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絶望の果ての理想郷  作者: 秌雨
28/48

第28話、旅の始まり


「はぁ…はぁ…」


走りすぎて息苦しく、心臓が破裂しそうなほど痛い。足ががくがくする。

おきつね様から逃げきり、街にたどり着いた私は、建物の壁に手を添えて前のめり姿勢で息を切らしていました。逃げているうちに夜が明けていましたが、どうやらまだお店とかは空いていない時間帯のようです。


(ここまで来れば…大丈夫…)


逃げてきたのはいいのですが、ニーナちゃん達のことが心配です。

私は深呼吸をして呼吸を整え、心を落ち着かせました。

すると、突然目の前にボンッと言う音と共に煙が立ち上がり、そこに木乃葉ちゃんが現れました。


「うわぁっ!?」

「やっぱり街にいた、ニーナ様達が探してる」

「木乃葉ちゃん…びっくりさせないでよ…」

「忍は音もなく現れるのが基本、これぐらい慣れてほしい」

「そんな無茶な…みんなはどこ?」

「もうすぐ着く、私が先に行って探せってニーナ様に言われた」

「そうなんだ、じゃあ見つけやすいところで待ってようよ!」

「それがいい」


私と木乃葉ちゃんはよく買い物をする果物屋さんに行きました。当然まだ空いている時間じゃありません。


私と木乃葉ちゃんはお店の横でニーナちゃん達を待ちました。

今の時間帯はあまり人がいませんが、普段は行き交う人々、賑わいが絶えない豊かな街です。もし利奈ちゃんを助けることができたらこの街でニーナちゃん達と一緒にお買い物したいな、そして、みんなと一緒に幸せに暮らしたいな……。

そんなことを考えていると木乃葉ちゃんが私に話しかけてきました。


「鈴殿、少しよろしいか?」

「どうしたの?」

「鈴殿は親友を助けるならどんなに困難なことがあっても乗り越えられる?」

「うん!私、絶対にあきらめない!」

「じゃあ質問変える、親友が助かる代わりに自分が犠牲にならなきゃいけなくなったらどうする?」

「私が犠牲になる!それで利奈ちゃんが助かるんだったら……」

「よく考えて、もしそれで親友が助かっても、その親友は鈴殿を失った悲しみを一生背負うことになる、今の鈴殿とおんなじ気持ちを親友に背負わせることになる、それでも犠牲になれる?」

「それは……」

「鈴殿は覚悟の決め方が間違ってる、こういう時は自分も親友も助けるって言わないとだめ、二度と自分だけが犠牲になるなんて言わないで、命はそんな簡単なものじゃない、言いたいのはそれだけ」


木乃葉ちゃんはそう言い終えるとまた黙り込みました。普段口数の少ない木乃葉ちゃんがこんなにも饒舌になるなんて……。


「じゃあ、木乃葉ちゃんもリィルちゃんがそういう事になったら両方助ける?」

「ん、絶対リィルは死なせないし、私も死ぬつもりなんてない」

「強いんだね、木乃葉ちゃんって」

「私はリィルを守りたいだけ、神社での修行中に大怪我した時にリィルに考えさせられた」

「そう言えば、あれは何があったの?」

「盗賊を好きにしていいって言われたから、良心で逃がしてあげた、でも騙されて私はお腹に蹴りを入れられた、リィルが必死になって魔法で盗賊を倒そうとしたけど、盗賊が私を盾にして私に魔法が当たって死にかけた」

「それ大丈夫なの!?昨日のことなんでしょ?」

「ん、リィル達が応急措置してくれたから大丈夫だった、リィルの泣き顔を見た時に考えが変わった、今までリィルが生きてれば私は死んでもいいって思ってた、でも違った、友が死ぬ事がどれほど辛いことか、私はそれを思い知らされた」

