世界を終わらせる未来には、花の香りの契約を

それなりに大きな商人の家に生まれた少女は、昔から大人びた子供だった。物語を正論でぶった切り、気に入った人には意地悪して、逃げられても追いかけられない、そんな天邪鬼な子供。
「主人サマ」そう彼女を呼ぶ廃墟の鳥籠に住まう彼ー【鳥さん】は、そんな彼女によく泣かされた。
彼の物語に難癖をつける少女は彼の泣く姿を見るのが好きで、それはいつしか彼自身への好意に変わっていた。
出会って、5年。少女は物語を囀る彼ー【鳥さん】のことを知るために、お伽話を探し続けていた。真実を知るために少女は海へ向かう。


その間に、少女の大好きな彼が、失われてしまうとも知らずに。

彼が、どうしようにも届かない場所にいるとも知らずに。