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絶望の果ての理想郷  作者: 秌雨
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第2話、ここが、理想郷…


私はしばらくその場で戸惑っていました。

あの手紙の内容は本当のことを言っていたんです。私は1度深呼吸をして落ち着きました。

さて、私は突然別世界に飛ばされたわけですが、まず何をしたらいいのでしょう……。

そもそもどういう場所なのかもわからない状態です。


それになんというか、景色が低くなったような.........。

そんな違和感を覚えながらしばらく棒立ちしていると……。


「そんなところで何してるんだにゃ〜?」

「ひっ!?」


後ろから突然声をかけられて、私は驚いてしまいました。ゆっくりと後ろを振り返ると、そこには髪の毛が緑色でショートヘアーの女の子が立っていました。頭にはかわいい猫耳が付いています。


「おっと、驚かせちゃったかにゃ〜?でも、怪しい者じゃないにゃ、安心するにゃ〜♪」


いえ、明らかに怪しい人です。猫耳のコスプレをして、さらに語尾ににゃ〜なんて付けて猫になりきってる子なんて、怪しくないはずがないです。


「えっと……そんな格好で恥ずかしくないの?あとその口調やめた方がいいよ、引かれるよ?」

「君、何言ってるんだにゃ?恥ずかしいも何も、にゃ〜は元からこの格好にゃ、にゃ〜は猫又にゃ」

「猫又って妖怪でしょ?そんなのいるわけないじゃない」

「あ、信じてないにゃ〜?じゃあこの耳と尻尾をよく見てるにゃ」


私は耳をよく見てみました。すると、猫耳がピクピクと動いています。さらに尻尾もちゃんと生えていてゆらゆらと動いています。しかも尻尾は3本も生えていました。


「ま、まさか!本物!?」

「だからさっきからそう言ってるにゃ!」

「し、しかも尻尾が3本……」

「そうにゃ、にゃ〜の自慢の尻尾にゃ♪」


私は腰を抜かして、その場に尻もちをついてしまいました。


「なんでそんな驚くのにゃ?」

「だって、本物の猫耳と尻尾が生えてる人なんて見たことないし……」

「なんでにゃ?君も同じ格好してるにゃ」

「………えっ?」


目の前の女の子は手鏡を私に差し出しました。

鏡を見てみると……。

頭に猫耳の生えた小さい女の子の顔が映っていました。服も変わって、ご丁寧に尻尾まで生えています。


「え?……これ、私!?なんで!?頭に耳が!それに、尻尾まで.........」

「ここまで驚いてるってことは、君もしかして現実世界から来た子かにゃ?」

「うん、いつの間にかここにいて、どうしていいか分からなくて…」

「じゃあ、にゃ〜がこの世界のことを教えてあげるにゃ♪」


女の子は自信満々に胸にぽんと手を当てました。

そして1度間を置き、口を開きました。


「この世界は現実世界で不遇な生活を送っていた者が来れる場所にゃ、君もその1人のはずだにゃ」

「うん、お父さんもお母さんも大親友もみんな死んじゃって、私も……」

「で、手紙があったというわけだにゃ?」


私はコクリと頷きました。


「この世界に来てよかったにゃ〜、もうそんなことないから、安心するにゃ、その子達の分まで一生懸命生きること、それが君に委ねられた使命にゃ」

「安心できないよ、だってもう大切な人はいない、独りで生きてたってしょうがないよ……」

「一人じゃないにゃ!」


女の子は涙目の私の肩に手を乗せました。


「にゃ〜が一緒に居てあげるにゃ、困ってる子を放っておけないにゃ」

「どうしてそんなに優しくしてくれるの?初めて会ったんだよ?」

「関係ないにゃ、にゃ〜が助けたいから助けるんだにゃ、だから一緒に生きるにゃ」


変な子、どこの誰かもわからない人を「助けたいから」なんて理由で助けるなんて……。でも、支えてくれる人がいるなら、ほんの少しだけでも生きる希望があるなら……。


「ありがとう、頑張って生きてみる」

「その心意気だにゃ、にゃ〜の名前は『ニーナ』っていうにゃ、よろしくにゃ♪」

「私、猫谷 鈴、よろしくね」

「鈴……鈴にゃ〜って呼ぶにゃ」

「どうしていつもにゃ〜って言うの?」

「猫だからにゃ」

「そ、そうなんだ……じゃあ私はニーナちゃんって呼んでもいい?」

「好きに呼んでいいにゃ、はい、握手するにゃ♪」


ニーナちゃんは手を差し出して来ました。私もニーナちゃんの手を握り握手をしました。

そしてニーナちゃんは説明を再開しました。


「じゃあこの世界について教えてあげるにゃ、ここはやりたいことはできるけど、何もしなくても生きれるわけじゃないにゃ、あくまで必要最低限なことが出来るという意味の理想にゃ」

