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最後の標的  作者: 有氏ゆず
第五話 宝物
34/39

5-3




「……っしゃああああ!!」


何度か投げた後、棗はようやくストライクを出した。最後の最後でなので殆ど得点にはならないが。


「見た!?見たか!?ストライクだぞ朝倉クン!」

「そうだな。スコアは悲惨なことになってるが」


まさかあれだけ器用な棗のポンコツな一面が見れるとは。悠真の口元が緩む。


「ふふふ!どうだ、私のこと見直したか?」


悠真はその棗の何倍もの数のストライクを達成している訳だが、そこは突っ込まない。たった一回のストライクでここまで嬉しそうにしている棗の姿が、嬉しかったからだ。


「良かったな。偉いぞ、水鏡」

「むっ!今なんかちょっとバカにしただろ?」

「そんなことない。水鏡は偉い」

「ん、んん……そっかあ?なら、そういうことにしとくか!」


棗はいつものように歯を見せて笑う。






……2時間投げ放題が終わった後、延長したい者はボウリング場に残り、それ以外のメンバーは1階のゲームコーナーで各自分かれて遊ぶことにした。


悠真はゲームコーナーの中を歩きながら、周囲を見回す。クラスメイトたちは各自、好きなゲームに興じている。

クレーンゲーム、音楽ゲーム、レースゲーム……組織では見たことのない光景だった。


(……水鏡は、どこに行ったんだ)


悠真は少しだけ戸惑いながらも、棗の姿を探していた。




悠真はゲームコーナーの奥に進み、ようやく棗の姿を見つける。


「だー!クソ!また取れなかった!!」


棗は何かのゲームの前に立っている。悠真は棗の隣に歩み寄り、小さく尋ねた。


「……水鏡、何をしているんだ?」


その質問には、少しだけ好奇心が滲んでいた。悠真は棗が何をしているのか知りたかったし、できれば棗と一緒にゲームを楽しみたかった。


「あ、朝倉クン!これ?クレーンゲームさ。欲しいぬいぐるみがあってな。よし、もう一回!」


棗はクレーンゲームに挑戦しているようだ。しかしアームはぬいぐるみを軽く撫でただけで、すぐ離してしまう。


「あーっ!もう!これ絶対アーム緩いよなあ!?」




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