初日の出
「ほら、お姉ちゃん早く」
妹が、山の頂上にいち早く登り、後ろから登山をしている姉を急かした。
「もうちょっと」
姉の方はというと、倒れそうになっていながら、ピッケルにすがりながら、一歩一歩しっかりと登っていた。
「早くって、もうすぐ初日の出だよ」
すでに山頂で跳ねている妹が、姉のところまで下りて、背中を押した。
「ほらって」
そこは、平たくなっている山頂部分で、360度の大パノラマが楽しめるところになっていた。
雪は積もってないため、そのまま地面にも座れる。
また、ベンチが東西南北の外側を向いて座れるように置かれていた。
「ほら、日の出だよ」
時計を確認して、7時6分となった。
ゆっくりと、しかし見ている間にも日が上がってきた。
近くにいた人たちが、その日を写真に収めたり、拝んでいた。
「お姉ちゃん」
「なに?」
妹が姉の手を握りながら、昇ってくる太陽を見ながら言った。
「今年一年、またよろしくね」