「つまり、生きるには自分でなんとかしないとダメってこと?」

「そういうことにゃ、でも大丈夫、困った時は一緒に協力するにゃ♪」


ニーナちゃんはポンっと手を叩いて続けます。


「あ、そうだにゃ、鈴にゃ〜はここに来た時、なにか変な感じしなかったかにゃ?」

「変な感じだらけだよ……鏡見たら私が全然違う人になってたんだもん」

「手紙に書いてなかったかにゃ?姿が変わってるって」


私はそれを聞いた瞬間に、手紙のある文章を思い出しました。

『あなたがその世界に着いたときにはあなたの姿が大きく変わっていることでしょう。しかしそれはあなたの一番充実していた時の姿で、あなたの好きな物が影響しています。』


「つまり、これが1番充実してた時の姿で、私の好きなものにちなんだ姿?そういえば、前よりかなり背が低くなった様な……ちっちゃい頃がいちばん楽しかったからその時の姿ってこと?」

「そうみたいだにゃ」

「猫の姿は好きな物が影響したのかな?確かに猫は好きだけど……ほんとに猫になっちゃうなんて……」

「猫と言うよりは猫と人間のハーフって感じにゃ、ワーハクタクってやつにゃ」

「なんだか物凄く変な感覚.........」

「そのうち慣れるにゃ、さて、ここからは重要な話になるにゃ」

「重要な話?」

「そうにゃ、この世界で生きるうえでの重要な話にゃ」


ニーナちゃんの表情が笑顔から真剣な表情へと変わりました。


「理想の世界と言っても時には戦わなくちゃ行けない時もあるにゃ〜」

「戦うって……殺し合いってこと!?」

「そうにゃ、この世界で悪いことをすることを理想としている人もいるにゃ、人によって理想は様々な事だから仕方ないけど、そういう人はあまり賞賛はされないにゃ、だからもしその人に襲われた時は戦うしかないのにゃ」

「無理だよ!……私、戦い方なんてわかんないし…」

「大丈夫にゃ、ここに来た者は何かしらの能力を持っているのにゃ、君はなんの能力を持ってるのかにゃ?」


私は首を横に振りました。そんなの持ってるわけありません。元々普通の人間だったし、そんなアニメみたいな特殊能力なんて……。


「なるほど、まだわかんないってことにゃ〜、でも時々そういう人いるんだにゃ、自分の能力がわからない子ていうのが、でもその子の場合、自分で能力を見つけるんだにゃ」

「見つけるのって大変なの?」

「それぞれだにゃ、大変な子もいればすぐに見つかる子もいるにゃ、そこは努力次第にゃ〜」


自分の能力……いったいどんなものでしょうか?

とても気になります。


「因みにニーナちゃんはどんな能力を持ってるの?」

「にゃ〜は、この自慢の3本の尻尾にゃ」

「尻尾?」

「この尻尾は自由に伸び縮みさせることができるんだにゃ」

「それって戦いに使えるの……?」

「試して見るかにゃ?」


ニーナちゃんはそう言うと、尻尾を伸ばし私の体に巻き付けて来ました。


「うわ!体に巻きついて!……しかも、解けない…」

「そういうことにゃ、尻尾を伸ばして相手をぐるぐる巻にすれば、動けなくすることが出来るにゃ〜」


すごい……本当に動けません、もがいてもビクともしないんです。

ニーナちゃんはニヤリと笑っています。


「それだけじゃないにゃ、にゃ〜の尻尾はあと2本残ってるにゃ〜、しかもこの尻尾は普通の猫より硬いのにゃ、つまり捕まえた状態でペチンペチンと痛めつけることができるんだにゃ〜」


ニーナちゃんは残りの2本の尻尾を私の目の前でゆらゆらと揺らしています。

しかし私が青ざめた顔をするとすぐにシュルシュルと私を巻き付けていた尻尾を解き元の長さに戻しました。


「どうかにゃ?この能力の強さ、わかったかにゃ〜?」

「すごい!私もニーナちゃんみたいに便利な能力が欲しいな〜」

「きっと鈴にゃ〜もいい能力が見つかるにゃ♪」




「さて、この世界の説明は大体終わったにゃ、ちゃんと理解出来たかにゃ?」

「うん、でもやっぱりこれからどうしていいかわかんない…」

「じゃあ家にくるにゃ、まだまだ鈴にゃ〜とおしゃべりしたいこといっぱいあるにゃ!」

「え?いいの?迷惑じゃない?」

「むしろ逆にゃ、にゃ〜は1匹で暮らしてたけど、寂しいにゃ、鈴にゃ〜が一緒に暮らしてくれれば毎日が楽しくなるにゃ♪」

「私もニーナちゃんと一緒にいたい!」

「それじゃ、一緒に行くにゃ!」


ニーナちゃんは私の手を掴んで歩き出しました。

お父さん、お母さん、利奈ちゃん、私ここで頑張って生きてみます。だから、どうか見守っていてください。私は心の中でそう言いました。





どうも、rurusuです。

かなり暖かくなってきましたが花粉は酷いですね

いつも鼻ずまりの中書いてます_( _´ω`)_ツライム

花粉症じゃない人ほんとに羨ましいです

さて、さっそく新しいオリキャラ、ニーナちゃんの登場ですね、尻尾が伸びるってすごい便利じゃないですか?私もそんな能力欲しいです(尻尾ないけど)

では、また次回!

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