目の前の敵を滅ぼせ!」
リラさんの周りには光で作られた剣が次々と作られていきます。10本、50本、100本、いやそれ以上かもしれません。
そしてリラさんは右手を振り下ろしながら魔法を唱えます。
「『イネグゾースティブル・シュヴェールト』!」
すると光の剣が一斉にこちらに向かってさっきの針とは比べ物にならないぐらいのスピードで飛んできました。もう一度結界を貼ろうと手を伸ばしましたが、剣はもう目と鼻の先です。
(速い!結界が.....間に合わない!)
とその時。お腹辺りに横から軽い衝撃が加わったかと思うと
私は別のところに移動していました。そして私の視界に木乃葉ちゃんが写りました。
「あれ.....?」
「間に合った、大丈夫か?鈴殿」
「木乃葉ちゃん!どうしてここに?」
「何やら図書館が騒がしいから来てみたら鈴殿がリラ殿と戦ってた、鈴殿がもう少しで蜂の巣になりそうだったから助けに来た」
「ニーナちゃんが捕まってるの!助けなきゃ!」
「ん、リラ殿が倉庫に捕らえてあるって言った時にすぐにリィル達に向かわせた、だから大丈夫」
「逃がした!?どこに行ったのです?出ていらっしゃい!」
遠くの方でパニックになっているリラさんの声が聞こえます。私達はさっきまで図書館の中心に本棚がなく机と椅子しかないスペースがあるのですがそこで戦っていました。
ここは本棚の奥、本棚は長いものが1架ずつ遠感覚で置いてあり。私達は中心に2番目に近い本棚の奥(本棚の横の部分)に隠れています。この本棚の反対側は入口から中心に行くための道があります。
「よし、上手くいったみたい、とりあえず一旦リィル達と合流して体制を立て直そう、図書館から出られればひとまずは安心、バレないようにこっそり出よう、酷い傷……歩ける?」
「うん、天生石のおかげでなんとかね」
木乃葉ちゃんに連れられ、私達は本棚が並ぶこの図書館をなるべく音を出さずに走りました。しかし.....。
「そうは行かせません」
私達の進行方向に突然炎の玉が落ちてきました。ギリギリのところで止まったので当たらずには済みました。そして、炎が消えると赤いロングヘアーのメイドさん、イリスさんが現れました。
「見つけましたよ」
「イリスさん!そこを通して!」
「いいえ、通しません、リラ様にはあなたが途中で逃げ出すようならを捕らえるようにと事前に命令を受けていますので」
「くっ.....!鈴殿、こいつは私が食い止める、鈴殿は他の道から行って」
「うん!」
私は振り返って走り出すと、突然目の前に氷の壁が出来てぶつかってしまいました。私は尻もちをつきます。そして、氷の壁が消え、水色のショートヘアーのメイドさん、ルノンさんが現れました。
「うぅ.....挟まれちゃった.....どうしよう木乃葉ちゃん」
「こうなったら.....鈴殿、失礼する!」
「えっ?うわっ!?」
木乃葉ちゃんは私を抱え、横の本棚の上に向かってジャンプしました。しかし、もう少しで本棚の上と言った所で本棚から突然氷の天井ができてはたき落とされてしまいました。
「きゃっ!」「ぐっ!?」
私達は地面に体を打ち付けてしまいました。身体が強く痛みます。私達は何とか立ち上がりましたが、その時にはもう遅く、イリスさんとルノンさんに目の前まで詰め寄られていました。
「では、リラ様の元へ行きましょう」
私達は手を後ろに回され、ルノンさんに氷で作られた手錠をかけられてしまいました。そしてルノンさんは木乃葉ちゃん、イリスさんは私の腕を掴み引っ張って図書館中央へと連れていこうとしました。その時です。
パァンっ!パァンっ!
