表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶望の果ての理想郷  作者: 秌雨
14/48

第14話、王との決戦

キリンヤガの城、私達は王様と戦闘中です。

リズちゃんは大きな剣を持って王様と戦っています。


「はぁ……はぁ……」

「どうした?さっきより勢いが落ちておるぞ?」


リズちゃんは息が上がっています。重い剣を振り回しながら、跳ねたり、王様の攻撃を避けたりしているうちに、体力を消耗してしまったのです。


「どんなに大きな剣を振り回せても、所詮は小娘、我の槍には勝てぬ、残念だったな」

「何を言ってるの……?まだ勝負は着いて、いないわ!」


リズちゃんは剣を思いっきり振りました。しかし、王様が持っている槍で簡単に弾いてしまいます。

そして、リズちゃんの手から剣が離れて、遠くに飛ばされてしまいます。


「うわっ!?」

「ふん、無駄だ、死ね!」


王様は隙だらけのリズちゃんに向かって槍を突き刺そうとしました。その時、


「『リストレイント』!」


緩菜ちゃんが水色のリングを飛ばし、王様の手足を封じました。


「むぅ……!?」

「悪いけど足止めさせてもらうわ、リズ!早く剣を!」

「洒落臭い!」

「……っ!?」


王様はリングを一瞬で破壊し、槍で緩菜ちゃんとリズちゃんを薙ぎ払いました。


「きゃぁぁぁ!!」「わぁぁぁ!!」


そして2人はそのまま気を失ってしまいました。私はすぐに緩菜ちゃんの元へ駆け寄り、体をゆさゆさと揺らしました。アリスちゃんもリズちゃんの元へと駆け寄ります。


「緩菜ちゃん!緩菜ちゃんしっかりして!」

「お姉ちゃん起きて!」


「鈴にゃ〜!」


私はニーナちゃんに呼ばれ顔を上げると、目の前には槍を構えた王が!

しかし、ニーナちゃんが私の前に立ち、槍に三本の尻尾を巻き付けて攻撃を封じようと試みました。


「鈴にゃ〜達には手を出させないにゃ!みぃにゃ〜!緩菜にゃ〜達を回復させるにゃ!」

「うん!」


ニーナちゃんがそう言うとみぃちゃんはこっちに来て三味線を構えました。これで緩菜ちゃん達が戦えるようになれば……。

でも、その時です。


「ぐっ……!離せにゃ……!」


王様がニーナちゃんの首元を片手で掴み軽々と持ち上げています。


「ほう?三本の尻尾で我の攻撃を封じるか、おもしろい、だが本体の方ががら空きだ」

「くっ……でも……にゃ〜の尻尾が槍に巻き付いてる限り、おまえは攻撃できないにゃ!」

「それはどうかな?」


王様は槍を持っている手に力を込めました。その瞬間、槍が青色に光り始めます。すると、巻き付いていたニーナちゃんの尻尾が急に解け、元の位置に戻ってしまいました。


「にゃっ!?力が……抜ける……」

「残念だったな、この槍には相手の力を奪うことも出来る、貴様の尻尾などただの時間稼ぎに過ぎん」


「ニーナ様を返せ〜!」「ニーナ様を離せ!」


王様の後ろからリィルちゃんと木乃葉ちゃんが攻撃をしようと王様に飛びかかりました。

しかし、王様は自由になった槍に再び力を込め、地面に突き刺しました。すると、リィルちゃんと木乃葉ちゃんは王様に攻撃できず、そのまま地面に落ちてしまいます。


「うぅ……力が……」「抜ける……」

「貴様らでは我を倒すことは出来ぬ、無駄なあがきを……ついでに回復も封じておこう」


そう言うと王様はニーナちゃんをその場に落とし、槍からみぃちゃんに向かって波動を出しました。波動は一瞬でみぃちゃんに飛んで行き、命中しました。


「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!?」

「みぃちゃん!」


そして、みぃちゃんもその場に倒れ、遂に戦えるのは私とアリスちゃんだけになってしまいました。

そんな、どうしよう……どうしよう……。みんなやられちゃった、私も戦わなきゃ!でも、私は何も……。でも戦わなきゃみんな死んじゃう!


