第15話、希望の城、キリンヤガ
僕はシルク、今キリンヤガの騎士を城に呼び戻してる途中なんだ。この城の新しい王となったリズ・マリベールの命令でね。
ちなみに言わなかったけど王を倒す前に元々城内にいた騎士達は全員見回りをするようにって伝えてあったから呼び戻すのも大変だよ。
何人かには「外に行かせたり戻れって言ったり相変わらずあの双子のやることはよくわからないよ」って陰口を言われるし……。
でもこれでほぼ全員、後はもう1人、門番をしている騎士だけ。その門番をしてるのは、昔殺されたリーフ。僕が敵討ちをした王に殺された騎士だよ。僕の信用してた騎士でもある。
僕が城下町の入口に近づいた時、別行動していたフランネルも合流した。
「お、フランネル〜、そっちは終わった?」
「ああ、全員城に戻るよう命令した、後は1人だけだな」
「うん、リーフだけだね」
「今考えれば不思議な話だ、死んだ人間が姿は同じだが全く違う人格になってまたそこにいるんだからな」
「リーフも随分変わったものだよ、でも、どんな形であれ、リーフはリーフさ」
僕達は門にいるリーフに声をかけた。
「お疲れ様リーフ、もう城に戻っていいよ〜って、あれ?」
反応がない、よく見るとぐーぐーと眠っているようだった。
「やれやれ、リーフ寝てるよ」
「こういう怠けた所は、昔のリーフと変わっていないな」
「ほんとだね、ほらほら、起きてよ〜」
僕は眠っているリーフの頬をペちペちと叩いた。するとリーフはゆっくりと目を開けた。
「んあ……?あ、シルク様、フランネル様、どうされましたか?」
「どうされましたかって、呑気だね〜、門番サボって寝てられるなんてさ」
「っ!?そ、そうです!たしか僕は変な魔法使いに眠らされたんです!あいつはどこです?早く捕まえないと、城に侵入を許してしまいます!」
変な魔法使いというのは恐らく緩菜のことだろう。
僕はリーフを落ち着かせた。
「もう手遅れだよ、君が寝てる間にも中に侵入を許してるよ」
「そんな!ということは僕は殺されてしまうのですか!?王の手によって」
「その王は死んだよ、侵入者と僕達が殺した」
「シルク様達が!?何故ですか!?何故キリンヤガを裏切ったのですか!?」
「君達を守るためだよ、僕の部下達が殺されたらたまったもんじゃない、だから侵入者と手を組んで王を殺した、これで君達が殺されることは無いでしょ〜?」
「確かにそうですが……」
「とにかく城に戻っててよ、詳しい話は後でするからさ」
「分かりました……」
リーフは少し複雑そうな顔をしながら城の中へ戻って行った。
「これで全部だね、僕達もそろそろ戻ろうよ」
「ああ、そうだな」
僕達は城に向かって歩き出した。
城の入口前まで近づいて来た時、城の前で何やら人だかりができているのが見えた。
「なんだろう?あれ」
「城下町の人間達だな、妙に騒がしいな」
「見てみようよ、なんか面白そう」
僕達は人だかりに近づき、人に話を聞いた。
「ねぇねぇ、どうしたの〜?みんな城の入口にこんなに集まって」
「あ、シルク様、この城の王様が変わるって本当ですか?」
「うん、本当だよ〜、でも誰に聞いたの?そんな話」
「どうやらこの町の住民の1人が変な魔法使いに王が変わるって伝えてみんなをここに連れて来いって言われたんですって」
「なるほどね〜」
「一体何者なんでしょうか?信用していいんですかね?」
「大丈夫だと思うよ〜、あ、お出ましじゃないかい?」
人だかりの奥に黒いローブを着た魔法使いが登場した。緩菜だ。
緩菜は人が集まっていることが分かると口を開いた。
「集まってくれてありがとう、私は早乙女 緩菜、プレスターの魔法使いよ」
人々はざわついている。プレスターから来たということに驚いたのだろう。緩菜は続けた。
「早速だけど本題に入るわね、今日からこの城の王は変わるわ、これは紛れもない事実よ、新しい王がもう時期ここに来るわ、それまで待ってて欲しいの、ところであなた達、猫はお好き?」
そう言って緩菜は指をパチンと鳴らした。
すると三本の尻尾が生えた猫、ニーナが現れた。ニーナは慌てている様子だ。どうやらテレポートでここに飛ばしたみたい。
