幕間/十年戦争マイリス
幕間
「カードで遊ぶもんよ」
そう装武は唐突に切り出しておもちゃ箱から見つけた
『十年戦争マイリス』カードゲームの束を広げだした
「マイリスで遊ばれるのですか」
あぐらをかいた装武のももにのっかるゆみや
特に何を言うでもなくゆみやの肩にあごをのせる装武
装武の中で派もすでに闘争は始まっていた
(おおおおおおお俺の戦士デッキで勝利が見えるようだもんよ!!)
装武はひたすら前衛ユニットカードを集めた
他にも後衛カードやアイテムもあるがややこしいことが書いてあるし
数字が小さかった装武は数字が大きいヤツが強いことは知っていた
「ゆみやちゃんもデッキ作るもんよ」
「いえ私がご主人様と戦うことはできませんから」
ぱんぱんと手を叩くと緊張した面持ちの子供メイドが
デッキケースを両手で握りしめながら玉座の間に入ってきた
「お初にお目にかかります私は…」
「むッッ!!デッキを持ったいるな!!出会ってしまったらやる事は一つ!!」
装武は出来上がったカード束を前に出し
「あっ」
子供メイドも名乗るのを忘れてデッキケースを前に出した
『『戦争開始!!』』
シュッシュッシュッとお互いのカードを交換してシャッフルをする
『王子』ならば当然の礼儀である
十年戦争マイリスは亡国の王子率いる軍団が国を奪還するために戦うという設定の
カードゲームでプレイヤーは指揮官の『王子』と呼ばれる
「俺様のターンだもんよ!!」
装武は7枚の手札をパッと山札から取ると2枚手札に加えた
「コストチャージ!!」
装武は9枚になった手札を目を見開いて場に出す『召喚』をするカードを決めた!!
「コスト3を払い!!ドラゴンナイトルシールを召喚だもんよ!!」
「最初にそれを出されるのですか?」
「強いもんよ!!」
確かにドラゴンナイトはステータスが高かった
「コストの手札3枚を退路に送るもんよ」
「あ」
「どしたのゆみやちゃん、今のは弱いユニットだから平気だもんよ」
ゆみやは捨て札『退路』のカードをちらと確認した
「召喚したターンは攻撃できないからターンエンドだもんよ!
まあドラゴンナイトより強いのは出てこないもんよ!ふんすふんす!」
装武の手札には5枚の前衛ユニットカードが握られているどれも強いカードだ
「わ、わたしのた~ん!こすとちゃーじ!」
めいどの女の子は手札7枚に2枚を加え
「わたしはコスト1を払いソルジャー新兵フィーリスを召喚します!」
装武は数字を見比べた新兵フィーリスのHPは13、攻撃力が3防御力が3である
ドラゴンナイトルシールの攻撃力は7防御力は5、HPに至っては30である
負けようがないと装武はにんまりと笑った
戦闘はお互いの攻防を差し引いた値をHPから減らしてゆく
一度の戦闘でフィーリスは4点減らしルシールは1点のみ減らす
10面ダイスを用意してあるので覚えておく必要はない
少し考えていた少女が
「そして私は2コスト払い後衛に癒しのアーリアを召喚します!」
少女は装武を見た
装武は癒しのアーリアの攻撃力がルシールの防御より低い4点だったので
気にしなかった
「いいよいいよどんとこい!!」
「召喚ターンは攻撃できないのでターンエンドです!!」
装武は少女のコストが4枚、自分のコストが5枚であることに
(イケる!!)
と思った(
「よっし!!!俺のタ―――――ン!!!コストチャージッッッ!!!」
装武の手札は2枚を加え弱いユニット3枚をすかさず退路に放り込んだ!!
「コスト3払って!!絶望の暗黒騎士を召喚だもんよ!!!
絶望の暗黒騎士は敵の攻防2点下げるもんよ!!!
