第32話、招かれざる客
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私はルミ、いや、本名で言おう
『ルミ・アンナ・エーヴァ・コルホネン』だ。名前が長い?私がいた世界、ここで言う現実世界の私が住んでいた国ではそれが普通だ。ルミとでも呼んでくれ。
私はこの世界で殺し屋をしている女だ。この世界には法律などない、最初は耳を疑ったが本当に裁かれないのだ。この世界で私は様々な人間や妖怪を暗殺してきた。現実世界では、私はそんなことをする人間ではなく、ごく普通の女だった。しかし、仕事をしていたが会社が潰れ私は失業した。その後も私が行くとこ行くとこで会社が潰れ、安定した生活が送れなかった。親なんていない、病気で亡くした。
そんな中私に届いたのがこの世界への招待状である。
私は銃火器オタクだったこともあり、こっちに来た時に銃を扱う能力を貰い、格好も兵隊になっていた。
私は現実世界では何も取り柄がなかったし弱かった。だからこの世界では力のあるものを殺し、名を挙げるんだと決めた。
さて、前置きはここまでにしておこう、そろそろ私のターゲットがいる場所の付近に着く、そして私はとある森の木をよじ登った。そして双眼鏡でターゲットの位置を確認した。
建物の中に3本の尻尾が生えた猫耳の少女がいる。あれがターゲットだ。どうやらあいつはキリンヤガの城の王を倒し、国を変えた者の1人。あいつを殺せば、私は名が挙がる。
双眼鏡をしまい、持っているケースから銃を取り出す。私の愛用のスナイパーライフル、『キリング・スナイプ』だ。
「さあキリング、あなたの出番よ♪」
私は座っていた木の枝に立って、スコープを覗いた。3尾の猫は隣の黒い猫耳の少女と話している。
(奴は話に夢中ね、好都合じゃない♪)
私は呼吸を整え、良く狙い、引き金を引いた。
ダァンっ!
銃弾の音と共に一瞬にして建物に飛んでいく。さて、仕事は終わった。かのように思われたが、当たっていない。上手く避けたみたいだ。運のいいやつ、次で仕留める。
再びスコープを覗き、再び狙いを定めようとした時である、一瞬、スコープに弓矢が写った。その瞬間、何かがキリング・スナイプに当たり、その衝撃で銃を手放してしまう。
「うわああっ!?」
一瞬何が起こったかわからず、すかさず胸ポケットから双眼鏡を出し、ターゲットを確認した。すると、3尾の猫ではなく、その隣にいた黒い猫耳の少女が弓を持ちながらこちらを睨んでいる。バレているのか.....?
しかし、こちらを睨むのを止め、3尾の猫の方を向いた。
たまたまこっちを見ていただけか.....。
「そんなことよりキリング!私のキリングはどこ!?」
私は木を降りて、銃を探した。幸いにも近くに落ちていたが。最早私のキリング・スナイプは見るも無惨な姿になっていた。銃口に矢が突き刺さっているのだ。
「えっ.....?嘘.....あいつ.....あの距離で私の銃に当てたって言うの!?」
信じられない。この森はあの村から距離があるはずだ。
それに、3尾の猫も死んでいなかった。それどころか当たってすらいなかったように思える。つまり、私が撃ったことに気づいて、あの黒猫が3尾の猫を守り、その後私に対して弓を放って銃に当てたとでも言うのか?
「な、なんなのよ.....あいつ、訳わかんないわよ、そんなはずないわ!ありえない!しかも、私の愛用の銃が.....」
もうキリングは使い物にならない、絶対に許さない.....!