「にゃっ!?なんにゃ!?にゃ〜がなんでこんな所に!?」
「さぁ、みんな、この子は猫又よ〜♪耳も尻尾も触り放題、さぁどんどん触りなさい♪」
人々は緩菜のその言葉を聞くとみんな目を光らせてニーナに群がった。
それはそうだよね〜、みんな見たことの無い生物は気になるし。
そして人々はニーナの尻尾やら耳を触り始めた。
「にゃ〜っ!?!?!!?そ、そんな勢いよく触んないでにゃ〜!にゃぎぃ!痛いにゃ!無理やり耳引っ張らないでにゃ〜!」
「ニーナ、リズが来るまでの間ちょっとお客さんの相手をしててね♪」
「こ、こんなの聞いてないゃ〜!リィルにゃ〜、木乃葉にゃ〜、助けてにゃ〜!」
「残念だけどあの二人は城内で鈴達と一緒に騎士達のおもてなしをして貰ってるわ、あなたを逃がさないためにね」
「そんにゃあ!?このインチキ魔法使いめ〜、覚えてろにゃ〜!にゃあぁっ!?そこはもはや尻尾じゃなくて……にゃぁぁっ!!」
ニーナは人の波に消えてしまった。そして僕達は城の入口への道が空いたので。まっすぐ進んだ。
そして緩菜は僕達の元へ嬉しそうに駆け寄ってきた。
「ふふ♪成功成功♪後はリズをここに呼ぶだけね」
「こりゃまた派手なことするね〜」
「さすがにニーナが可哀想だと思うんだが……」
「いいのいいの、立っている者は猫でも使えってよく言うでしょ?使えるものは使うのよ」
「まぁ確かにそうだけどね〜」
「いや、何か違うような気もするが……」
「そんなことより、早くリズを連れてきなさい、その間に住民の目をこっちに向けとくから」
僕達は城に入った。するともうリズ女王が目の前に立っていた。
「あ、二人ともありがとう、突然のお願いでごめんなさいね」
「いいえ、臣下として当然のことです」
「リズ女王の方が身分が上なんだから気にすることないよ〜♪」
「ありがとう、じゃあ行きましょうか」
リズ女王は外へと歩いた。僕達もそれに続く。
そしてリズ女王は住民達の前に立ち、住民達がこちらを向いて静かになったことを確認すると、一呼吸置いて口を開いた。
「城下町のみなさん、集まってくれたことに感謝します、私はリズ・マリベール、キリンヤガ女王です!」
住民達は驚いてまたざわつき始めた。
「一体何が起きたんだ?」
「王が変わるって、本当だったのか!?」
「おいおい、王って小娘じゃねぇか、一体どう言う風の吹き回しだ?」
色々な声が聞こえる。リズ女王は続けた。
「このキリンヤガには自由がなかった、あの王のせいで、城の外に出ることもできず、騎士に監視される日々、まるで牢獄のような所だった」
「でも私達があの王を滅ぼしました、私達は自由を勝ち取ったんです!」
人々は驚いていた。それもそのはず、ただの住民だった人間が、王を倒したと言うのだから。
「自由とは言っても城は誰かが引き継がなければいけない、この城には王が必要なんです、最初はあまり信用してもらえないでしょう、でも私はみんなの幸せを約束します!きっといい城にしてみせます!だから皆さん、どうか私を信じてください!」
リズ女王のこの発言で住民は静まり返った。人々は顔を見合わせている。そして、どこからか拍手が聞こえた。
そして1人、また1人と拍手する者は増え、次第に歓声が上がった。
みんな、リズ女王を認めてくれたのである。
「いいぞ〜!リズ女王様〜!」
「これは期待できるな」
「あの人なら絶対大丈夫だよ!」
リズ女王には沢山の祝福の言葉が送られた。今までのキリンヤガとは違う、これからは明るく、活発な城になる、リズ女王の後ろに立っている僕は確信した。
(この城を絶対平和にしてくれる、信じてるからね、リズ女王)
大歓声の中、リズ女王の演説は終了した。
僕達はその後城の中に戻った。そして僕はフランネルとある相談をした。
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あたしはフランネル・コトーネ、リズ女王の演説が終わって今城の中にいる。
あたしはシルクを連れ、騎士達が待機している部屋へ向かっているところだ。
