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最後の標的  作者: 有氏ゆず
第五話 宝物
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5-5




悠真は小さく息を吐き、取り出し口からサカバンバスピスのぬいぐるみを取り出し、棗に向かって差し出した。


「……取れた。これで、いいか?」


その言葉には、少しだけ誇らしさが滲んでいた。




「……っ!すっげええええ!!ほんとに!ほんとに取っちゃったよ!!」


棗はぬいぐるみを受け取り、興奮しながら悠真の背中をバシバシ叩く。


「痛い、痛いぞ水鏡」

「あっ、ごめん……!つい、興奮しちゃって」


そして、ぬいぐるみをぎゅっと抱き締めて、表情を緩めた。


「へへっ……これ、私の一生の宝物にする……」


それは今までかっこよかった棗の見せた、初めての可愛い姿だった。




「……一生の宝物、か」


悠真は小さく呟き、棗の横顔を見つめた。棗のその表情──今まで見たことのない、可愛らしい表情。悠真の胸の中で、何かが激しく揺れ動く。


(……棗、お前の一生は……もう、長くないんだ)


それと同時に、任務の期限がもう三週間を切っていることに気づく。つまり、棗の一生も……後三週間で終わりだということだ。




「……お前、そんな顔もできるんだな」


それを誤魔化したくて、悠真はそう口にする。


「……!てか、ああ、あう。その、今の顔は、その……!えっと、忘れろ!」


棗は顔を赤くして、目を泳がせる。こんな姿を他人に見せるのは初めてだった。


「……照れてるのか?」

「そ、そういうこと口にしない!」

「ふ、まあいい。気に入ってくれたなら、良かった」


悠真は小さく微笑む。それは、彼の見せた初めての笑みだったかもしれない。




「……ああ、すっごく気に入った」


そう言って、悠真の顔を見つめる。

棗が気に入ったのはぬいぐるみか、それとも……?




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