第21話、天より生を与えし青の神石
稲荷神社の庭、そこで私は昨日言っていた修行を行おうとしています。私はおきつね様、ニーナちゃんは仙理君、みぃちゃんは出雲ちゃんが修行をしてくれるそうです。
「よいか?鈴よ、天生石の力は持ち主の意思によって発揮する物じゃ、まずは強い意志を持つことからじゃ、強く念じてみるが良い」
「はい」
私は天生石をギュッと握って目を瞑り、強く念じました。ニーナちゃんとみぃちゃんを守りたい、そう思いながら……。
しかし、天生石は反応しません。
「あれ?反応しない…」
「ふーむ、まだ意思が足りないのぉ、なら仕方ないか……あまり手段としては良くはないのじゃが……」
そう言うとおきつね様は右手を上げました。すると、手のひらから炎の玉が生成され、それを私に向かって飛ばしてきました。
「うわぁっ!?」
運良く私のすぐ目の前に炎の玉が落ちて当たりませんでした。
「ちょっと!おきつね様!?」
しかし、おきつね様はお構い無しに炎の玉を次々に生成し、それを飛ばしてきます。私は必死で当たらないようにつっこけながら逃げ回ります。
「うわぁっ!?きゃっ!や、止めてくださいぃぃぃ!」
「鈴よ、逃げてばかりでは意味が無いぞ、戦うという強い意志を持つのじゃ」
「そんなこと言ったってぇぇぇ!!うわぁぁ!!!!」
私は躓いて転んでしまいました。それでも炎の玉は大量に飛んできます。
私は叫びながら手で頭を覆ってガタガタと震えました。しかし、炎の玉は私に当たらず、私のすぐ近くに落ち、すぐに消えてしまいました。わざと外したのでしょうか?
「ふーむ、どうしたものか……」
「ごめんなさい……」
「仕方ない、無理矢理にでも反応させるとするかの」
「えっ?それ、どういうことですか………っ!?」
突然私の身体が全く動かなくなってしまいました。まるで全身が麻痺したかのように、指一本動かせません。
「な、何これっ!?動けない……何をしたんですか?」
「身体の自由を奪う妖術じゃ、これでお主は逃げられぬ、次は外さぬぞ、お主がその天生石を反応させぬ限り丸焦げじゃ」
「そんな!嘘ですよね!?冗談ですよね!?」
「冗談で言うと思うかの?なら冗談ではないことを証明してやろ」
おきつね様は再び右手を上げ炎の玉を作り出します。しかもさっきよりも大きな物を……。
おきつね様本気だ、どうしよう……丸焦げにされちゃう。私は必死で逃げようとしますが妖術がそれを許しません。
「嫌っ!嫌っ!」
「覚悟するのじゃ!鈴」
炎の玉をおきつね様が私に飛ばしてきました。どうしようどうしようと考えてるうちにもう当たる直前です。痛いの嫌、死にたくない、何とかしないと……。
(お願い!私に力を貸して!)