「あいつ、3本の尻尾の猫と一緒に殺してやるわ!」
とりあえず私は朝一番にあの村へ行くことにした。寝静まった後でもいいのだがそれだとつまらない、あいつを拘束して
嬲るだけ嫐った後に殺してやりたい、朝は寝起きで身体も鈍いはず、あいつの家に張り込みをして玄関から出てきたところを拘束する。
見てなさい、私を怒らせることがどんなに怖いことか思い知らせてあげる。私は夜になるまでこの森で一眠りすることにした。
日が完全に落ち、夜中となった村の中、どちらかと言うともう朝に近い。
民家の裏に身を隠しながらあいつが住む建物へと向かう、日が落ちるまでにあいつの家を特定しておいたので、探すのは容易だった。
奴の家の裏まで辿り着いた。拘束用のロープを素早く相手を縛れるように腰に付ける。懐からハンドガンを出し、左手に持つ、少し気が早すぎたか?しかし、準備が速いことに越したことはない。ナイフも右袖の中に仕込んでおいた。
あとは出てくるのを待つだけだ。
しかし、最悪な事態が巻き起こる。
「ふわぁ〜.....あれ?ルミっちじゃないっすか!」
「なっ!?」
私が向いている方向の逆から声が聞こえてきた。振り返ると青い髪の少女が立っていた。私はこいつを知っている。この世界の有名な盗賊、セフトだ。私はこいつと何度も会ったことがあり、盗賊団のアジトで酒を交わした仲だ。
私は慌てて銃を隠す。
「セフト.....!?なぜこんな所に!」
「いや〜実は目が覚めて、外に出てみたらルミっちがいたって訳なんっすよ、久しぶりっすね〜♪こんな所で会えるなんて思ってなかったっすよ」
「ちょちょちょ、静かにして.....」
私は小声で話しているというのに.....。こいつは.....。
「えっ?なんでっすか?」
「いやだから.......いや、え〜っと」
流石にここの村の人を殺害しに来たなんて言えない。嘘も方便だ。
「ほら、寝てる人の迷惑になるじゃない」
「それもそうっすね、でもなんでこんなとこにいるんっすか?もしかして道に迷ったんすか?なら、家に泊まりましょうよ、俺っちの布団使っていいっすから」
「いや、いいのいいの、ちょっと休んでただけだし、すぐに帰るから」
いや、待てよ、家に侵入出来れば作戦も実行しやすい、だがもう断ってしまった。自分の選択を私は後悔した。
「そうっすか?ならいいんすけどね〜」
「なぜこんな所にいるの?」
「実は今ある人達と旅をしてるんっすよ」
「盗賊団の連中?」
「いや、色々あって盗賊団は壊滅しちゃったんっすよ」
「えっ!?それであんたはどうしたのよ!」
「盗賊から脚を洗って今の人達と旅をしてるっす」
「つまり、あなたも拾われ物ってことね、同情するわ」
「いや、いい人に拾われて幸せっす、そういえばルミっちは何故ここに?」
「仕事よ、内容は言えないけどね」
「ルミっちはいつもそう言うっすね、でもいくら仕事とはいえこんなとこで眠ったら風邪ひくっす、中に入るっすよ」
まさかの展開、好都合だ。家の中に侵入してあいつの寝床を掴めば、起きた瞬間に作戦が実行できる。
私はセフトの言葉に甘えることにした。
「ありがとう、そうさせて頂くわ」
私はセフトに連れられ家の中に入り、部屋に案内された。
そして、セフトは小声でこう言った。
「俺っちが寝てた布団っすけど譲るっす、俺っちは廊下で寝るっすからゆっくり休んでくださいっす、ルミっちのことは朝に説明しとくっす」
ナイスセフト、知り合いでよかったと心から思った。そして、小声で話返した。
「いや、セフト、ここはあなたが寝てちょうだい、私が廊下に寝るわ」
「えっ、でも.....」
「私はみんなが起きる前にはここを出ちゃうわ、私は仮眠できるのなら大丈夫、セフトはゆっくりと休みなさい」
「そうっすか、そこまで言うならわかったっす」
「それじゃあね、セフト、また会えるのを楽しみにしているわ」
「もちろんっす!それじゃ、お休みっす、ルミっち」
「おやすみセフト」
私はそう言うのと同時に、3本の尻尾が生えた猫とその仲間が寝ていることを確認して廊下に出た。
全てが上手くいっている、後はあの黒猫を探すだけだ。3本の尻尾の猫達が目的だが、私のキリングを壊した罪の方が重い。1度ターゲットを変更、その後に3本の尻尾の猫達を殺る。
音を立てないように歩きながら部屋を一つ一つ確認する。そして、3つ目ぐらいの部屋の引き戸を開けた時だ。
黒猫が布団の中で気持ちよさそうに寝ているのを発見した。
私は中に入り、顔を確認する。やはりあの黒猫だ。
よし、しばらくこの部屋で待機だ。こいつが目覚めた瞬間に行動開始だ。夜明けまであと少し、夜が空けた時がこいつの最期だ。思わずニヤニヤしてしまう、私を怒らせたことをこいつはきっと後悔して死ぬだろう。そしたらまた、私は自分の腕に自信を持てる。