絶望するがいいもんよ!!!ふははははははは!!!!!」
驚いたメイドの少女は自分の場のカードと絶望の暗黒騎士のステータスを見比べた
絶望の暗黒騎士HP20の攻撃5防御4だ
「つ、強いです…」
「さすがご主人様です」
「ふははははは!!!攻撃ターン!!!コスト1を払って
ドラゴンナイトルシールのスキルを発動!!
『灼熱のドラゴンブレース』ッッッ!!!
攻撃力1.7倍だもんよ!!!んー!!!んー!!?んー!!!???」
装武はゆみやの顔を見た!!
「ご主人様ルシールの攻撃力は7なので1.7倍で斬り捨てなので11点です」
装武は少女の顔を見た
「だもんよ!!」
「新兵フィーリス残り2点です」
※通常の戦闘では攻撃された側の反撃があるが
スキルによる遠距離攻撃なので省略された(装武は忘れていた
「エンドだもんよ!!」
装武はやり切った顔をした
「あっエンドフェイズいいですか?」
「はが?」
装武は間の抜けた顔をした
「癒しのアーリアの効果で新兵フィーリス2点回復します」
「はげ???」
装武は間の抜けた顔のままゆみやを見た
「回復ユニットなのでエンドフェイズ毎に攻撃力ぶん回復します」
「回復力って書いておくもんよ!!!」
「たしかにわかりずらいですねー」
(4点なら次の攻撃で倒せるもんよ)
メイド少女は装武がうなずいたのをみて
「わたしのターン!!コストチャージ!!チャージフェイズ!!発動!!」
「???」
装武は目を丸くした
「新兵フィーリスの効果でチャージされるコストが1点増えます!!」
4枚の手札に3枚山札から足し7枚になった!!
装武は自分の手札が2枚しかないことに今気が付いた!!
「コスト1を払って盗賊プリシア召喚します!」
HP10の攻撃力は3防御力1の貧弱ユニットである
絶望の暗黒騎士の効果でさらにマイナスされて両方最低値の1だ
装武は持ってるカードを抱えてるゆみやの腿の上に置き
指を折って数えた
(HPが10で暗黒騎士が攻撃5で防御が1だから4点、ルシールが7で1ひいて6だから…?)
装武はゆみやの顔を見た
(ちょうど倒せますよ、でも倒すのでしたら新兵を・・・)(小声)
「新兵フィーリスに『好感度アイテム』花束を装備!!
攻撃力防御力に1点加算します!!」
そういってメイドの少女はカード下部の攻撃力+1防御力+1が見えるように
新兵フィーリスのカードの下に重ねた
(デバフ聴いてるから3の3が1の1で2の2だもんよ???どっちにしても変わらんもんよ???
HPはのこりちょこっとだから…えーと一撃で倒せるもんよ)
「コスト1を払ってじゅじゅちゅし みーとらを召喚します!!」
「じゅじゅちゅしってなんだもんよ?」
「呪いのじゅじゅちゅ師ですね。後衛ユニットで相手の攻撃力を減らす魔法攻撃ユニットです」
魔法攻撃ってなんだっけと思いつつも攻撃力が3点しかなかったのでやはりただの貧弱ユニット
だと装武は思った
「攻撃できんのは新兵だけだもんよ?戦闘する?ん?」
多少展開してきたが装武は自身のユニットの方が強いことを信じていた
「いえ、ターンエンドです。
エンドフェイズ、癒しのアーリアの効果で新兵フィーリス2点回復します」
新兵フィーリスの10面ダイスの6を上に向けた
メイドの少女の手札は7枚から盗賊プリシア(コスト1)アイテム花束、呪術師みーとら(コスト1)
残りの手札は2枚となった
「ふはははははははは!!!!俺様のターンだもんよ!!!!
コストチャアアアアジィィイイイイイ!!!!」
装武の手札2枚が4枚に回復した
「ちょー強いの着たもんよ!!もう勝ったも同然だもんよ!!