そう強く願うと天生石が青い光を強く放ち、衝撃波を放ちました。その衝撃波で炎の玉を描き消しました。その後、また光を失いました。
「反応したようじゃの、やればできるではないか鈴よ」
「よ、良かった……」
「今のが鈴と天生石の心が1つになった状態『天生同化』じゃ、しかしまだその様子では完全ではない、精々命の危機に晒された時に少しだけ力を貸してくれる程度じゃ」
「どうしたら完全に使えるようになるんですか?」
「お主には天力がない、まずは天力を習得せねばならぬ」
「天力?」
「この世界には3つの非科学的力がある、『魔力』『妖力』そして『天力』じゃ」
魔力は魔法による力、妖力は妖術による力、天力は天生石による力のことを言うそうです。
天生石を操るにはその天力という物が必要らしいのですが……。
「天力の習得はこの世界で産まれた時から既に持っているか、持っている魔力や妖力を天力に転換するかの2つの習得方法がある、鈴は天力をまだ持っておらぬからの、転換する方法が良いじゃろ」
「ちょ、ちょっと待ってください!私、魔力も妖力も持ってないですよ!」
「そうじゃ、だから妖力を手に入れる必要がある、心配ない、妾の妖力を分けてやろ」
おきつね様はそう言うと、明るい表情から真剣な表情になりました。
「しかし鈴のような人間と妖怪の間っ子に妖力を与えるのはとても危険な事じゃ」
「危険って、妖力を与えるとどうなるんですか?」
「全身に痛みが走る、普通の人間では耐えられぬ程にな、気を抜くと死んでしまうかもしれぬ、覚悟は良いな?」
「えっ!?話が急過ぎですよ!そんな、いきなりそんなこと言われたって、怖いです……それなら、魔力を習得する方法だっていいじゃないですか!」
「魔力を習得するのも容易ではないぞ?魔術から学ばなければならぬ、鈴は勉強は好きかの?」
「うっ…それは……」
正直私は勉強が苦手でした。現実世界で高校に通っていた時の定期テストは、いつも平均点よりも下と言うくらいには苦手です。
「しかも能力を持たぬものが魔力を習得するまでには少なくとも5年はかかる、何も無いところから始めるからの、妖力が1番手っ取り早いのじゃ、しかも天力を習得するまでが修行ではないぞ?」
「うう……でも痛いのも嫌です……だって私は元々普通の人間なんですよ?人間に耐えられないって言うんだったら私、絶対無理ですよ!」
「では辞めるとするかの、じゃがそんな中途半端な気持ちでは天力を習得することも、3尾や実を守ることも出来ぬ、諦めるのじゃ、せっかく天生石を反応させたのに残念じゃのう……」
おきつね様はしびれを切らしたのか神社の中へ向かって歩き出してしまいました。
「そんな!まっ、待ってください!」
「なんじゃ?妾はお主のような中途半端な弱虫は大嫌いじゃ、もうお主に用はない、さっさと実と3尾を連れて帰るのじゃ」
おきつね様は振り返らずにそう言いました。やっちゃった……いつもの悪い癖が出ちゃった。私は何か大きな困難なことがあると、弱音を吐いてしまう癖があるんです。
どうしよう……おきつね様を怒らせちゃった。私はキリンヤガの城で緩菜ちゃんに言われたことを思い出しました。
『利奈は、そんな弱気な鈴を望んでいるのかしら?』
そうだよね、こんなんじゃ利奈ちゃんもガッカリしちゃう、頑張らなきゃ!
「おきつね様!やっぱりやります、弱音ばっかり吐いてごめんなさい!」
そう言うとおきつね様は振り返ったかと思うと急に私の所まで走ってきて、抱きついて頭をなでなでしてきました。
「そう言うと信じておったぞ〜鈴よ〜♪ 」
「おきつね様……怒ってないんですか?」
「わざと冷たい態度をとったのじゃ、怒ってはおらぬ、確かに鈴にとっては急なことかもしれぬ、苦しいことかもしれぬ、じゃがな、世の中にはそれでも覚悟を決めなければ行けない時があるのじゃ、大丈夫、鈴ならできる」
「はい!私、頑張ります!」
「うむ、では妾に付いてくるのじゃ」
私はおきつね様に連れられ、神社のすぐ隣にある小屋に着きました。中は広くもなく狭くもない空間で部屋の真ん中に磔代のようなものが1つのあるだけで他には何もありません。
「ここは?」
「この小屋は昔人間をあそこに繋いで妖術を試すために使った部屋じゃ」
「おきつね様がそんなことを!?」
「昔この世界は人間と妖怪が対立していての、戦えなくなった人間を捕らえてここで妖術を試し、人間対策をしたのじゃ、でもそれは昔の話、平和になってからは一切やっておらぬ、安心するが良い」
おきつね様、優しい顔して意外に残酷なんですね……。
おきつね様は私を部屋の中央まで連れ、手足を
磔代の枷に固定しました。とても緊張します。
「さて鈴よ、心の準備が出来たら言うのじゃ」
「凄く、緊張してます……」
「初めての事じゃからな、でも大丈夫、ほんの3分の辛抱じゃ、その間気を抜かなければ死ぬことは無い、苦しいじゃろうが耐えるのじゃぞ?」
「はい!じゃあお願いします!」
「うむ、それでは始めるぞ」
おきつね様は私の胸に手を当て、目を瞑りました。すると、私の身体の中に何かが入ってくる感覚がしました。まだ痛みは感じません。しかし、約10秒経った時でした。とてつもない不快感が私の中に一気に入ってきました。
「うっ!…………」
気持ち悪い、吐き気がする、これが妖力……?しかもそれだけではありませんでした。
1分ぐらい経ったその時です。
「っ!?あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
頭から尻尾の先、つま先まで全身を強く締め付けるような激痛が走りました。痛い、痛すぎる、耐えられない!