「ほう?こんな夜中にお客さんか、珍しいのぉ」
「っ!?」
後ろから突然小さな声で話しかけられた。振り返ると豹のような耳と尻尾が生えた少女が立ってる。少女は槍のようなものを持っている。目はいいので姿も顔もしっかりと確認できた。
私は思わず銃を取り出し構えた。しかし、この少女は動揺を一切見せなかった。暗くてもわかる、震えが一切なく怯える様子もない。それどころか私に話し続けるのだ。
「おっと、ええんか?ここでわいを撃ったらその子が起きてしまうで、狙いはその子やろ?」
「っ.....!」
そうだ、ここでこいつを起こしたら全てが水の泡だ。
私は銃をしまい、ナイフを取り出して構える。しかしもう遅かった。少女は既に私の懐に入り込み私の腹を殴った。
「ガハっ.....!?」
腹の上に鉛を落とされたかのような重い一撃をもらい、そのまま私の意識は刈り取られた。
「うぅ.....」
未だに消えない腹の痛みを抱えたまま、私は意識を取り戻した。手が後ろに組んだまま離れない、体育座りで壁に背をつけ、ロープで縛られている。
油断した。まさかまだ起きていたやつがいたとは.....。
ゆっくりと目を開く。視界に入ってきたのは私の腹を殴った少女、そして、私がターゲットとしている黒猫だった。
「気がついたな」
「.........」
「クロから話は聞いたけど聞くで、あんた何もんや?なんでクロを狙った?」
「.........」
私は目を逸らした。すると突然豹の耳の少女は後ろの壁に槍のようなものを突き刺した。刃が私の目と鼻の先にある。
「ひっ!?」
「目を逸らせなんて言うてへんで、質問に答えろって言うとるんや」
「そ、そこの黒猫を、殺しに来たのよ!こいつは私の大事なものを壊した、その復讐よ!」
私の答えに、黒猫が反応する。
「あんな物騒なもんこっちに向けて撃つからや〜、危ないやろ?」
「見えてたの!?あんたどんだけ視力いいのよ!」
「見えてへんよ、鉄砲を撃つ音が聞こえたからその方向に向かって矢を射っただけや」
「ありえないわよ!だとしても私のキリングだけを撃ち抜くなんて不可能だわ!」
「うち耳がええから、音でおおよその場所を突き止めて矢を射ったんや、不可能ちゃうで」
「なんなのよ.....なんなのよあんた達!意味わかんないわよ!ありえないことばかりじゃない!」
「あんたのしたいことも、何に対して怒っとるんかもよう知らんが、それでも家の妹に手ぇ出したんは事実」
豹耳の少女は槍のようなものの先を私の顎に斬れる部分を横にして軽く当て、クイッと私の顔を持ち上げる。
「目的はなんや、何故クロを狙う?」
「本来のターゲットはあんたじゃないのよ、3本の尻尾が生えた猫、そしてその仲間よ」
「殺してどうする?」
「名を上げるためよ、国ひとつ変えたあの猫達を殺せば、私の名が挙がる、それだけよ」
「そんなもんで本当に名が挙がるなんて思っとるんか?」
豹耳の少女の顔色が変わる。そして、私に向けていた槍のようなものを一旦自分の傍に置き、右手の拳を握り、思いっきり振りかぶり始めた。
「っ!?ま、待って!な、な、何を!?」
「うらああああっ!!!!」
振りかぶった右手が私に飛んでくる。私は目を瞑った。
しかし、殴ったのは私ではなく、後ろの壁だ。鈍い音がする。目を開けて確認すると、壁に穴が開いている。とんでもない怪力の持ち主だということがこれですぐに分かった。そして少女は口を開く。
「自分、自分が何を言うとるんか分かっとるんか?」
「な、何.....?うぅっ.....!?」
そして胸ぐらを捕まれ引き寄せられる。
「そんなくだらん理由で人殺して、命をなんやと思ってるんや?」
「この世界で死んだら生き返る、ただ記憶を無くすだけよ、命はいくらでもあるんだから、何をしても問題ないわ」
「じゃあ、あんたは首はねられても、文句は言えへんな?」
豹耳の少女は再び槍を持ち、私の首に刃を軽く当ててくる、少しでも動かせば頭と身体が真っ二つだ。
「何を!?」
「決まっとるやろ?首を切るんや、命はいくらでもある、なら、あんたの命もそうやんな?」
「そ、そんな、やめt.....」
「まさかやめろなんて言わへんよなぁ?」
「じょ、冗談でしょ!?」
「冗談で通じる話かいな」
私の言葉に被せ気味に話してくる。間違えない、本気だ。
嫌だ、嫌だ、こんなとこで死ぬ訳には.....。
「ちょ、ちょっとあんたコイツ止めなさいよ!」
「豹姉ちゃん、そこまでせんでもええて」
「いいや、クロが許してもわいは許さん、わいはな、こんな舐め腐った根性しとるやつが一番嫌いなんや」
黒猫も必死で声をかけるがどうやらこいつは止まる気がないらしい。背筋がゾッとする。
(そ、そんな、こ、殺される.....!誰か.....!)