騎士達は今日で役目を終える。
その理由を今から伝えに行くところなのだ。
「シルク、本当にいいのか?後悔しないな?」
「うん、騎士達は十分働いてくれた、あの子達にも自由な暮らしって言うのをさせてあげたいし、僕は騎士達に幸せになってもらいたいんだ♪」
「そうか、ではあたしが全部伝えよう」
あたし達は部屋の前に着くと。ドアを開け、中に入った。
すると騎士達はあたし達を見て整列をした。
同じ部屋に猫谷 鈴達もいる。鈴達はあたし達の元へ来た。
「あ、フランネルちゃん!リズちゃんの演説どうだった?」
「住民達は納得してくれたみたいだ、騎士達の世話、ご苦労だったな」
「うん!フランネルちゃん達凄いね、こんな大勢の人達を従えるなんて」
「お前達もよく頑張ってくれた、感謝する、突然ですまないが、少し部屋を出ててくれないか?騎士達と大事な話がある」
「分かった!」
鈴達は部屋を出た。
そして、あたしは一つ咳払いをすると。口を開いた。
「騎士達よ、ご苦労だった、早速だがお前達に伝えたいことがある」
「今日からお前達は、あたし達の部下ではない、お前達は一人の人間として生きて欲しい」
騎士達は困惑している。
すると、騎士の1人が言った。
「何故です!?一体どういうことですか!?」
「突然のことですまないとは思っている、だが、お前達はこれからあたし達に従う必要は無い、これは決してお前達が使い物にならなかったからというものでは無い、お前達には自由な暮らしをして欲しいという純粋な気持ちだ、今日までご苦労だった、みんな、達者でな……」
あたしは別れの挨拶をしたつもりだった。しかし、騎士は誰一人として動こうとしなかった。
「おいどうした?もういいんだぞ?各々好きなところに行けばいい、お前達はもうあたしの部下じゃない、自由なことをしていいんだぞ?」
この言葉を聞いてもまだ騎士達は動こうとしない。
「何故だ!?お前達、あたし達の言うことが悪戯だと思っているのか?だがこれは本心だ、お前達はもう十分頑張ってくれた、もうあたし達に縛られなくてもいいんだぞ?」
「フランネル様、何を言っていらっしゃるのですか?」
「えっ………?」
騎士の言葉を聞いた瞬間、今度はあたしが動揺してしまった。
「俺達はフランネル様とシルク様の部下でいれたことに誇りを持っているんですよ?御二方は俺達を大切にしてくださった、なのに、俺達がフランネル様とシルク様を置いてここを去るなんて、絶対にできません!」
違う騎士がそう言った。
何故だ?あたしは自由を与えると言った。しかし騎士達はまだあたし達に従うつもりなのだ。
「もういいんだ!何故そこまでしてあたし達に従おうとするんだ!あたし達は偉そうに命令していただけだぞ?苦しくないのか?」
「苦しくなんてありません!俺達は御二方と共に、この城を守っていたいんです!」
「僕達は御二方がいないとダメなんです!」
リーフまでもそんなことを言う。騎士達があたし達に対してそんなことを思っていたとは…。
あたしはシルクの方を向いて助けを求めた。
「シルク、どうする?こいつら本気であたし達に着いてくるつもりだぞ?」
するとシルクは笑みを浮かべながら言った。
「いいんじゃない?この子達が本当に着いてきたいって言ってるんだから、フランネルは自由にしていいって言ったでしょ?この子達のやりたいことは僕達に従うことなんだよ」
そしてシルクは騎士達に言った。
「君達の気持ちは十分に伝わったよ、それじゃ、これからもよろしくって感じだね〜♪そう言ったからには僕の元でしっかり働いてもらうよ〜?それでも従う覚悟はある〜?」
騎士達は皆「おおおおっ!」と叫びながら右手を上げた。
シルクは笑顔のままあたしの方を向き口を開いた。
「フランネル、この子達は僕達がいないとダメみたいだよ、ほんとに、どうしようもない子達だよね」
「そうだな、まぁ、おまえも困った奴だけどな、騎士達と訓練中におしゃべりをしてることを知らないとでも思ったか?」
「ギクッ……!?ま、まぁ今はそんな堅いこと言わないで、騎士達はどうあるべきか、話しておかなきゃじゃない?」