私は暴れようともがきますが手足が枷で固定されていて動かすことができません。
「ううっ……はぁっ……はぁっ……うっ!うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
痛みと吐き気で少しでも気を抜くと意識が飛んでしまいそうです。でも耐えなきゃ、私は体がバラバラになりそうな激痛に耐え続けました。そして、恐らく人生で1番長いであろう3分間が経ち、おきつね様は手を私から離しました。
「鈴よ、大丈夫か?」
「はぁ……はぁ……終わっ……た?」
「うむ、終わったぞよ、今外すからの」
おきつね様が枷を外すと私はぐったりと倒れ込みました。おきつね様は私を受け止めてくれました。そして、また頭をなでなでしました。
「よしよし、よく頑張ったのぉ、偉いぞ〜、えらいえらい」
「うう……死んじゃうかと思った……」
「これで鈴は妖力を習得できた、後は天力への転換じゃな」
「妖力を天力に変えるにはどうしたらいいんですか?まさか、またさっきの痛いのをやるんですか?」
「大丈夫じゃ、もう痛いことはしなくて良いからの、安心するのじゃ」
「良かった〜……」
「立てるかの?」
「はい、なんとか」
「うむ、次は天力への転換じゃ、ついてくるがよい」
私達は小屋を出て再び庭へと戻って来ました。そしておきつね様は私の天生石に手を当てて、何かを唱え始めました。
「天より生を与える神石よ、鈴の中にある妖力を全て使い、天の力を与えよ!」
おきつね様がそう言うと、天生石が再び強い光を放ちました
「これは……?」
「妖力が天力に転換されて、天生石に注がれている状態じゃ、さぁ、後は鈴が強い意志を持ち、天生石に念じるだけじゃ、やってみよ」
「はい!」
私は目を瞑り、天生石に強く念じました。すると、天生石の光はさらに強くなり、私の中に突然力が湧いてきました。キリンヤガの城で王様と戦った時に感じたあの力です。
「この力、あの時の……凄い!」
「そうじゃ、それが完全なる天生同化じゃ、良くやったぞ鈴よ」
「はい!ありがとうございます!私、できました!」
私はとても喜びました。遂に、天生石を自由に反応させることが出来たんです。これで私はみんなに1歩近づくことができました。
「じゃがまだそれで終わりではないぞ、今度はそれを操る技術が必要じゃ、まだ鈴はどんな技があるのかすらもわかるまい」
「はい、あっ、でもキリンヤガの城で結界を張ったり青い衝撃波見たいなのを出したりはしました、その時は天生石が助けてくれて身体が勝手に動いたんですけど」
「ふむふむ、ならその時の技を再現してみるのじゃ」
「はい!えっと……確か……こうやって……」
私はキリンヤガの城で結界を張った時と同じように腕を前に伸ばし、手のひらをぱっと開きました。すると、私の周りに青い結界が貼られました。
「で、できた!」
「ほう、驚いたのぉ、普通は中々成功しないのじゃが1発で成功させるとは……鈴よ、お主は天生石と相性が良いのかもしれぬ」
「本当ですか!?」
「うむ、この調子なら天生石を自由に操れる日は近いかもしれぬぞ?」
