4話
大変お待たせしました!
結局最後に村に着いたのは俺だった。
「春樹遅いぜ」
「ああ、すまない。麻衣は?」
「ああそれなら俺のお袋に連れて行かれた」
ジュンの母さんか。それなら大丈夫だろう。
「君がジュンと麻衣ちゃんが言う春樹君か」
声のした方を振り向くと逞しい腕を持った男性がいた。
「はい、師走 春樹です。春樹でいいですよ」
「そうなのかい? 私はジュンの父のアキラだ。よろしく頼むよ春樹」
「こちらこそよろしくお願いします。アキラさん」
握手を交わした時に手から魔力が流れてきた。――違うこれは魔力に麻痺系の魔法をのせたものだ。
そう認識した時には既に無力化させていた。
「ふむ、耐性があるのかね」
誰かが訪問するたびにやってるんですか、と聞くと笑って誤魔化した。
確信犯め、と思ったが口にはださないで心の中にしまっておく。
「春樹なら見せてもいいかもしれんな。……ちょっと着いてきてくれないか」
言われた通り、ついて行く事にした。
途中村の人とすれ違い、神聖な場所へと連れてこられた。
「これなんだが……」アキラさんが俺に書物を渡してきた。
読めってことなんだろうな。見開きを開くとそこには見慣れた文字が書かれていた。
「俺はその文字を解読できなかったんだがどうだい?」
「大したことは書いてないですよ。これ欲しいんですけどダメですよね……」ある文を見て俺は欲しくなった。
「ああ、いいよ。ここにあったって邪魔なだけだからな」
「ありがとうございます」
俺の胸がチクリと痛んだがそれを押し込んで、書物を空間魔法でしまう。
「さて、こっちの用事は終わったし家へ戻ろうか」と言ってジュンは来た道を戻る。
そして俺は"視線"を感じながら戻った。
戻るなか、俺は背後から気配を感じていた。
「――陰に在るものよ。その姿を顕し、彼の者を拘束したまえ」
ダメだ。呪文もイメージも間に合わない……っ! 無意識のうちに後ろに跳んだ。
「春樹、大人しく掴まってよ」その声を聞いて俺は驚く。
「お前なんでこんな所に居るんだよ?」
「なんでだとおもう?」
やはり彼女は微笑んだまま。――こいつを麻衣に合わせるわけにはいかない……っ!
「お前の目的は、俺ではないな」
「勿論よ。あなたみたいなお目付け役には興味はないわ。天変地異はどこにいるのかしら?」
「あいつの事をその名で呼ぶなっ! お前に何がわかるっていうんだ!?」
「貴方こそどうかしているのよ。あれを監視するために派遣されたんでしょ?」
たしかにそうだ。そうだけど
「俺は気づいたんだ。麻衣だって普通の女の子なんだ……だから俺はそれを邪魔する奴は誰だろうと許さない」
「そう、だから毎月の報告も改ざんしてたのね」
「まあな、やめてくれるとありがたいけどな」
「いずれはね……」その言葉を最後に彼女――篠原 綾瀬の姿は消えていた。
俺は消えた後に察知魔法を展開させ周囲に居るかどうかを確認して麻衣たちのところへ戻った。