「ふふっ、そうだな」
あたしはいつも付けているローブのフードを外し騎士達に言った。
「騎士達よ、これからお前達は城下町の民を監視するのではなく、民達を守る騎士になってもらいたい、そして、リズ女王とその臣下であるあたし達と一緒に、城を豊かにしていくのだ!いいな?」
騎士達は気をつけの姿勢で「はい!」といい返事をした。
「よし、早速訓練だ、皆訓練所に行くように!」
あたしがそう指示を出すと騎士達は一斉に部屋を出た。
しかし、シルクはリーフだけ残るように命じた。そしてリーフ以外の騎士が出たことを確認してシルクは言った。
「リーフ、僕は君を信用してる」
「ありがとうございます!シルク様、フランネル様のために、全力を尽くします」
「そこで、君をキリンヤガ騎士隊長に任命するよ、どう?かっこいい肩書きでしょ?」
「えっ?本当ですか!?」
「うん、ほんとだよ〜♪頑張ってね〜」
「いやいやシルク、ちょっと待て!勝手に話を進めるな!リーフが隊長をやるにはまだ早いぞ、少し未熟な部分もある、ここはやはり戦いの経験があるやつの方が……」
「フランネル!」
シルクはあたしに向かって大声を出した後、じっと見つめてきた。
多分、指図をするなということなのだろう、やれやれ、昔からやると決めたら聞かない所は何一つ変わってないな。
「わ、わかった……」
「じゃ、リーフも行っていいよ」
「はい!」
リーフは部屋を出た。
それと同時にあたしはフードをまた付けようとした。やはりこれがないと落ち着かない。
しかし、シルクはあたしの手を右手で掴み、左手でフードを後ろに払った。
「な、なんだ?いきなり……」
「前から思ってたけど、フードぐらい外して生活したら?フランネルはそもそも片目を髪の毛で隠してるんだからさ、フードを被ったら余計顔が見えないよ」
「別に顔なんて見えなくても……」
「甘いね〜フランネルは、場所を良くするためにはまず人が良くならなくっちゃ、フードを被らない方が人当たりが良さそうに見えるでしょ?」
そう言ってシルクは部屋を出てしまった。
ふん、余計なお世話だ。だが、あながち間違ってはいないな。
場所を良くするにはまず人がよくならなくてはいけない、か……。
あたしはフードを被らず、そのまま部屋の外へ出た。
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私達は城のとある部屋で休憩をしています。
私はみぃちゃん、リィルちゃん、木ノ葉ちゃん、アリスちゃんとさっきまで城の騎士さんのお世話をしてました。
お茶を出してあげたり、肩をもんであげたり、まるでメイドさんになった気分でした。今そんな話をしています。
「でも疲れたよ〜、人のお世話をするのって大変だね」
「ほんとだね、そう言えばニーナちゃんはどこに行ったんだろう?緩菜さんに騎士さん達のお世話を頼まれた時は一緒にいたのに、急にいなくなっちゃった」
「うーん……リィルちゃんと木乃葉ちゃん、知ってる?」
私が2人にそう聞いてみたけど、2人は口を揃えて。「知らない」と言いました。
噂をすればなんとやら、ちょうどニーナちゃんがドアをバタン!と開けて部屋に入ってきました。
しかし、体がボロボロです。
「うう……酷い目にあったにゃ……」
「ニーナ様!大丈夫ですか!?お体がボロボロに!」
「いきなりテレポートで外に飛ばされたと思ったら、人間達にずっと耳と尻尾をモフモフされ続けたにゃ〜……酷いにゃ!もっと加減を考えて欲しいにゃ!」
「確かに街の人達酷い!」
「ほんとだにゃ、アリスにゃ〜はちゃんと分かって……」
「私だってモフモフしたいのに〜!やること終わったらニーナちゃんの尻尾モフモフさせてもらおうと思って我慢してたのに〜!みんなずるいよ〜!」
「怒るところが違うにゃ〜!」
そして、緩菜ちゃんが部屋に入ってきました。
「ふう、いい仕事したわ〜、あ、鈴たちもここにいたのね?」
「緩菜にゃー!!!!!」
ニーナちゃんが緩菜ちゃんの所に走って両手でポカポカと叩き始めました。
あの間一体何が……?
