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クシム外伝  作者: 勇氣
前日譚

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第0話青年クシム(中編)

いつも読んでくれてありがとうございます。

クシムはその場から動けなかった。血の匂いも、焼けた大地も、もう感じなかった。ただ、胸の奥が空洞になったように冷えていた。


クシム「……僕、一人だ」


クシムの居場所は村に戻れば悪魔と関わった呪いの子と呼ばれ、鬼神魔王軍に行けば裏切り者を生んだ元凶として始末されそうになった。数日後、クシムは人の集落へ辿り着いた。しかし人々は彼を見るなり、石を投げた。


村人「そいつが鬼神魔王軍と仲良くしていたガキだ!!」


クシムは村人達から石を投げつけられた。クシムは逃げた。逃げ続けた。この日から、クシムは“人の世”に居場所を失った。

クシム「……魔法なんて、嫌いだ。魔法があったから、アド姉さんは死んだ。でも……」


クシムは、血に濡れた右中指を見つめた。


クシム「それでも僕は、魔法を極めるッ!」


クシム「代償を誰かに払わせる魔法なんて、そんな世界は――僕が壊すッ!!!」


この誓いが、後に人々が語る“伝説”となる。


クシム青年期編


――傷だらけの魔法使い――


アド♀が死んでから、六年が経った。クシムは青年になっていた。背は伸び、声は低くなったが、

右中指だけは、今も時折ひりつくように疼いた。彼はまだ、指輪を捨てられずにいる。


彼は各地を渡り歩き、小さな魔獣退治や護衛を請け負っていた。ただ――誰かが死なずに済む選択を、自分が出来るか確かめたかった。ある夜、クシムは水辺で一人、膝を抱える。


クシム「……なあ、アド姉さん」


答えが返らないのは、分かっている。


クシム「俺、強くなってるのかな」


水面がわずかに揺れた。風かもしれない。幻聴かもしれない。それでもクシムはほんの一瞬笑った。


クシム「アド姉さん僕を愛してくれてありがとう。」


肩をくすめながらクシムはそう言った。暫くクシムが歩いていたら聖女アルトリアが現れた。聖女アルトリアは優しく微笑みかけてこう言った。


聖女アルトリア「何か困っているなら私が話し相手になって食べ物や寝る所を恵みましょうか?」


聖女アルトリアの優しい言葉にクシムは涙を流した。


聖女アルトリア「よしよしヾ(・ω・`)ここのの近くに女子修道院があるからそこで匿ってあげるわ。ところで貴方の名前は何と言うの?」


クシム「クシムと言います。」


こうしてクシムは聖女アルトリアに付いていき女子修道院に到着した。


聖女アルトリア「紹介するわ。こちらは聖女ケドゥーシャー。」


聖女ケドゥーシャー「よろしく!」


クシム「よろしくお願いいたします。」


聖女アルトリア「それから聖女ツァデケット。」


聖女ツァデケット「しくよろ。」


クシム「よろしくお願いします。」


聖女アルトリア「最後に聖女ハシーダーよ。」


聖女ハシーダー「チース。」


クシム「よろしくです。」


挨拶が済んだら聖女アルトリアはこう切り出す。


聖女アルトリア「クシム!身体を綺麗にした後寝る所がないから、私と一緒に寝る?」


クシム「は↓い↑(衝撃)」


クシムはびっくりして声が上ずった。聖女ツァデケット達が静止させる。


ツァデケット「仮にも聖女ともあろう女性が男と一緒に寝るなんて不味いって!何かされるかもよ。」


ツァデケットの発言は正論だ。しかし、男ならこの提案を受け入れない手はない。


クシム「僕もアルトリアさんと寝れるなら別に構いませんよ。手は出しません。もし、手を出したらこの両手を斬ってもいいです。」


聖女アルトリア「こう言ってるし大丈夫よ!」


ツァデケット達は茫然自失した。そして聖女アルトリアと同じベッドで寝る事になった。聖女アルトリアの甘くて優しい香りがクシムの渇いた心に染み込んだ。


クシム「俺は愛されてもいいのか?」


クシムが心の中で考える。答えは出ない。それでもいいと思えるほどクシムは数年ぶりに良く寝た。


聖女アルトリア「クシム、朝よ!」


聖女アルトリアの元気な声で目が覚める。クシムがしてきた生活からしてみたら天国の様な暮らしだ。聖女ツァデケットがクシムの顔を見て顔を赤らめる。そしてこう言う。


聖女ツァデケット「クシムって結構カッコイイね。」


クシム「ファッ!? (゜Д゜;)」


クシムは生まれて初めてカッコイイと言われたので思考がフリーズした。クシムの変な声に聖女アルトリアはクスッと笑った。


聖女アルトリア「私達は早朝の祈りをしに行くから待っててね。」


聖女ケドゥーシャー「ウチのベッドで変な事したら殺すからな!」


聖女アルトリア「こらこらケドゥーシャー聖女が殺すなんて言っては行けませんよ!」


聖女ツァデケット「静かにしていなさい。頼むから私達に迷惑を掛けないでね。」


クシム「人をそんな風に言わないで下さい。」


聖女ハシーダー「男は一人になるとナニをするか分かったもんじゃない!暇なら神に祈っていなさい!」


クシム「ナニもしませんよッ!」


慌ただしい朝が過ぎていった。


クシム「確かに修道院は暇だな。祈る事と筋トレをする事位しかやる事ない。」


クシムは暇過ぎて空を眺めていた。


聖女アルトリア達が戻ってきた。


聖女アルトリア「おっ。ちゃんと祈っているようね!関心関心!」


クシムはこの幸せな日々が永遠に続くと思っていた。

裏設定 Lv59青年クシム

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