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俺っちはセフト、元盗賊団の団長っす!
朝早く起きてしまい、俺っちは夜中と同じように外に散歩に行こうかと思って廊下を歩いていると。
「じょ、冗談でしょ!?ちょ、ちょっとあんたコイツ止めなさいよ!」
「豹姉ちゃん、そこまでせんでもええて」
とある部屋から声が聞こえる。ルミっだ。ルミっちは昔出会った時に気が合い、よく酒を交わした仲である。
昨日の夜中に再会したが、ルミっちは先に帰ると言ってた。まだ帰っていなかったのか.....。
部屋を覗くと、座ったまま手を縄で縛られていルミッちと、槍みたいな物(ナギナタと言うらしい)をルミっちの首に刃を当てている豹牙さんと、その後ろで豹牙さんを止めようとしている黒乃さんがいる。
これって、ルミっちが大ピンチってこと!?何があったかよく分からないけど.....。
「ちょっとちょっと!ストップ、ストップっす!」
「お、なんや起きとったんか、ちょいとこのこそ泥に用があってのぉ、朝の散歩でもしてきや」
「誤魔化してもダメっす!全部見てたっすから!ちょっと待って欲しいっす!状況説明が欲しいっす、ルミっち、帰ったんじゃなかったんすか?」
「セフト!」
「知り合いか?こいつは自分の名を上げる為に殺し屋をやっとるそうや、この村に来たんもニーナ達を殺るため、あんたも狙われてたかもしれんで?」
「じゃあ、ルミっちが言ってた仕事って.....」
「.......えぇ、これのことよ、セフトにもバレちゃったか、ははは、もういいわ、殺して頂戴」
ルミっちは一見冷静に見えるが足と声が震えている。死を覚悟していると言わんばかりの発言だが、怖いのは明白である。
「豹牙さん、どうかこの人の事許しちゃくれないっすか?」
「何を言うとるんや、自分で殺せ言うとるんやで?」
「この通りっす!」
俺っちはとっさに正座をして手を前につき、頭を下げる。
いくらルミっちが酷い人だとしても気が合った友達、失いたくはないのだ。
「ちょ、ちょっとセフト、やめてよ!これは私の問題なの!私は殺されて当然なことをした、それでいいのよ!」
「お願いっす!俺っちはたくさんの部下を失ってきたっす、だからもうこれ以上失いたくないっす!」
俺っちは何度も何度もお願いする。すると豹牙さんはナギナタを下ろす。俺っちは胸を撫で下ろした。
「気に食わんがしゃーないな、セフトがそこまで言うんやったら命は取らん、セフト、縄を解いたれ」
私は急いでルミっちの縄を解く。
「ふぅ、良かったっす、もう少しで友達を失うところだったっすよ」
「あんた、どうして.....」
「当たり前っす、ルミっちが何者だろうと友達は友達っす!」
「そんな.....ありえないわよ.....あんたどこまで優しいのよ.....」
ルミっちは涙を浮かべる。そして俺っちに優しく抱きついた。
ルミっちはずっと孤独だったのだ、現実世界でも不幸で、何も悪いことはしていないのに仕事を失った。でもルミっちは自分のせいだと思い込んでいたのだ。自分に才能がないから、どうしようもない人間だからと。彼女はただ認めて欲しかったのだ。
「でも、もうこれからは殺し屋なんて辞めるっす、そんな名の上げ方、かっこ悪いっす」
「そうね、私は殺し屋から足を洗うわ」
「反省してるのはわかった、せやけど、そう簡単に許す訳にも行かんな、やはり何らかの罰は受けて貰わなあかん」
「分かってるわ、この村の追放でもなんでも受けるわ」
「いいや、そんなことはせぇへん、罰はこれから決める.....そろそろ起きてくる時間やな、クロ、鈴達を起こしてここに連れてきてくれるか?」
黒乃さんはコクリと頷くと部屋を出た。
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「鈴はん、起きて〜、朝やで〜」
「う〜ん...もうちょっと.....Zzz」
黒乃ちゃんの声が聞こえます。ゆさゆさと身体を揺すっているようですが、私は昨日の修行の疲れがまだ取れておらず、布団から出たくありません。
「なかなか起きへんな〜」
「黒乃にゃ〜、にゃ〜に任せるにゃ!」
ニーナちゃんの声も聞こえました。そして、
パシンっ!パシンっ!