「だから私に聞いたの?」

「ん、鈴殿、どうか親友の為だからって死を選ぶのだけはやめて欲しい、親友の為と言うならしっかりと生きて」

「うん!頑張る!」


木乃葉ちゃんの言葉で、私もまた考えが変わったのでした。

話をしていると、ニーナちゃん達が手を振りながらこちらに向かってくるのが見えました。


「鈴にゃ〜!」

「みんな!ここだよ!」

「ふぅ、やっと再会できたにゃ〜」


良かった、ニーナちゃんも実ちゃんも、木乃葉ちゃんもリィルちゃんも傷一つありません、みんな無事だったようです。

でもやっぱり.........。


「おきつね様、怒ってるよね.........?」

「大丈夫にゃ、狐尾は体には気をつけて旅をして欲しいって、辛くなったらいつでも帰ってきていいって言ってたにゃ」

「そうなんだ、ごめんね、あんなこと言い出してみんなまで巻き込んじゃって」

「にゃ〜達だって鈴にゃ〜の親友にゃ、鈴にゃ〜の悲しみはにゃ〜達の悲しみ、鈴にゃ〜の喜びもにゃ〜達の喜びにゃ、だから謝ることなんてないんだにゃ」

「ありがとう、みんな!」


そして私はもう一つだけ言いたいことをニーナちゃん達に言いました。


「みんなに一つだけ言いたいことがあるの、これからは利奈ちゃんを探すためにすごく長い旅が始まるかもしれないし私がいっぱい足を引っ張っちゃうかもしれない、それでも着いてきてくれる?」



「もちろんにゃ!」


「うん!鈴ちゃんの為なら頑張るよ!」


「ニーナ様達のためなら、とことんついて行こう」


「仕方ないわね、私が着いてってあげるわ」


みんな、覚悟は決まったようです。利奈ちゃん、待っててね、必ず助けに行くから!そう胸に誓ってみんなの前で私は出発の言葉を告げました。


「それじゃ!行こっか!」


遂に、私達の親友を探す長い長い旅が始まるのでした。



「でも、まずどこに行くんだにゃ?」

「えっと〜.........」


「ねぇ、緩菜さんも着いてこれないかな?利奈さんを探してるんでしょ?一緒に行けば強力な助っ人になるよ!」


「そうだね、じゃあまずは緩菜ちゃんの家に行こ!」


私達は街の路地裏にある家に行きました。

そしてドアを叩きます。すると、ドアが空き、緩菜ちゃんが出てきました。


「あら、あなた達こんなに朝早く揃いも揃ってどうしたの?」

「緩菜ちゃん、私達利奈ちゃんを探す旅に出ることにしたの!」

「急にどうしたのよ?」

「利奈ちゃんがこの世界に来たの!私、実際に会ったの!」

「えっ!?」


私は稲荷神社で起こったことを緩菜ちゃんに話しました。


「なるほど、それでおかしくなった利奈を助けるために、神様の所に行くって事ね?」

「緩菜ちゃん、一緒に行こ!利奈ちゃんを助けに行こうよ!」

「行ってきなさい、鈴」

「え?緩菜ちゃん、行かないの?」


思いもしない回答でした。絶対に行くって言うと思ったのに。


「ごめんなさいね、キリンヤガの事件を解決してからこの街の町長になってくれって言う依頼が後を絶たないのよ、どうしてもって言うから断れなくて.........だからこの街から離れることは出来ないわ」

