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最後の標的  作者: 有氏ゆず
第三話 ともだち
16/39

3-1




次の日、9月3日(金)。


悠真のスマートフォンに棗からのMINEメッセージが届く。


『起きたか?眠れたか?』


『下で待ってる。一緒に学校行こう』




悠真はスマートフォンの通知音で目を覚ました。ベッドの上で身体を起こし、画面を確認する。


昨夜は珍しくよく眠れた。棗のメッセージを読み返してから眠りについたからかもしれない。


悠真は素早く着替え、制服を整えた。鏡の前で髪を軽く整えながら、自分の顔を見つめる。いつもと変わらない無表情──しかし悠真は、自分の目が少しだけ柔らかくなっているのに気づいた。


そして、棗への返信を打ち込む。


『起きた。よく眠れた』


『わかった。もう出るから』


送信ボタンを押してから、悠真は窓の外を見つめた。朝日が街を照らし、新しい一日が始まろうとしている。


悠真は鞄を持ち、301号室を出た。




「……よっ、おはよ」


先に下で待っていた棗が片手を上げ、微笑みかけてくる。


「悪い。待たせた」

「全然。時間的には余裕だからな」


そう言いながら二人は横並びでバス停まで歩き始める。歩きながら苺を口に放り込む棗を見て、悠真は怪訝そうな目で見つめた。


「何で歩きながら食うんだ」

「あー、これ朝食のデザート。キミも食うか?」


言いながら棗は悠真の前に苺を差し出してくる。


(……これは、どうするべきなんだ)


一旦手で受け取るべきか、それともそのまま棗の指から口に咥えるか……どうするのが正解なのか悠真には分からなかった。




「ほら、美味いぞ」


悠真が戸惑っていたのを察してか、棗がそのまま悠真の口に苺を放り込む。


「んっ……」


口に放り込まれる瞬間、一瞬だけ舌に棗の指が当たったような気がする。


(水鏡の、味)


……そう思ってから、自分でも気持ち悪いことを考えてしまったと、自己嫌悪する悠真。

そんな心境には当然気づかず、棗は笑って問い掛けてくる。


「美味いだろ?私の大好物なんだ」


しかし何も答えない悠真に、もしや苺が苦手なのではと棗は考え始める。


「あー……苺、嫌いだったのか?」

「いや、美味、かった」


棗を誤解させたくなくて、急いで返答する。変な喋り方になったかもしれないと悠真は後悔したが、棗は気にせず嬉しそうに笑った。




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