「おきつね様!もっと教えてください!他の技も使えるようにしたいです!」
「まぁ待つのじゃ、慌てるでない、少し休憩じゃ、体力が尽きてはまともに動けぬ、自分の身体を労るのも修行の一環じゃ、」
「はい、分かりました」
私達は神社の中に向かいました。この調子なら強くなれるかも、私、意外に才能あるかも!と、今は思っていますが、この先修行が凄く厳しくなることを、今の私は知る由もないのでした。
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「でやぁぁぁ!!!!」
「にゃ〜〜!!!!」
槍と爪がぶつかり合う音が、森に響く。狼と人間のハーフ、いわゆる人狼と呼ばれるワーハクタクの俺、仙理は神社のすぐ近くの森の中で3本の尻尾が生えた猫、ニーナに稽古を付けている。
おきつね様に頼まれたんだがとりあえず何をしたらいいかが分からないので実戦形式でニーナと手合わせすることにした。
「やるじゃねぇか!こんなに手応えのある奴は久しぶりだぜ」
「君こそ中々やるにゃ〜、流石狐尾の部下という事だけあるにゃ〜」
「へっ、そりゃどうもっ!」
俺はニーナの爪を振り払った。そして俺は槍を剣に変えて攻撃を仕掛ける。
俺の槍は特殊で、能力によって他の武器に変形させることができる。槍から剣へ、もしくは斧へと色々な武器に変化させて戦えるのだ。
ニーナはそんな俺の変化する武器に対して、全て爪一つで捌いている。しかし、ニーナの体力は徐々に減っているのは俺にはわかっていた。
「はぁ……はぁ……」
「息が上がってるぜ?まさか疲れてんじゃねぇだろうな?」
「そんなことない……にゃっ!」
猫は俺の言葉に抵抗するかのように爪を思いっきり振る。しかし、速さが足りないこの一撃を避けることは容易だった。俺は一旦距離をとる。
「疲れてねぇ割には動きも鈍くなってるぜ?」
「うるさいにゃ、にゃ〜はまだ本気を出してないだけにゃ!」
「へぇ〜、じゃあ本気を見せてみろよ」
「あっ、言ったにゃ?もう後悔しても遅いにゃ、喰らえにゃ!」
猫はそう言うと3本の尻尾を伸ばしてきた。そのうち2本の尻尾は俺の両腕に1本ずつ巻き付く。固く巻き付けられていてもがいても振り解けない。
「うおっ!?なんだこれ!尻尾が巻きついた!?」
「ふふ〜ん♪捕まえたにゃ、もうにゃ〜からは逃げられないし、その武器を使う事も出来ないにゃ〜、残ってる尻尾は1本、さてどうしてやろうかにゃ〜♪」
ニーナは巻きつけていない1本の尻尾を俺の顔の前でゆらゆらと揺らす。俺に見せつけているのだ。
ニーナにとっては完全に勝ったと思っているだろう。俺は動けない、抵抗すれば残りの尻尾で俺の首を絞めることができるし、俺が持っている武器を取り上げることだってできる。
しかし、俺の攻撃が武器だけとは限らない。俺は揺れている尻尾が自分の口の辺りに来たタイミングで、尻尾に噛み付いた。ニーナは飛び上がって絶叫する。
「にゃああああああ!!!!?!!?!?」
そして、巻き付いていた尻尾がするすると解けた。それを確認した俺の口から尻尾を解放する。
それと同時に尻尾は元の長さに戻る。ニーナは噛まれた尻尾に息を吹きかけて痛みを和らげようとした。
