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「へへ、誕生日の時も祝ってもらったのにこんなプレゼントまで。私はキミに貰ってばかりだな」
「……気にするな。むしろちゃんとしたプレゼントを用意出来なかったのが申し訳ないくらいだ」
「んーん、私これがいい。すっごい嬉しい」
そう言って棗はぬいぐるみに頬擦りをする。その時、棗のスマホから通知音が鳴った。
「クラスLINEだ。そろそろ帰るってよ。……でも、最後にキミと二人でやりたいゲームがあるから、ついてきて」
「……わかった」
悠真は小さく頷き、棗の隣に立つ。横顔を見つめながら、尋ねた。
「……どんなゲームをやりたいんだ?」
「プリクラ。今日の記念を残しておきたくってさ」
……写真を残すことは、良くない。任務を達成したら"朝倉悠真"は消えるのだから、自分がいた痕跡は完璧に消さなければならない。
だが、今の悠真に断る余地など無かった。
「……ああ、行こう」
「ほらほら!ちゃんとカメラ見て。ポーズとるぞ」
棗は悠真と肩を組み、満面の笑顔を浮かべる。
それとは真逆に悠真は棗に肩を組まれて、身体が硬直した。棗の温もりが、悠真の肩から伝わってくる。その温もりが、悠真の心を激しく揺さぶった。
「朝倉クン!さっきみたいに笑ってみなって!」
「……う。そう言われても、よく分からない」
悠真は何とか少しだけ口角を上げ、カメラを見つめた。
カシャッ!
シャッターが切られ、フラッシュが光る。
その瞬間、悠真と棗の姿が記録された。二人の、今日という日の記念が。
「……これで、良かったのか?」
「ふふっ、ぎこちないけど合格点かな!」
棗は言いながらも画面に何か書き始める。
「ついでだし何か書いとくか。落書き出来るんだぞ、これ」
棗は少し迷った末に、『一生親友』と書いた。
「……っ」
悠真は棗が書いた文字を見て、少しだけ息を呑んだ。
『親友』──その言葉が、悠真の心を激しく揺さぶる。嬉しさと恥ずかしさと、そしてほんの少しの切なさを感じた。
「ほら、朝倉クンも」
棗にペンを手渡され、悠真は少しだけ躊躇いながらも、ペンを取った。
そして、棗の書いた文字の隣に、小さく文字を書き加えた。『ずっと一緒に』──その言葉が、悠真の素直な気持ちだった。
「……水鏡、ありがとう。俺を親友だと呼んでくれて」
悠真の言葉に棗は照れたように笑う。
「……ばーか。いちいち口にするなよ。恥ずかしいだろー?」
そして、ぬいぐるみを抱きしめながら、こう付け足した。
「キミは私にとってかけがえのない存在だよ、悠真クン」