「えっ!?緩菜ちゃん、町長になっちゃったの!?」


緩菜ちゃんは頷きました。

衝撃です、まさか緩菜ちゃんがこの街で一番偉い存在になってるなんて.........。


「私も探しに行きたいけど、この街も放っておけないわ、だから私のことは気にしないで、利奈はあなた達に託すわ」

「わかった、絶対見つけてくるからね!」

「お願いね、どうか気をつけて.........」


緩菜ちゃんはわたしをギュッと抱き締めました。そしてか細い声でいいました。


「立派になったわね、あなたなら大丈夫よ、きっと見つけられるわ」

「うん!じゃあ、行くね」

「えぇ、行ってらっしゃい、ニーナ達、鈴をしっかり守ってあげてね」


ニーナちゃん達は頷きました。

そして、緩菜ちゃんに別れを告げ、本当に旅がスタートしたのでした。


「で、次はどこに行くんだにゃ?」


「うーん、まずは手がかりから探さないと.........あ、そうだ!フレキ君の機械!」

「ニーナちゃんを探した時に使ったあれ?」

「うん!あれなら利奈ちゃんの場所がわかるかも、行ってみようよ!」


私達はフレキ君の家に行き、ドアをノックしました。

そして、中からフレキ君が出てきました。


「おや?こんな朝早くに、お久しぶりですね〜、元気そうでなによりです」

「突然だけどフレキ君、ニーナちゃんを探したあの機械、あれ使える?」

「また人探しですか?」

「うん!フレキ君の機械なら見つかると思って」

「なるほど、どうぞ中へ」


フレキ君は私達を家の中に招き入れ、機械のある部屋へと案内してくれました。

見慣れない機械にニーナちゃんは驚いています。


「な、何にゃ!?これ!?」

「ニーナさんは知らなかったんでしたね、これであなたを探したのですよ、あの時にこの機械があなたの身につけていたブレスレットを感知したのです」

「この変な置物がかにゃ?ふーん、これが探してる人を見つけられるのかにゃ?」

「えぇ、ただしこの街とその近辺までですが」


説明が終わると、フレキ君はメガネをクイッと直しました。

そして、再び口を開きました。


「では、天生石を」

「うん!」


私は天生石をフレキ君を渡しました。そしてフレキ君は天生石を機械にセットして、機械を起動させました。


「さて、探している人は?」

「早乙女 利奈って子なんだけど」

「早乙女 利奈さんですね」


フレキ君はパソコンのキーボードをカタカタと打ち始めました。これで少しは手がかりを掴めるはず、そう思った時です。


「おや?おかしいですね〜」

「どうしたの?」

「いえ、少し不可解なことが起きていまして、モニターを見てください」


私達はモニターを見ました。そこには本来天生石が記憶している人のプロフィールが書いてあるはずです。利奈ちゃんのプロフィールが書かれているかと思いきや、モニターに表示されたのは、


Name ¿ЫХ△ЮЦ

Age Real ¿✲ Utopia ✣▽

Race аматусаотоменомикото


と文字がめちゃくちゃになっています何が起きたのでしょう?