コスト3払って最強ユニット黒の皇帝召喚だもんよ!!!ふはははははは!!!」
「あ」
ゆみやは止める間もなかった
「黒の皇帝はHP20点以下のユニットを自動的に倒してしまうもんよ!!」
(ご主人様スキル発動コストがありません)(小声)
「あ」
装武は自分の手の平を見た右見て左見て
右脇を確認して左の脇を確認して
ゆみやの胸の谷間を確認して
ゆみやの裾をまくって確認したけど手札はなくなっていた!!!
「まいっか!!攻撃だもんよ!!!!」
攻撃可能なのは前衛ユニットがいる場合前衛ユニットにしか攻撃はできない
つまり新兵フィーリスHP6と盗賊プリシアHP10
装武は考えた
さっきからちょいちょい回復されてもしかして新兵フィーリスを倒してしまわないと
最初のスキル使った攻撃が無駄になるのではと!
「よっし!!ドラゴンナイトルシールで新兵フィーリスを攻撃だもんよ!!
俺様頭いいもんよ!!撃破―ッッ!!」
「お、おまちください」
メイドの少女が土下座のような姿勢から両手を伸ばしてカードをガードした
「ご主人様、順を追って数を数えましょう?」
ゆみやはここぞとばかりに抱き着いている
「ん?新兵フィーリスの今のHPが6!もともとの防御が3!絶望の暗黒騎士があるから
‐2で防御1だもんよドラゴンナイトルシールの攻撃力が7だから死ぬもんよ」
「アイテムの加算で防御が1点上がっております。さらに呪術師がいますので
ルシールの攻撃が1点減ります、HPが2点残ります」
「じゃあ暗黒騎士でも攻撃すればいいだけだもんよ」
絶望の暗黒騎士の攻撃力は5、呪術師効果でさがって4、防御が2残りHPが2
「攻撃宣言時、コスト1を払って呪術師みーとらスキル発動します呪術師の効果を倍にします」
「ん?!どういうことだもんよ?」
「絶望の暗黒騎士の攻撃力が5から呪術師の攻撃力マイナス効果が-2になって3になります」
「攻撃力3引く防御力2は…ダメージ1で生き残る…?」
「はい……」
ゆみやは申し訳なさそうに少し上目づかいにいった
「まあ次のターンで黒の皇帝のスキルで全滅だもんよ!!」
「通常戦闘なので…」
メイドの少女も申し訳なさそうに言った
「あ、ダメージ受けるのか~でも1点だろ?」
「それが呪術師みーとらが魔法攻撃ありますのでもう1点ずつ増えます」
「いいよいいよールシールのダメージが2で28だから2と8っと」10面ダイスを2個置く
装武は絶望の暗黒騎士も1と8のダイスが置いた
「ターンエンドだもんよ」
ちょっと重たくなった空気の中で粛々と癒しのアーリアの回復の処理が行われた
「私のッッターン!!コストチャージ!!!新兵フィーリスの効果!!」」
メイド少女の手札が4枚になった
「『加護』発動します!!「33回目の救済」
効果は1ターンの間ダイスを判定を3回振りなおせます!!」
「え?ダメだもんよ」
装武はHPに使われてるダイスを手で隠した
「いえ、ご主人様、これからダイスを使った判定をするのだと思います」
メイド少女は緊張した面持ちで
「盗賊プリシアで黒の皇帝に攻撃をします!!」
「削る気かいい度胸だもんよ!特攻しても一撃だぞ」
盗賊プリシアのHP10に対し黒の皇帝の攻撃力“10”である
(あぁ防御が1あるからかろうじて…いえ!これは!)
「コスト1を払って盗賊プリシアのスキル発動!!『暗殺』!!
10面ダイスを振って1または2が出たら攻撃を受けたユニットを退路へ送ります!!」
「まあそのくらいの確率なら…大丈夫だもんよ…?」
ころ…
「2!!」
「え…」
装武の顔が長くなった!!
「振り直しは?!」
装武は抗議した!!
「しっ…しません……」
少女はとても焦った!!
