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四十四物語  作者: 九JACK
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 何年、経っただろうか。

 今年も七月三十一日が巡り、終わった。

 毎年集まる十六人。少し大人びていた。

 八坂なんかは僧服が板についてきた。寺の跡を継ぐらしく、修行中の身だとか。

 妹尾姉妹は高校生になるなり二人暮らしを始めたという。親が仕事の都合であまりに転々とするのに姉の雫が反目し、妹の悠を巻き込んで家出した結果だそうだ。

 相楽は花屋を目指しているというし、古宮は教師、美濃はカウンセラーなど、それぞれ夢に向かって駆け出し始めている。

 日隈はちょっと高校の部活動が癖があって大変だと苦笑しながら話していた。

 宵澤と五月七日は同じ高校で生徒会役員。明確な進路は決まっていないが進学予定らしい。

 星川は図書委員になったらしく、蔵書整理が大変、とこぼしていた。

 八月一日は八坂の寺の手伝いをしているという。意外なことに香久山と球磨川も一緒だそうだ。

 そして、塞は……


「……なんだか、今なら、夏彦くんの気持ちがわかる気がするな」

 暗い目をした塞がぽつりと呟く。誰もが塞の雰囲気に沈黙せざるを得なかった。

 親と同じ医者を目指せとのことで、進学校に進むことを強いられた塞は、光彩の部分が以前より赤みを増し、学校では「化け物」と謗られ、いじめを受けるようになった。

 ここにいるみんなとは離ればなれになってしまったため、誰も助けることができない。

 そんな塞はいつしか度会に同調し、仄暗い感情を彼に託すようになった。

 他の小学校のときのクラスメイトがどうなったか、詳しくは知らない。

 ただ、塞は唇を弧に描いて、こう言った。






「さて、今年は何人、死んだかな?」



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