「あとは、貴様らだけか、手こずらせおって」

「どうして……どうしてこんな酷いことが簡単に出来るの!?人が死んで悲しくないの!?」

「貴様らが我に刃向かったのが悪いのだ、大人しく言うことを聞いていれば、こんなことにはならなかったものを、反逆者は消し去るのみ、死ぬがいい!」


王様は私に槍を向けました。私に突き刺すつもりなのです。

そんな、やっと幸せな生活ができると思ったのに、素敵な友達が出来て毎日笑い合えると思ったのに、ここで終わりだなんて、そんなの嫌だ。だから……、

私は涙ながらに息を深く吸い込んで思いっきり叫びました。


「やめてーーーーーー!!!!」


その瞬間。私の青い宝石が強い光を放ちました。緩菜ちゃんの家で起きたことと同じ現象です。


「うおっ!?何だこの光は!?」

「許さない!私の大切な人達を傷つけるあなたを、私は絶対許さない!」

「無駄な足掻きを!潔く死ね!」


王様は槍を私に刺して来ました。

私は、その瞬間に手を前に出しました。すると、私の周りに青い結界が張られ、王様の攻撃を防ぎます。


「なんだと!?」

「はぁぁぁぁぁ!!!!」


私は両手に力を入れました。結界は徐々に膨らみ、王様を押し返して行きます。そして勢いよく、破裂しました。

王様は吹っ飛び、壁に背を強く打ちつけます。


「ぐおおおおおお!!!?」


私は近くに落ちていたリズちゃんの剣を拾い、宝石の近くに寄せて祈りました。


(お願い、私に力を貸して、みんなを守りたいの……)


すると私の思いに答えてくれたのか、剣は青い光に包まれました。


「これで……この一撃で決着をつける!やぁぁぁ!!!」


私は剣を両手で思いっきり振りました。すると剣の青い光は衝撃波に代わり王様に向かって飛んで行きました。衝撃波は命中しました。

その瞬間、石は光を失って、私は急に体が重くなり膝をついてしまいました。私は少し混乱しています。急に不思議な力が体を巡って勝手に身体が動いていたのです。この石のおかげなんでしょうか?