「しょぼーん、黒の皇帝…死亡だもんよ…」
しばらく退路に置くのをためらいつつ黒の皇帝は撤退した
ま
「あ!!攻撃したからそっちも反撃受けるもんよ!!」
「はい!!」
ころ…
「8…」
ころ…
「9…」
ころ…
「5!!回避しました!!」
「ほへっ??!回避なんてあったっけ?」
「はい、ローグはステータスが低い代わりに物理攻撃に対しての回避50%がついてます
ちょっと加護が強すぎますね…」
ゆみやもトーンダウンした
「エンドフェイズ!!」
メイド少女はしっかり回復もした[新兵フィーリスHP1→3]
少女の手にはまだ手札が2枚装武はそれをちらと確認したうえで
「俺様のタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!」
山札をぐっと摘み
「コストオオオオオオオォォォチャアアアアアアアアアジイイイイイイィィ!!!!!」
2枚引いた!!!
コスト"2"の攻撃力の低い鉄盾のベルニーニと
コスト"4"の攻撃力の高い鬼の阿天だった!!
(だっ出せない……)
「むあああああああ盗賊にやられそうでどうしたらいいかわからんもんよ!!」
装武は困った顔でゆみやを見た
「代わりましょうかご主人様?」
「えっ」
メイドの少女は困惑した
「私とご主人様とは一心同体なので何の問題もありません」
「問題ないもんよ!」
「問題ありません!!」メイドの少女も快諾した
左ももに乗っていたゆみやは装武からカードを受け取ると
装武のあぐらに座椅子に座るように収まった
「ではドラゴンナイトルシールのスキル発動、対象盗賊プリシアです」
ゆみやは手札の阿天を退路に送った
「えっ阿天のが強いよ」
「10点ダメージ通ります、盗賊プリシア死亡です」
メイドの少女はあっさりと通した
「あれ?ん?避けないの?」
装武はゆみやの右肩にあごをのせたまま首を右に左に捻った
「このスキルは魔法扱いなのでローグの回避はできないんです」
ドラゴンナイトルシール"撤退"します」
「え?ええええええ????強いのに?!!」
「ドラゴンナイト撤退時効果、ご主人様2枚引いてください」
「!!」
装武の目がかっぴらいた!!
「しゃっやああああああぁああああ任せろおおおおお!!!!!
コストチャアアアアアアジイイイィィィ!!!!」
コスト1黒騎士ダイヤ
コスト3封印されしドラゴニアパーツ【頭】
ゆみやはちょっと困った
「ご主人様これは…」
ドラゴニアパーツを装武に見せた
「封印されしドラゴニアは頭、右腕、左腕、左足、右足、
激流葬を並べるとすごい事になるんだもんよ!!
ちなみに頭しかもってないもんよ!!」
装武の目は輝いた!!
「ではコスト1を払って黒騎士ダイヤを召喚します」
無情にも封印されしドラゴニアパーツは退路に送られた
「あああああああああぁぁぁぁぁあああああああああああぁああああ!!!!」
「黒騎士ダイヤは召喚ターンに攻撃することができます、対象、新兵フィーリス、
攻撃力は5です」
「えと、呪術師の効果で1減ります新兵フィーリス防御2点でHP1残ります」
「ダメージ計算時ダイヤ効果発動いいですか?」
「えっ呪術師の効果は…えと呪術師のスキル発動し…そこまで巻き戻しても?」
「いいですよ。」
(あっダイヤの効果は5の攻撃に3を足して防御1引く…)
「呪術師発動しません、新兵フィーリス死亡します」
「???黒騎士は強いのかもんよ???」
「はい、かなり良いユニットを引いてくださいましたさすがご主人様です」
「そうかそうか俺様の引きで勝ったもんよ!!うははははは
うははははははははははははははh――――ッッッ!!!!」
その後、装武が引きゆみやがユニットを動かすというプレイングで
装武は勝利を収めたとさ
終幕




