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「優しい人にね、成りたいんだ。」
君は言う。
「頑張れる人にさ、成りたいな。」
僕は言う。
「強く、成りたいね。」
そう言って、君は僕を見る。
僕は、ただ頷く。
「人を、好きになれる人に、成りたいな。」
自分よりも、人を、大切に思える人になりたいんだ。
「キミなら成れるよ。」
君は微笑む。
「そうかな……。あのね、もし、自分よりも人を好きになるなら、ただ一人だけ……それだけでいいんだ。それでね、その一人が、それが、…………それは、君がいいな。」
今、頭の中で考えた、まとまらない言葉の羅列を、君に届ける。
君の顔は、長い髪に隠れて見えない。
「ねぇ、君のことを、誰より、何より、……僕より、好きに成っていいかな?」
僕は尋ねる。君の顔はまだ見えない。そして、君はそのままそっぽを向く。
風が、君の髪を揺らす。香る。君は空を仰いで、ひと呼吸。
「…………私ね。キミのことが、自分より、誰より何より、大好きんだ。……好きになってしまっているんだ。…………いいかな?」
そう、訪ね返してきた君の影に、踏み込む。
「……いいよ。」
僕は短く答えた。
少しだけ間を空けて、君が髪を揺らして振り向く。
「…………そっか。」
そう言って笑う、君のまつげが濡れていた。
僕はね。
努力が出来る人になりたいんだ。
とてものんびりとしているから。危機感というものをちゃんと持ち合わせていないから、ちゃんとそれを感じれるように成りたい。
努力ができるように成れたら、僕は君を守るため、強くなる努力をしたい。
強く君を守って、広く君を受け止めたい。
それができる人にさ、成りたいな。
読んでいただきありがとうございます。
しばらくは投稿しないつもりでしたが、久々に書きたくなったので、投稿させていただきました。
一気にバーっと書いちゃうので、誤字脱字がある可能性大です。
もし、誤字脱字などを見つけましたら、教えてくださると助かります。
それから、図々しいですが、ご感想などいただけると嬉しです。もちろん酷評などもお待ちしております。