「はぁ……はぁ……今の力は?」

「鈴ちゃん!大丈夫?」

「うん、何とか……アリスちゃんは?あと、他のみんなも」

「私は大丈夫、他のみんなは目を覚まさないの」

「そんな!死んじゃってないよね?」

「ううん、鈴ちゃんが戦ってる時みんな確認したけど息してた、まだ生きてるよ」

「よかった……早くみんなの手当をしなきゃ!」


そう言った瞬間、王様が傷だらけの状態でゆっくりと出てきました。かなり大ダメージを与えたようですが、倒しきれなかったのす。


「侮っていた、貴様がそんな力を持っていたとは……ならば、本気で貴様を殺さなければな!」

「っ……!?」


どうしよう、今度は本当に殺される。お願い、もう一度力を貸して!さっきみたいに私の体を動かしてよ!私はもう一度宝石に祈りましたが、無反応です。

王様は槍を構えこっちに向かって突進してきます。アリスちゃんが私の前で手を広げて私を守ろうとしています。


「アリスちゃん、駄目!」

「鈴ちゃんは、死なせないから!みんなを、お姉ちゃんをよろしくね……」

「嫌!アリスちゃん避けて!」


アリスちゃんは足が震えています。誰か、誰かアリスちゃんを、みんなを助けて!そんな願いも届かず、もう王様はすぐそこまで来ています。

もう、駄目…。そう思った時です。

王様が急に動きを止め、構えていた槍を落とし、その場で膝を付いてしまいました。

そして、王様が膝を付いた先にいたのは、シルクちゃんでした。シルクちゃんがナイフで王様を後ろから刺していたのです。


「シ……ルク……貴……様ァ……!」

「いい加減死になよ、君は王として相応しくない、それがこの結果だよ、これが君のやってきたことだ心を入れ替えて新しい人生を歩むんだね」

「くそっ……!我の……国が……我の……理想……が…………………」


そう言って王様は倒れてしまいました。そして、青い光の粒となって消えてしましました。


「王様が、消えちゃった……」

「あれれ?君知らないの?この世界の死はこういう物なんだよ、僕はこの光を何度も見てきた」


よく分かりませんが、王様は死んじゃったみたいです。これが、この世界の死……。


「まぁいいや、僕は王を殺せて満足だよ、協力ありがとう、鈴……だっけ?やっぱり君は天生石の力を持ってたんだね〜、見込んだ通りだったよ〜」

「天生石の力?」

「君は能力を持ってないでしょ?そういう人だけが持てる力の事だよ〜、その石は『天生石』さっきみたいな強大な力を引き出すことの出来る特別な石だよ〜」

「じゃあこれで傷ついたみんなを助けられる?」

「もちろんだよ、フランネル!出てきて!」


シルクちゃんが呼ぶと、フランネルちゃんが床から出てきました。


「シルク……おまえは無茶をし過ぎだ、ヒヤヒヤしたぞ……」

「ごめんごめん、でも王は殺せたよ、長年の敵を討てたんだ、この子のおかげでね」

「だが、多くの被害が出た、鈴、捕らえた上にみんなを傷つけることになってすまなかった」

「謝るのはみんなを助けた後、フランネルも協力してよね」

「あぁ、何をすればいい?」

「鈴の持ってる宝石に目を瞑りながら触ってて、鈴はそのままじっとしててよ」


私は頷くとシルクちゃんとフランネルちゃんは私の宝石に手を当て目を瞑りました。そしてシルクちゃんはゆっくりと口を開きました。


「天からの生を与える石よ、我達の魔力を引き換えに、その力を解き放ちたまえ!」


シルクちゃんはこの言葉を言い終わると、宝石が今度は緑色に光り、辺りを優しく包み込みました。

すると、みんなの傷がみるみると治っていき、目を覚ましました。その後、緑の光は小さくなっていき、消えてしましました。


「みんな!」

「鈴にゃ〜!」「鈴ちゃん!」


ニーナちゃんとみぃちゃんが私を抱きしめました。


「やったにゃ!遂に王を倒したんだにゃ!」

「鈴ちゃん、痛いところない?大丈夫?」


「うん!それより2人は大丈夫なの?」


「平気にゃ!鈴にゃ〜達のおかけですっかり元気だにゃ〜♪」

「鈴ちゃん、ありがとう」


私は歓喜あまって涙が出てきました。


「ウッ…グスッ…本当に……よかった……」


「もう、鈴にゃ〜は泣き虫だにゃ〜、そんなんじゃ…グスッ…強く…ヒック…なれないにゃ…」

「ニーナちゃんも泣いてるよ…でも、私も涙が出てきちゃった…」


一方、ニーナちゃんの部下であるリィルちゃんと木乃葉ちゃんは…


「ふん、強くて賢い私がいるんだから負ける訳ないじゃない」

「リィル……足と声震えてる、強がんないで正直に言っていい」

「うっ……うわぁぁぁん!木乃葉ぁ〜、こわかったよぉ〜……」

「よしよし、もう安心、ニーナ様もご無事のようで何より」


そして戦いの指示を出していた緩菜ちゃん、リズちゃんは…。


「勝てたのね、私達」

「えぇ、そうね」

「緩菜、ありがとう……あの時緩菜が背中を押してなければ戦う勇気も出なかったわ、アリスを助けることもできなかった」

「気にすることないわ、目的が一緒だったってだけ、まぁ王を倒すってのは予想外だったけど、何とかなったわね、これに関しては木乃葉に感謝すべだわ」


そして、リズちゃんにアリスちゃんが抱きつきました。


「お姉ちゃん!」

「アリス、本当に無事でよかったわ、怖い思いをいっぱいさせてごめんなさいね」

「ううん、私も勝手なことしてごめんなさい……ずっと一緒だよ、お姉ちゃん♪」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