「痛い痛い痛い!起きる!起きるから!」
背中に鞭のような衝撃を受け、私は飛び起きます。私が起きなかった時の対処法としてニーナちゃんはいつも尻尾を叩きつけて来るのです。背中が少しヒリヒリします。
「もうだから痛いってば!もうちょっと優しく起こしてよ!」
「ウチ、ずっと起こしてたで.....」
「優しく起こしても5分ぐらい起きなかったよ鈴ちゃん」
「鈴にゃ〜はお寝坊さん過ぎにゃ」
「起こす身にもなって欲しいわ!」「ここまで起きないのも珍しい.....」
「ご、ごめんなさい.....」
はい、そうでした。私が起きなかったのが悪いですね。もう何も言えません。
「みんな起きたばっかで悪いけど、少し豹姉ちゃんの部屋に来てくれるか?大事な話があるんや」
大事な話?なんでしょう?
私達は、豹牙ちゃんの部屋に向かいました。部屋に着くと見慣れない女性と豹牙ちゃんが横に並んで正座をしていました。
「来たな、そこに座りや」
そう言われると私達も横に並んで座りました。そして豹牙ちゃんは見知らぬ女性の背中をポンッと叩き何かの合図を送りました。女性は口を開きます。
「会うのは初めてね、私はルミ・アンナ・エーヴァ・コルホネン、ルミとでも呼んでちょうだい」
「猫谷 鈴です、会うのは初めてって、私達を知ってるの?」
「こっからはわいが説明する、こいつは鈴達を殺そうとしてた奴や、村の外からずっとあんたはを狙ってたんやろな」「あっ!そういえば!黒乃にゃ〜と弓の練習してた時、窓の外から狙い撃ちされてたにゃ!」
「その犯人がこいつや、ニーナを狙い撃ちして殺せんかったから村に潜入して暗殺しようって作戦だったらしい」
「黒乃にゃ〜が守ってくれなきゃ危なかったにゃ〜.....」
豹牙ちゃんは説明を続けました。このルミって人は色々な所で殺人をしてきた人で、自分の名を上げる為にやっていたこと。
そして、キリンヤガの城での一件で私達が少しだけ有名になっていたらしく、それで私達を狙ったとのこと、しかし、豹牙ちゃんがそれを阻止してくれてたみたいです。
「人の命を軽く見るからこいつの首をはねてやろう思うたんやけど、セフトがどうしても許して欲しいって言うもんやからとりあえず生かしといてる、しかしそれなりの罰を与えなあかん、ほいで、鈴達に罰を考えて欲しいんや」
「き、急に言われても.....」
「じゃ、ちょい考えてもええで」
「え〜っと.....」
私が困っていると、木乃葉ちゃんが前に出てきて口を開きました。
「豹牙殿、この村を警備をする者はいるのか?」
「いないで、盗賊や猛獣は全部わいとクロが追い返しとるからな」
「なら、こいつを警備係にするのはどうだろうか?豹牙殿達はプレスターに出掛けることも多いのだろう?その時に襲われたらひとたまりもない、暗殺をやっていたなら多少対応はできるだろう」
「ふむ、ええなそれ、じゃあそれを採用する、ルミ、お前は今日から村を警備してもらう、ええな?」
「ええ、てかそもそも拒否権なんてなかったわね、ということは私も村人の一員ってことね、よろしく頼むわ」
「よし、皆、協力ありがとな、じゃ、道場に行くで!」
立ち上がろうとした豹牙ちゃんの肩を、ルミちゃんがガッっと掴みました。
「ちょっと待ちなさい!私も悪いとは思ってるわ、罰も受ける、でも、私のキリングを返してもらえないかしら?」