「うわっ!?痛い痛い!そんな怒らなくったっていいじゃない!街の人達の注目を集めるのはあなたが1番手っ取り早かったのよ!」
「もっと他のやり方があったにゃー!こんなの動物虐待にゃ!緩菜にゃ〜のバカ!インチキ魔法使い!」
「ごめんごめん!そんなに怒ると思ってなかったのよ」
「フーーー!シャーーー!」
ニーナちゃんは緩菜ちゃんを威嚇しています。
私とみぃちゃんはニーナちゃんを落ち着かせようとしました。
「ニーナちゃん、気持ちはわかるけど落ち着こうよ!緩菜ちゃんも謝ってるんだから許してあげなよ!」
「木乃葉ちゃん!リィルちゃん!何とかならない?」
「やれやれ、また始まった…… リィル」
「はいは〜い♪『ドルミール』♪」
リィルちゃんがステッキを片手にニーナちゃんに向かって魔法を唱えました。
「ふにゃ〜……zzzzz」
するとニーナちゃんは眠ってしまいました。
「あ、眠っちゃった、凄い、あんなに暴れてたのに……」
「ニーナ様は怒りが頂点に達すると時々暴走する時がある、その時はリィルの睡眠魔法で眠らせないと落ち着かない」
「そうなんだ、とりあえずベッドに運んであげよう、ニーナちゃんも疲れでストレスが溜まっちゃったんだよ」
私達はニーナちゃんをベッドに運び、ニーナちゃんを休ませてあげました。
そして窓の外を見ました。まだ明るいです。
言い忘れていたのですが、この世界は1日が36時間で現実世界よりも12時間長いのです。つまりは私が捕まってから今の現状まで、一切日は落ちていません。むしろ今お昼を少し過ぎたぐらいです。
前にニーナちゃんから教えられました。1日が長いせいか何だか3人で家にいた時間が懐かしく感じます。
「このお城も良いところだけど、そろそろ帰りたいな〜」
「うん、家が恋しいよね、ニーナちゃんが起きたらリズさんに言って帰ろう?」
「えっ!?みんな帰っちゃうの!?もうちょっといなよ!」
アリスちゃんはそう言って私の腕を掴みました。
「でも……1番近くの街だし、また来れるから、アリスちゃんもそう言ってたでしょ?」
「そうだけど……なら、今日だけはここに泊まって行って?私、あなた達にお礼がしたいの、ね?お願い!」
「鈴、今日は泊まって行きましょ?近いとは言っても歩くと結構あるわ」
「じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな?」
「わぁーい♪じゃあ早速作ってくるから、明日には出来てるからみんなはゆっくりしててね♪」
「え?アリスちゃんどこ行くの?ちょっと待って!」
私の言葉を無視してアリスちゃんは部屋から出てしまいました。
「何を作るんだろう?」
「さぁ?とりあえずゆっくりしてればいいんじゃないかしら?私もちょっと疲れたし」
私達は、しばらく部屋でゆっくりとお城の生活を満喫することにしました。
夜になり、リズちゃんがお食事会を開くと言ったので参加することにしました。
真ん中にいるリズちゃんの両サイドに座っているのはフランネルちゃんとシルクちゃん、その愛向となっているのが私、その左隣にはみぃちゃん、右隣にはニーナちゃんがいます。
ニーナちゃんの機嫌もすっかり治ってるみたいです。ニーナちゃんの隣には木乃葉ちゃんとリィルちゃんが並んで座っています。
そして緩菜ちゃんはフランネルちゃんの隣に、でもアリスちゃんだけいません。
リズちゃんは私に問いかけてきました。
「ねぇ鈴、アリスはどうしたの?」
「突然、部屋を出て行っちゃったの、何かを作るって言ってたけど」
「もうあの子ったら、隙あらばどこかに行っちゃうんだから」
「出来たよ!」
アリスちゃんがそう言いながらバタン!と扉を開けました。でも手には何も持っていません。
「アリス、食事の時間よ?はやく座りなさい」
「はーい、鈴ちゃん達、お食事が終わったら来て?」
私達は頷きました。そしてアリスちゃんもみぃちゃんの隣に座り、リズちゃんが咳払いをして口を開きました。
「みんな、もう一度お礼を言わせて、本当にありがとう、あなた達がいなかったらこんな思い切ったことできなかった、今日は思いっきり楽しんでいってちょうだい!」
