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9月6日(月)
「やば、寝落ちしてた」
棗はメッセージが光っていることに気づき、内容を確認する。
「……ふふ、ポカポカって。やっぱりこの子面白い子だな」
小さく笑いながらそう呟き、学校へ行くための支度を始める。
一方、悠真は朝早く目を覚まし、棗からの返信を確認したが返信はない。悠真は少しだけ不安になったが、すぐに気持ちを切り替えた。
今日は月曜日。棗に会える。その事実が、悠真の心を満たしていく。悠真は急いで身支度を整え、玄関に向かった。
悠真はアパートの階段を降り、下で棗を待っていた。携帯電話を握りしめる。昨日送ったメッセージのことを思い出し、悠真は少しだけ顔を赤らめた。
(あんなことを送ってしまって、水鏡はどう思っただろうか)
悠真はアパートの下から棗の部屋の方を見つめた。もうすぐ、棗が出てくるはずだ。彼の胸の中で、期待と不安が入り混じっていた。
「おはよう、転校生クン!」
棗は悠真の姿を見つけると、笑顔で駆け寄った。
悠真は棗の姿を見つけた瞬間、胸の中で温かい感覚が一気に広がった。昨日一日会えなかった寂しさが、一瞬で消えていく。悠真は棗の方に歩み寄り、小さく頷いた。
「……おはよう、水鏡」
「いや、昨日はマジでごめんな。ガッツリ寝落ちしてた。枕にヨダレベッタリだわ」
棗は返信が出来なかったことを少し申し訳なさそうにしながらも、いつものような笑みでケラケラと笑う。
「……そうか。寝落ち、か」
悠真は棗の言葉を聞いて、少しだけ安心した。棗は自分のメッセージを見て困ったわけではなかったんだと、悠真の胸の中で不安が消えていく。
「……昨日は、何をしていたんだ?」
その質問には、少しだけ好奇心が滲んでいた。棗がいない一日、何をして過ごしていたのだろうか。悠真は棗の隣を歩きながら、棗の反応を待つ。
「……んー、まあ、色々?てかそんなに私のこと知りたいのか?転校生クンは」
「……ああ、知りたい」
悠真は素直にそう答える。棗の好きなもの、嫌いなもの、普段何をしているのか。そのすべてを知りたかった。
「お前のこと、もっと知りたい。お前といると、俺は……心がポカポカする。だから、お前のことを知りたいんだ」
「あっはは!相変わらずキミ、面白いなあ!」
悠真の返答に、棗は笑う。決して彼のことをバカにした笑いではない。純粋に悠真を面白いと思って笑っているのだ。
「……面白い、か」
悠真は棗の笑い声を聞いて、少しだけ戸惑った。彼にとってそれは言われ慣れていない言葉だったからだ。
「俺は、お前を笑わせたいわけじゃない。ただ、素直に気持ちを伝えただけだ」
「あー……ごめん。怒ったか?」
「いや、お前が笑うのは……悪くない」
「ふふ、やっぱりキミ、面白いよ」
棗の笑った顔を見て、悠真も表情を緩める。そしていつものようにバスに乗り込んで、学校へと向かうのであった……。