2回乾いた銃声が聞こえ、それと共に私と木乃葉ちゃんを拘束していた氷の手錠が砕け散りました。
音がした方を見上げると本棚の上に誰か立っています。拳銃を持ったルミちゃんでした。
「ルミちゃん!?どうしてここに!」
「豹牙があんた達のことが心配だって言ってあんた達が行った後、時間を少し置いて私をここに向かわせたのよ」
そしてルミちゃんは白いボールのようなものを私達の近くの地面に投げつけました。すると玉がパカッと割れて白い煙が立ち込めました。目の前が白に染って何も見えません。
「うわっ!ゲホッ!ゲホッ!」
「見えない.....」
そして、耳打ちで小さな声が聞こえてきました。
「真っ直ぐ走って!」
ルミちゃんの声です。私は言う通りにしてただひたすら全力で走りました。しばらく走っていると煙がなくなって辺りが見えるようになりました。ルミちゃんと木乃葉ちゃんも一緒です。
そして、私達は見つからないように本棚に隠れながら図書館を脱出しました。
「ふぅ、ここまで来れば大丈夫ね」
「ありがとうルミちゃん!」
「助かった、私からも礼を言う、しかし凄い腕だ、あの上から氷で作られた小さな手錠だけを撃ち抜くなんて」
「そりゃそうよ、この世界で何年殺し屋やってると思ってるわけ?銃の腕は伊達じゃないわ、とにかく、体勢を整えましょ」
「鈴ちゃ〜ん!」
廊下の奥からみぃちゃんが走ってきました。
「みぃちゃん!」
「リィルちゃん達から聞いたよ、無事で良かった〜、うわっ!?すごい傷!大丈夫?」
「私は何とか、それより、ニーナちゃんは?」
「部屋で寝てるよ、癒しの弦をしといたから後は完全に治るまで待つだけだよ、鈴ちゃんも今治してあげるからね」
みぃちゃんは三味線で癒しの弦を弾いてくれました。優しい音色で傷を治してくれる技です。そして、私達は部屋に行きました。ドアを開けると、ベッドに寝ているニーナちゃん、それを心配そうに見つめるリィルちゃんとセフトちゃんの姿がそこにありました。
「あ!鈴の姉貴!ニーナの姉貴は救出したっすよ!鈴の姉貴も無事でよかったっす」
「これで今回の貸しはチャラよセフト」
「ルミっち!?なんでこんな所に!」
「心配だから後からついてきたのよ、あんた達だと心配で仕方ないわって豹牙さんに言われちゃってね」
「あ、そうだ!ルミっちの銃、直して貰ったっすよ!」
セフトちゃんはルミちゃんに銃のケースを渡しました。ルミちゃんはケースを開け、中の銃を見るやいなや銃を抱き締めました。
「あぁ〜キリング♪帰ってきてくれたのね〜♪」
さらに、銃をマジマジと見つめ、銃の名前をひたすらに呼んでいました。
「キリング〜、私の愛しのキリング〜♪」
「ルミちゃんって変わった人だね.....」
「それほど大事にしてるってことっすよ、それよりも今朝何があったっすか?」
「それが.....」
私はみんなに今朝起こったことを全て話しました。
「じゃあその7つの特別な能力を手に入れれば、利奈さんに近づけるんだね!」
「うん、その特別な能力を多分リラさんが持ってる、リラさんに勝ったら能力をくれるって言ってたから、多分アガルータの特別な能力は」
「リラさんが持ってるってことだね、鈴ちゃん、頑張ろ!私も手伝う!」
「ありがとう、でも私、1人で行くよ!」
「本気か鈴殿!いくらなんでも無茶だ!」
「そうっすよ!それでさっき負けそうになってたじゃないっすか!」
「私、リラさんに言われちゃったの、私がここまで来れたのは運が良いだけだって、だから自分の実力で勝ちたいの!」
「鈴殿!流石にそれはみんな許可できないぞ!相手は大魔道士、相手が悪すぎる、下手したら死ぬんだぞ!」
「そうだよ鈴ちゃん、そんな危ないことはやめようよ!」
「それでも、私がやらなきゃ!」
「あっ!鈴ちゃん、待って!」
私は部屋を飛び出しました。確かにリラさんは物凄く強いし、私の勝てる相手じゃない、でも私は助けられてばかりで自分が何も出来ないなんて、そんなの嫌なんです。
私はみぃちゃん達の止める声を無視して図書館へと走りました。
どうも、最近寒くなってきましたね。体調管理には気をつけましょう!
さて、突然の戦闘シーンですが、図書館の表現がかなり難しかったですね、上手く伝わるといいんですけども.....。部屋の構造とかの表現ももう少し調べてみたいと思います!では、また次回♪




