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悠真は棗の悔しそうな声を聞いて、クレーンゲームの機械を見つめた。透明なケースの中には、色とりどりのぬいぐるみが並んでいる。
「……クレーンゲーム、か。何が欲しいんだ」
悠真は棗が何を欲しがっているのか知りたかった。そして、できれば棗の代わりに取ってあげたいと、そう思っていた。
「……俺が、やってみてもいいか?お前が欲しいものを取ってやりたい」
その言葉には、悠真の素直な気持ちが込められていた。悠真は棗の喜ぶ顔が見たい、ただその一心だった。
「……じゃあ、あれ。あのサカバンバスピスの、でっかいやつ」
少し黙った後、棗は要望を口にした。
あんな大きいもの、絶対取れないだろう……と思っていたし、別に期待はしていなかった。
ただ、悠真の気持ちが嬉しかっただけで、少し甘えてやろうという気になったのだ。
悠真は棗の視線を追って、クレーンゲームのケースの中を見つめた。そこには、独特な見た目のぬいぐるみが置かれていた。
古代生物を模したそのぬいぐるみは、確かに大きい。通常のクレーンでは取りにくい位置に置かれている。
「……わかった」
悠真は小さく頷き、クレーンゲームの前に立った。
「あれを取ればいいんだな」
悠真はポケットから小銭を取り出し、機械に投入した。クレーンゲームのコントローラーを握りながら、悠真は慎重にクレーンの位置を調整していく。
クレーンをぬいぐるみの真上に移動させ、ボタンを押した。クレーンがゆっくりと下降し、ぬいぐるみを掴む。
「……ああーっ、ダメか……!」
しかし一度目は失敗し。クレーンがぬいぐるみを掴みきれず、すぐに離してしまった。
棗が落胆の声を上げる。
「……もう一度、やる」
悠真は再び小銭を投入し、今度はさらに慎重にクレーンの位置を調整した。
二度目の挑戦。クレーンが下降し、ぬいぐるみの首元を掴んだ。クレーンがゆっくりと上昇し、ぬいぐるみを持ち上げる。
悠真はつい、息を止めながらクレーンの動きを見つめる。
「……あっ!取れそうだよ!朝倉クン!」
クレーンがぬいぐるみを取り出し口まで運ぶ。
ガタン!
……そして、ぬいぐるみが落下した。