「痛いぃ……何するんだにゃ!尻尾に噛み付くだなんて、動物の尻尾は1番痛いのをお前は知ってるはずにゃ!」
「はっはっはっはっ♪ そりゃ目の前にチラつかせてりゃ噛み付くだろ〜、折角捕らえたのに反撃の隙を与えるなんてアホだな〜お前」
「アホとはなんにゃ!アホとは!」
「そのまんまだよ、で?本気ってのはそれだけか?」
「ギクッ!?えっと〜……」
明らかに焦っている、恐らく今の尻尾で捕まえるのがニーナの言う本気だったのだろう。しかしこの猫は図星を突かれたことを誤魔化そうとしてるのか、必死で何かを考えている。
「そんなことだろうと思ったぜ、お前は油断しすぎだ、相手を少し動けなくしただけでいい気にならねぇこったぁな」
「うう、悔しいけどにゃ〜の負けにゃ……」
「ま、お前の戦い方はだいたい分かった、とりあえず休憩しよーぜ、久しぶりに戦ったから疲れちまったよ」
俺は槍を背負って後ろを振り返った。すると、、、
「な〜んて、嘘にゃ!いただきにゃ!」
ニーナは俺が後ろを振り返ったことを確認すると尻尾を俺に伸ばしてきた。しまった、また捕まる……!しかし、ニーナは俺ではなく俺の槍に尻尾を巻き付け、俺の背から槍を取り上げた。
「あっ!俺の槍!」
「へっへ〜ん♪油断したにゃ〜?返して欲しければ捕まえてみろにゃ〜♪」
ニーナは俺の槍を持ったまま背を向けて走り出した。槍を盗んで逃走したのだ。俺は追いかける、あいつ、何がしたいんだ?
「畜生!返しやがれ!」
「いやにゃ、お前が負けを認めれば返してやってもいいにゃ〜♪」
「ズリぃぞおまえ!」
森の中をニーナは走り続ける、さすが猫だ、逃げ足は早い。しかしこの先には川がある、そこまで追い詰めればこっちのもんだ。
そして、遂に川まで辿り着いた。この森は奥に進むと急な崖があり、崖の下には川が流れている。反対の崖にもまた森は続いているがさすがに飛び移れるような距離ではない。
「さぁ、追い詰めたぜ、大人しく俺の槍を返せ!」
「それで勝ったつもりかにゃ?でもにゃ〜の尻尾はこういう使い道があるんだにゃ〜」
ニーナは俺の槍を尻尾から手に持ち替え、尻尾を伸ばして木の高い所の枝に巻き付けた。そのまま尻尾の長さを元の長さに戻し、木の枝にぶら下がった。
「おい!汚ねぇぞ!高いところに逃げるなんて!」
「やーい、捕まえられるもんなら捕まえてみるにゃ〜♪」
「くっそ〜!ん?」
俺はニーナがぶら下がっている木に違和感を感じた。ギシギシと音が鳴っている。それ自体は不自然ではない、だが明らかに音が大きすぎるのだ。まずい……ニーナがぶら下がっているのは崖の真上だ。もしあの枝が折れれば川に真っ逆さまに落ちることになる。崖は高く、しかも数日前に雨が降ったので川の流れが急になっている。落ちたらひとたまりもない。
俺はニーナに必死に叫んだ。
「おい!早くそっから降りろ!その枝は危ねぇ!」
「そんな脅しを言ったって無駄にゃ〜、そんなんで騙されるほどにゃ〜はお馬鹿じゃないにゃ」
「馬鹿野郎!早く降りろ!枝が折れるぞ!」
「にゃ〜の体重ぐらいじゃこの木は折れないにゃ〜!馬鹿にしすぎにゃ!」
バキッ!