王を倒した後、みんなはそれぞれ喜びを分かち合っていた。

あたしは嬉しいという気持ちよりは、だれも犠牲にならなくて良かったという安心の方が感情としては強かった。


今は喜びを噛み締めるのが普通なのだが、あたしはどうしても気になることがある。それは、シルクがなぜ鈴が持っている石のことについて知っていたのか、ということだ。

あたしはこの城の書物の内容は全て記憶している。しかし、あの石のことは書物には一切書かれていない、シルクはどうやってあそこまで知ったんだ?


そう言えば、別空間にいた時、シルクは妙なことを言っていた気がする……。


『シルク!このままではみんなが危ない、ここから出て戦うぞ!』

『まだだよ、フランネル……僕が指示したらって言ったじゃないか』

『馬鹿!そんなこと言っている場合か!立っているのは鈴とアリスだけなんだぞ!しかもあいつらは戦えない、私だけでも出るぞ……くっ……何故止める!?』

『まだだってば、こっからが見どころなんだから』


シルクは何故か絶体絶命の状態にも関わらず、戦いに参加しようとしなかった。

そして、あっちの空間では鈴がこれまでにない力を発揮していた。


『ほら、やっぱり……あの力を持っていたんだ、いや〜、凄いね〜、想像以上だよ』

『あの力?なんだそれは?』

『フランネル、この空間の出口を開ける準備をして、王がここを通り過ぎた瞬間に殺る』

『ああ、わかった……』


あたしの質問ははぐらかされた気がするが、考えている場合ではなかった。

王が真上を通り過ぎたタイミングでシルクが指示をだし、あたしは出口を開けた。そしてシルクはいつの間にか持っていたナイフで王を後ろから刺し殺した。


あたしはどうしても気になる、シルクに聞いて見ることにした。


「なぁ、シルク」

「どうしたの〜?」

「おまえは何故あの石のことを知っているんだ?」

「今の王が権限を渡される前、その時の王が教えてくれたのを覚えてたんだよ、それで君達が書斎に来た時、鈴が首にぶら下げてた石を見てもしかしたらって思ってね」

「前の王は物知りだったからな、納得だ」

「そんなことより、これからどうする?」


確かに、王を倒して自由にはなれた。だがこの城は一体どうなる?誰がこの城の王になるんだ?


「あたし達は今まで臣下として王に忠誠を誓ってきた、しかし王がいなくなった今、あたし達は何に従っていけばいいんだ?」

「真面目だね〜フランネルは、またいい人を探せばいいんだよ」

「見つかればいいがな」


そんなことを話していると、緩菜がこちらに来た。


「フランネルとシルク、あなた達にも感謝しなきゃね」

「いいや、感謝するのはこちらの方だ、そしておまえ達には謝罪しなければならない」

「私には謝罪なんていらないわ、謝るべき人は鈴よ」


あたしは鈴の元へに行き、まずは頭を下げた。


「鈴、おまえを捕らえたりして本当にすまなかった」

「ううん、もういいの、フランネルちゃんもシルクちゃんも命がかかってたんでしょ?謝ることなんてないんだよ?頭を上げて、ね?」

「ありがとう、優しいな、おまえのような優しさを持つような者はこの城にはいなかった」

「フランネルちゃんも優しい人だよ、これからも仲良くしようね♪」


鈴は笑顔で私に手を差し出してきた。なんだろうこの感覚、今までに感じたことの無い暖かい感覚だ。きっと、これが嬉しいという気持ちなのだろう。


「あぁ、よろしく頼む」


あたしは差し出された手を握った。

その時だった。ニーナが指をさしながら叫んでいた。


「な、なんにゃあれ!?」


あたし達は一斉にニーナの指さす方向に顔を向けた。すると玉座の上に眩い光があった。そして、次の瞬間にその光の中から2人の水色の髪の少女が出てきて、ゆっくりと降りてきた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ねぇねぇ、なんかここの城の王が死んじゃったみたいだよ〜?」