テーブルにはチキンやオードブルなど、豪華な物が沢山あります。
こんな豪華な食事初めてです。それにとても美味しい。
みんなそれぞれ思い思いに楽しんでいます。
ニーナちゃんとシルクちゃんとリィルちゃんは目の前にある食べ物の取り合いをしています。木乃葉ちゃんは静かに食べています
「むぎぃぃ!それは僕の肉だよ!」
「にゃ〜が先に取ったんだにゃ!」
「私も食べたい〜!」
「3人とも喧嘩しない……」
みぃちゃんは私とアリスちゃんに気を使って譲ってくれます。自分も食べたいはずなのに、こういう時でもみぃちゃんは他人を優先します。私も見習わなきゃなって思いました。
緩菜ちゃんとフランネルちゃんはお話をしているみたいです。
「そうか、明日には帰ってしまうのか、緩菜の魔法に興味があったのだがな」
「勉強熱心ね、今ぐらい楽しんだら?」
「いや、リズ女王をお守りするにはもっと強くならなければ、そのために日々魔法の研究は怠ってはならない」
「真面目過ぎるのも人生損するわよ、ほら、シルクを見習いなさい、あんなに楽しそうよ?」
「あいつは怠けすぎだと思うんだが……」
私はとても幸せでした。現実世界ではこんな幸せな時間過ごすことは出来なかったでしょう。
そんなお食事会が終わると、アリスちゃんは騎士さん数人を連れて部屋を出ました。
そして、ある物を持って戻ってきました。
「じゃーん♪」
私達に見せたのは、かわいい水色のドレスでした。アリスちゃんの着ている物と一緒です。
「これアリスちゃんが作ったの?」
「うん!鈴ちゃん達にどうしても私とおそろいのを着て欲しくて、私、服を作るのが得意なの、着てみて♪」
言われた通り私はアリスちゃんの作った水色のドレスを着ました。
「わあ、綺麗♪ありがとうアリスちゃん♪」
「気に入って貰えてよかった♪」
「鈴ちゃんかわいい、とっても似合ってるよ」
「まるでお嬢様だにゃ〜」
「実ちゃんとニーナちゃんの分もあるよ?」
そう言うとアリスちゃんは騎士さん達から同じ服を2着持ってみぃちゃんとニーナちゃんの前で見せました。
「え〜!?私はいいよ、和服しか着たことないし似合わないよ〜」
「せっかく作ってもらったんだから着てみるにゃ〜」
そして2人もドレスを着ました。
みぃちゃんはいつも和服なのでなんだか新鮮でした。ニーナちゃんもとても似合っています。
「うう……なんだか恥ずかしいよ〜」
「全然似合わなくなんかないじゃない、かわいいよ♪」
「そ、そうかな〜?えへへ♪」
みぃちゃんは照れています。
「木乃葉にゃ〜、リィルにゃ〜、どうかにゃ〜?」
「ニーナ様、とてもお似合いで」
「さっすがニーナ様ぁ〜♪」
ニーナちゃんも気に入っているみたいです。
美味しいご飯も食べれて、素敵なドレスまで着させてもらって、色々あったけど最高でした。
そして、次の朝、別れの時です。リズちゃん達が城の入口まで見送りをしてくれました。
「鈴、実、ニーナとその部下達、緩菜、本当にありがとう、これからキリンヤガの城は私とアリス、フランネルとシルク、そして城の騎士や民達できっと素敵なところにしてみせるわ」
「うん!リズちゃん達ならきっとできるよ!」
そしてアリスちゃんが私の目の前に来て私を抱きしめました。
「鈴ちゃん、ありがとう、また会おうね、絶対だよ!」
「うん!アリスちゃん、またお洋服着させてね♪」
そしてフランネルちゃんとシルクちゃんが前に出てきました。
「あたし達からも礼を言おう、キリンヤガを、そしてあたし達を救ってくれたこと、一生忘れない、ありがとう」
「また遊びにおいでよ〜♪次きた時は最高のもてなしをしてあげるからさ」
「うん!それじゃあみんな、元気でね!」
私達はリズちゃん達に別れを告げ、キリンヤガの城を後にしました。
気持ちいい朝の日を浴びながら……。
キリンヤガ編、終了です!お疲れ様でした!
次はどんなお話になるのか、ご期待ください。
かなり長くなりましたね。楽しんでいただけたら幸いでございます。
それにしても理想郷の一日は長いですね、私もこれぐらい長ければな〜っていつも思ったりします(笑)
では、また次回!