「にゃっ!?にゃーーーーーーーー!!!??!!?」
言わんこっちゃない、枝は折れ、ニーナは崖から真っ逆さまに川の中にバシャーンッ!という音を立てて落ちた。
「あの馬鹿!畜生……!」
俺も崖から川に飛び込んだ。あいつに死なれたら困る、俺は流れの早いこの川の中で、流されてパニックになっているニーナを助けるため泳いだ。
「にゃっ!、にゃっ!、助けて〜!!!!」
ニーナは手を上げて少しでも沈まないように暴れながら助けを懇願している。
俺は何とかニーナに追いつき、左手でニーナを抱え、回収する。そして運良く一緒に流れていた俺の槍を右手で拾い、槍を鎖鎌に変形させて川沿いにある木に引っ掛けて、ニーナと共に自分の体を川から引きあげた。
「うう……ケホッ!ケホッ!た、助かったにゃ〜」
「馬鹿野郎!お前もう少しで死んじまうとこだったぞ?」
「ごめんなさいにゃ……」
「たくっ……しかもよくわかんないとこに流されちまったじゃねぇか、ここからだと俺も帰り道がわかんねぇぞ?」
「にゃっ!?てことはにゃ〜達、迷子!?」
「そりゃそうだろ、俺が知ってるのは川がある所までだ、そこ以外行ったことねぇからな」
「そんにゃ……それじゃあ……また、鈴にゃ〜達と離れ離れ……うわああああん!!!!」
ニーナは急に泣き始める。いや、ここで泣かれても困る、というか泣くほどか……?俺は焦ってニーナを慰めようとした。
「おいおい、なんで泣いてんだよ、そんなに遠くまで流された訳じゃねぇじゃねぇか」
「だって……ヒック……帰り道が……分からないって」
「2人で探せや何とかなるって、だから泣くなよ、な?」
「ううっ……うん……」
こりゃめんどくさい事になったなぁ……俺はニーナが泣き止んだ事を確認すると。帰る方法を探ることにした。
「さて、どうしたもんか……日が暮れるまでに帰らねぇと、また出雲に怒られちまうな」
「でも帰り道が見つからない限り帰れないにゃ……」
「君達こんな所で何してるんだい?」
二人で話し合っていると、急に森の奥から声が聞こえてきた。それと同時に黒いショートヘアーの髪型をして、頭には熊のような丸い耳が生えている少女が歩いてきた。格好は白いシャツを着て黒く短いスカートを履いている。そこから付け根は黒く、先端は白い、形は筆のような太い尻尾が生えていた。腰に小さい鎌を装備している。俺は身構えた。
「お前、誰だ?」
「僕はこの森に住んでる妖怪、『マダラ』って言うんだ」
「見た目的に鼬ってとこか?」
「その通り、正確には鎌鼬とあと一つの動物のハーフってとこだけどね」
「あと一つの動物ってなんだ?」
「今は言わないでおくよ、後々に分かることだろうし」
「何言ってんだ?お前……」
「まぁ、気にしないで」
なんか変な奴だが、悪いやつじゃなさそうだ。
「よくわかんねぇけど、言いたくねぇんなら仕方ねぇな、で?俺達に何の用だ?」
「それはこっちのセリフだよ、君達こそこんな所で何してるんだい?」
「実は道に迷っちまってよぉ、帰り道がわかんねぇんだ」
「な〜んだ迷子か、なんでそんなにずぶ濡れなんだい?こんなに流れが早いときに川遊びなんて危険なことするね、君達」
「遊んでたんじゃねぇよ、川に落ちて流されたんだ、それで何とかここに上がれたって訳だ」
「なるほどね、それじゃ家に来なよ、すぐ近くだからさ、濡れたまんまだと寒いでしょ?」
「お、助かったぜ!それじゃ、お言葉に甘えようとするか」
俺はマダラと名乗る鎌鼬について行こうとすると、ニーナが俺を止める。
「ちょっ、ちょっと待ってにゃ!こいつ怪しいにゃ、いきなり出てきてこんなに優しくするなんて、絶対なにか裏があるにゃ」
「おいおい、親切にしてくれた奴にその言い方は失礼じゃねぇか?それに、このまま迷い続けるよりいいと思うぜ?」
「森に住む妖怪は悪い奴が多いって聞くにゃ、もし騙されたりしたら……」
「そんなことねぇって、ほら、早く行くぜ」
「あぁ!待ってにゃ〜!」
俺達はマダラに案内され、森の中を歩いた。
お久しぶりです、いや〜暑いですね〜、熱中症にならないように気をつけましょう!
さて、また新キャラクターの登場ですね、もう1つの動物とは一体何なのか?お楽しみに!
では、また次回♪