「ええ〜!?どうして〜?」

「私にもわかんな〜い、あ!この人達に聞いてみようよ!」


青い髪の少女2人はわざとらしく大袈裟に話をしています。

そして2人は私達の方を向いて再び口を開きました。


「おや?そこにいるのは最近この世界に来た猫谷 鈴だね〜、どう?元気してる〜?」


左にいる女の子が私に指を指してきてそう、言いました。

私は驚きました。


「なんで私の名前を!?」


「名前だけじゃないよ〜、両親を事故で亡くしてギリギリの生活をしていた猫が大好きな女子高校生、親友は早乙女 利奈」

「さらに親友を無くした上に学校では厄病神と忌み嫌われていた可哀想な女の子」


全て合っています。左の子が言うことも、右の子が言うことも全て事実です。

一体何者なんでしょう?


「あなた達は誰なの!?どうして私のことを知ってるの!?」


「知ってるに決まってるじゃん、ずっと見てたんだから」

「ちなみに、猫谷 鈴だけじゃなくて君達全員のこと知ってるよ〜♪」


ずっと見ていた?どういうこと?

2人の青い髪の少女は話を続けます。


「私達はこの世界を創り、理想の生活を与える者」

「そして現実世界で可哀想な生活を送った人間をこの世界に導く者だよ」

「つまりはこの世界の創立者」


「私は『ニライ』」「私は『カナイ』」

「ようこそ、理想郷へ!君達の幸せは私達が保証するよ♪」


信じられません。この世界を作って私をここに連れてきた神様が、今目の前にいるのです。私は固まってしまいました。


「あれ?みんな反応薄いね〜、もしも〜し、私達神様ですよ〜?この世界の最高神ですよ〜?もっと驚いていいはずだよ〜?」

「あ〜あ、ほら、やっぱり神様っぽくした方がよかったんだよ」

「カナイがいつも通りでいいって言ったんじゃん!」

「私は最初神様っぽい方がいいって言ったのにニライがいつも通りでいいよって言い出したからじゃん!」

「カナイのせいだ!」「ニライのせいだ!」


2人は何やら揉めてるようです。神様なのに子供みたいな喧嘩をしています。

すると緩菜ちゃんが話を中断するようにこう言いました。


「2人で盛り上がってるところ申し訳ないけど、そんな神様が私達になんの用かしら?」


「ああ、そうそう、君達今さっき王を殺したでしょ?」

「あれ、本当はダメなんだよね〜」


「どうしてよ!あの王は人の自由を奪う最低なやつよ!殺されて当然だわ!」


「確かにこの城の人間は自由を手に入れたかもしれない、でもここの人間は王の指示や決まりによって生活している」

「決まりがないって言うのが嫌な人間もいるってこと、王がいなければ誰に従って生きていけばいいのかな〜?」

「だから、王って言うのは少なくともこの城には必要なんだよ、それを君達が壊してしまったんだ、まぁここの王が極悪人だったからそれを倒したって所は評価するけどね〜」

「でもここの人間の存在意義を奪ったというのは罪だよ、君達には償ってもらうよ」


なんだかよくわからないけど、私達大変なことをしてしまったみたいです。


「償うって一体、私達はどうすれば……?」


「どうやって償ってもらう?カナイ、考えてなかったよ」

「そうだね〜、じゃあ誰かが王になるとかいいんじゃない?」

「それいいね、というわけでこの中で誰かこの城の王になって、城の責任を背負って貰うよ」

「誰が王になるかは私達が今決めるね」


そして、ニライ様とカナイ様は後ろを向き、2人でこしょこしょと話し合いを始めました。そして直ぐにこっちを向き、まずはニライ様から口を開きました。


「決まったよ、割と悩むことなかったね」

「リズ・マリベール、君が王になってよ」


リズちゃんは驚きました。


「えっ!?私!?」


「うん、そうだよ〜、君はここの住民だし丁度いい」

「君の持ってた大きな剣は天生石の力で作り出された剣、つまり君は特別なんだ、猫谷 鈴と一緒でね」


「それは分かったけど王になるって私はどうしたらいいの?」


「君のやりたいことをやればいいよ、君のしたいような城にするといいさ」

