5-3
「……っしゃああああ!!」
何度か投げた後、棗はようやくストライクを出した。最後の最後でなので殆ど得点にはならないが。
「見た!?見たか!?ストライクだぞ朝倉クン!」
「そうだな。スコアは悲惨なことになってるが」
まさかあれだけ器用な棗のポンコツな一面が見れるとは。悠真の口元が緩む。
「ふふふ!どうだ、私のこと見直したか?」
悠真はその棗の何倍もの数のストライクを達成している訳だが、そこは突っ込まない。たった一回のストライクでここまで嬉しそうにしている棗の姿が、嬉しかったからだ。
「良かったな。偉いぞ、水鏡」
「むっ!今なんかちょっとバカにしただろ?」
「そんなことない。水鏡は偉い」
「ん、んん……そっかあ?なら、そういうことにしとくか!」
棗はいつものように歯を見せて笑う。
……2時間投げ放題が終わった後、延長したい者はボウリング場に残り、それ以外のメンバーは1階のゲームコーナーで各自分かれて遊ぶことにした。
悠真はゲームコーナーの中を歩きながら、周囲を見回す。クラスメイトたちは各自、好きなゲームに興じている。
クレーンゲーム、音楽ゲーム、レースゲーム……組織では見たことのない光景だった。
(……水鏡は、どこに行ったんだ)
悠真は少しだけ戸惑いながらも、棗の姿を探していた。
悠真はゲームコーナーの奥に進み、ようやく棗の姿を見つける。
「だー!クソ!また取れなかった!!」
棗は何かのゲームの前に立っている。悠真は棗の隣に歩み寄り、小さく尋ねた。
「……水鏡、何をしているんだ?」
その質問には、少しだけ好奇心が滲んでいた。悠真は棗が何をしているのか知りたかったし、できれば棗と一緒にゲームを楽しみたかった。
「あ、朝倉クン!これ?クレーンゲームさ。欲しいぬいぐるみがあってな。よし、もう一回!」
棗はクレーンゲームに挑戦しているようだ。しかしアームはぬいぐるみを軽く撫でただけで、すぐ離してしまう。
「あーっ!もう!これ絶対アーム緩いよなあ!?」