「何これ、壊れちゃったの?」

「いいえ、しかし過去にはこのようなことは有り得ませんでした、ちなみにこの方との関係は?」

「現実世界の親友なの」

「ふむ、ならば天生石に記憶されているはずです、天生石は持ち主の記憶とリンクしていますからね」

「でも、文字がちゃんと表示されない.........ってことは私の利奈ちゃんの記憶が曖昧になってるってこと?」

「うーむ、原因を調べます、午前の間だけ時間を頂けませんか?私の部屋でくつろいで行っても構わないので」

「うん!わかった!」


フレキ君は私達を部屋に連れてってくれました。とても綺麗な部屋です。まるで高級ホテルの一室みたいです。


「あなた達の部屋はここです、適当にくつろいでて下さい、飲み物や食べ物は下にあります、キッチンも勝手に使って貰って構わないので」

「うん!ありがとう!」

「では、結果が出次第報告致します」


そう言ってフレキ君は部屋を出ました。

すると、ニーナちゃんとみぃちゃんがベッドに倒れ込みました。


「にゃ〜、疲れたにゃ〜」

「徹夜で物凄い走ったもんね〜」

「にゃ〜達ちょっと寝るにゃ〜.........」


「うん、おやすみ」


ニーナちゃんとみぃちゃんはすぐに眠りにつきました。

しかし、リィルちゃんと木乃葉ちゃんはまだ眠らず、ニーナちゃんとみぃちゃんに布団をしっかりかけてあげています。


「もうぐっすり、相当疲れてたのね」

「おやすみなさいませ、ニーナ様、実殿」


「リィルちゃん達は寝ないの?」


「私達は慣れてるから大丈夫!」

「私達はニーナ様達をお守りするのが仕事、ニーナ様が眠っている時は私達が見張っている、ニーナ様が安全に眠れるために」


「でも2人もずっと起きてるんでしょ?無理しちゃだめだよ」


「この天才でかわいい白猫魔法少女のリィルちゃんにかかればこんなのよゆーよ♪」

「リィル、あんまり調子に乗らない、鈴殿、私達はいつもこういう風にニーナ様の安全を確保している、だから心配しなくてもいい」


「2人が大丈夫ならいいけど、じゃあ私も一緒にニーナちゃんとみぃちゃんを見張る!」


私はベッドの空いているところに座りました。ニーナちゃんとみぃちゃんは背中をくっ付き合ってスースーと寝息を立てて寝ています。


「私なんかの為にいつまで続くか分からない旅に一緒に着いてきてくれるんだから、いつかお礼をしなくちゃ」


「ニーナ様、実ちゃん達が来てから毎日楽しそう」

「ん、一緒に住める子が出来て嬉しいんだと思う」


「ん〜.........鈴にゃ〜.........むにゃむにゃ.........」


ニーナちゃんは寝言を言っています。どんな夢を見ているのでしょうか?

そしてみぃちゃんの方を見ると。


「お兄ちゃん.........行かないで.........」

「っ!」


そうです。みぃちゃんも大切なお兄ちゃんを失っています。きっと、お兄ちゃんが夢に出てきたのでしょう。


「みぃちゃん.........大丈夫、私達が着いてるからね、寂しい思いはさせないからね」


私は眠っているみぃちゃんの手を優しく握りました。


そしてしばらくして


「ん〜.........おはようにゃ〜.........」

「おはよう〜.........」


「うん、おはようよく眠れた?」


「おかげで眠れたにゃ」

「うん!ぐっすり眠れたよ」


2人は眠ってすっかり元気が出たみたいです。そしてちょうどフレキ君が地下室からこの部屋に戻ってきました。


「結果が出ましたよ鈴さん」

「ほんと!?どうだったの?」

「申し訳ありません、私の機械では早乙女 利奈さんを認識できませんでした」

「そうなんだ、ごめんね、突然押しかけちゃって」

「いいえ、大丈夫ですよ、しかしこの街近辺にはいないのは確かです」

「やっぱりもっと遠くにいるのかな?」

「その可能性は高いでしょう、あ、1つ手がかりを見つけられそうな国があります」

「え!?教えて!」

「遠いですがこの街から北に向うと、『アガルータ』という国に辿り着きます、そこは古くから魔術、そして魔法が栄えていると聞きます、機械がダメでも魔法ならば何かしら掴めるのでは無いでしょうか?」

「アガルータ.........うん!行ってみる!」


フレキ君は天生石を私の手に置き「気をつけて行ってきてください」と言ってくれました。

私達はフレキ君にお礼とお別れを言って家を出ました。


「手がかりが見つかってよかったね!鈴ちゃん」

「うん!じゃあ次はアガルータだね、ニーナちゃん知ってる?」


「行ったことはないけど、あそこには偉大な大魔道士がいるって聞いた事あるにゃ」


「じゃあその人に聞けば何か分かるかも!早速行こう!」


「ちょっと待つにゃ、にゃ〜達はどんな事があっても鈴にゃ〜には着いていくつもりにゃ、鈴にゃ〜はこれからの長旅に耐えることが出来るかにゃ?辛いことがあっても乗り越えられる覚悟があるにゃ?」


ニーナちゃんは真剣な眼差しで語りかけてきます。私は自信満々に答えました。


「うん!私、諦めない!利奈ちゃんを見つける為ならどこにだって行くよ!」

「それでこそ鈴にゃ〜だにゃ!それじゃ、出発にゃ〜♪」


私達は街を出ました。


どうも秌雨です!遂に新章がスタートしました!

これからの鈴ちゃん達の活躍にご期待ください、さて、世間ではウイルス騒動で大変なことになっていますね、どうか身体には気を付けてください、なるべく外には出ないで家で過ごしましょう、究極に暇になったら僕の作品を読んでみてください暇つぶしにはなると思います(笑)

では、また次回!

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