「臣下も2人いる事だし、その子達も自由に使えばいいんじゃないかな?」


カナイ様はフランネルちゃんとシルクちゃんがいる方に指をさしました。


「ということはあたし達は、リズに従えばいいのか?」

「やったねフランネル、手間が省けたよ〜♪」


「それじゃ、伝えたいことは伝えたし、私達帰るね〜♪」

「素敵な生活を〜♪」


そう言って2人はその場で消えてしまいました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私はリズ、突然この城を任されたけど正直戸惑ってる。

てっきり私はこのまま家に帰ってアリスと一緒に今まで通り過ごすのかと思ってた。それがまさかこんなことになるなんて……。


私はとりあえずこの城の事情に詳しいであろうフランネルに相談してみることにした。


「ねぇ、フランネル、私ほんとにこの城を背負うの?」

「そう言っていたな」

「でも、私、何やっていいかわかんないし」

「そうだな……リズが正しいと思うことをすればいいんじゃないか?あたし達はリズが王になるかならないか、答えを待ってる」


正しいこと……か、この城は自由が許されなかった。だからみんなを解放してあげたい、自由にしてあげたいとずっと思ってた。

今ならそれが出来る。やるしかない!


「やるわ、この城のみんなのために、私はこの城を背負うわ」


私がそう言うと。フランネルとシルクが突然私の前に跪いた。


「その言葉を待っていました、リズ女王」

「僕達はリズ女王の臣下としてこの身を捧げます」

「リズ女王は、今よりキリンヤガ女王としてこの城を支えて行くことになります、そんなリズ女王支えるのはあたし達臣下です、どうかあたし達を使ってください」


「リズ……女王……?」


フランネル達は頭を下げる。リズ女王、そんなこと言われたことないから少し戸惑ってしまう。

でも、この子達が本当に支えてくれるのなら……昔のキリンヤガみたいな平和を一緒に作れるのなら……。


「わかったわ、一緒に城を支えましょう」


「フランネル・コトーネ、今よりリズ女王の臣下として服従することをここに誓います」

「シルク・コトーネ、今よりリズ女王の臣下として服従することをここに誓います」


「フランネル・コトーネ、シルク・コトーネ、あなた達を私の臣下と認めます」


私がそう言うと緩菜は拍手をした。鈴達も後に続いて拍手をした。こんなの初めて、私は今まで平凡な暮らしをしてきた。アリスにも色々なことをさせてあげたかったけど城の決まりのせいで出来なかった。

でもこれからは違う、私がアリスを、そしてみんなを幸せにしてみせる。

アリスが私に抱きついてきた。


「お姉ちゃん!」

「アリス、これからは城下町じゃなくてこのお城に住むの、やりたいこといっぱいやらせてあげるからね」

「私ね、服を作ってみんなに着てもらいたいの♪」

「素敵ね、でもまだやるべき事があるわ、それが終わってからね」

「うん!」


「フランネル、シルク、早速だけど頼み事があるの」

「なんなりと」「お、早速仕事だね〜?」

「外にいる騎士達を呼び戻して見回りはしなくていいって伝えて欲しいの」

「分かりました」「は〜い♪」


フランネルとシルクは部屋から出ていった。

そして緩菜が私の方を見てこう言った。


「リズ、私も手伝うことない?王討伐に付き合ってもらった恩返しをしたいの」

「ありがとう、じゃあ城下町の人達を城の入口に集めて欲しいの」

「分かったわ」

「猫ちゃん達もお願いね」


鈴達は頷いて緩菜と一緒に部屋を出た。


まずはこの城を背負う人間としてみんなに信用してもらわないと、そう考えながら私もアリスを連れ、緩菜達の後に続いて城の入口へと向かうのだった。

みなさんあけましておめでとうございます!少し遅いご挨拶となりました。

今年もまったりと頑張ります。では、また次回♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