「返すもなんも、クロは壊しただけやで、奪ったわけやないし」
「村を守んなきゃ行けないんでしょ?キリングは私の愛銃、あれさえあれば村を守るなんて朝飯前よ、てかこの黒猫が壊したんでしょ!弁償しなさいよ!」
「と、言われてもなぁ、アガルータに直せるもんがいるかもしれんけど、村を放って行く訳にも行かんしなぁ.....」
アガルータ、私達が目指している場所です。私はニーナちゃん達と顔を見合せ、アイコンタクトを取りました。そして、私は言いました
「じゃあ、私達が行くよ!アガルータに用があるし」
豹牙ちゃんは驚いています。
「何を言うとるんや?あんたらはまだ1日しか修行しとらんやろ?流石にそれでアガルータまでの道を行くのは危険すぎる」
「お願い!豹牙ちゃん達は私達を守ってくれた、そのお礼がしたいの!あと、昨日の修行の成果も見せたいの!」
「1日で成果が出てると言いたいんか?ハッハッハッハ!おもろいな〜、よし、ええで、鈴達の成果、見せてもらうやないか!ルミ、あんたの銃を鈴達に渡したりや」
「私も行くわよ、罪償いの為にね」
「いや、あんたはだめや、この村を守るって言うたやろ?村を離れたらあかん、鈴達が帰ってくるまで修行に付き合ってもらう」
「心配してる割には任せようとするじゃない、本当は信用してるんじゃないかしら?」
「鈴達は1つの国を変えた事実がある、何とかなる思うてな、じゃあしっかり準備しときや、鈴は天生石にクロの弓の技術とルミの銃の技術を記憶させておくとええ、猛獣対策や」
「うん!」
私は道場に行って天生石に技術を記憶させました。そして各々準備をして出発の時です。
豹牙ちゃん、黒乃ちゃん、ルミちゃんは村の外まで見送りしてくれました。
「忘れもんないな?」
「うん!」「うん!」
「アガルータまでは一日かかる、だから着くのは夜やな、途中には昼でも襲ってくる猛獣がおる、常に警戒は怠ったらあかんで?」
「分かった!ありがとう!」「豹牙さん、泊めてくれてありがとう♪」
「気をつけて行くんやで、でもしばらくニーナはんとはお別れか〜、寂しいわ〜」
「大丈夫にゃ、必ず戻ってくるにゃ、次帰ってきた時にも弓を教えて欲しいにゃ♪」
「もちろんや〜、あぁ、いい子や〜かわえぇ〜♪」
「にゃっ!?くすぐったいにゃ〜」
「というわけだからセフト、私のキリングをよろしく頼むわよ」
「もちろんっすよ!新品にして持って帰ってくるっす!」
「あと.....ありがとね、私を救ってくれて、あなたは最高の友達だわ」
「俺っちにできることはあれぐらいしかなかったっすから、俺っちも盗賊から足を洗った身っす、お互い頑張るっすよ!」
「えぇそうね、行ってらっしゃいセフト!」
「行ってくるっす!ルミッち!」
私達は挨拶を済ませて村を出ました。
どうも、秌雨です。大変遅れて申し訳ございません!リアルの方がかなり忙しく、結局早く投稿するのが出来ませんでした。
さて、新キャラが登場です。かなりキャラが増えてきましたね、ゲームやらアニメやらでもキャラが沢山いるのが私は好きなのですが、いざ作ってみると設定とか大変なんですよね( ̄▽ ̄;) キャラの良さが伝われば幸いです。
前書きにもありますが2000PVアクセス本当にありがとうございます!これからも頑張って投稿していきますので是非楽しんでいってください!では、また次回♪




