3-7
……時刻は20時。フリータイムとはいえ、調子に乗って歌いすぎてしまった。
クラスメイトと別れ、二人はバスに乗り、夢見アパートへ向かっていた。
窓の外は暗く、街灯だけが道を照らしている。
悠真は棗の隣に座りながら、今日一日を思い返す。
カラオケでの歓迎会、クラスメイトとの笑い声、棗の歌声。その全てが、悠真にとってかけがえのない時間だった。
「……今日は、楽しかった」
「そっか。それなら良かった。次は転校生クンも曲覚えて一緒に歌おうな」
……バスが夢見アパートの最寄りのバス停に到着し、二人は降りた。アパートまでの道を、歩く。悠真は無意識に、棗と距離を詰める。
そしてアパートに到着する。
棗の部屋は2階、悠真の部屋は3階。別れる時間が近づいている。悠真は棗の方を見つめ、小さく呟いた。
「……水鏡、また明日な」
その言葉には、いつもより少しだけ寂しさが滲んでいた。棗との時間が終わることを、心から惜しんでいる。
「おいおい、明日は日曜日だぞ。だからまた明後日、だな!」
悠真は棗のその言葉を聞いて、一瞬動きを止めた。つまり、棗と会えない日。悠真の胸の中で、急に寂しさが広がっていく。
「そうか、日曜日か」
悠真は棗の方を見つめ、小さく頷いた。
「……じゃあ、また明後日」
悠真はそう言いながら、棗から離れることができなかった。無意識に、棗の隣に立ち続けている。
「帰ったら、MINEするよ」
悠真の心情を知ってか知らずか、棗がそう告げる。その言葉を聞いて、悠真の胸が熱くなった。
「……わかった。またな、水鏡」
その言葉には、いつもより少しだけ温かさが滲んでいた。
「ああ、また後で!」
また後で……その言葉がどれだけ嬉しかったか。悠真は頷き、棗が部屋に戻ったのを見届けた後、3階の自分の部屋へと向かった……。
第四話へ続く……




