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最後の標的  作者: 有氏ゆず
第二話 繋がり
14/39

2-6




悠真は棗の言葉に頷き、自分も鞄を持って立ち上がる。


校門を出てバス停へ向かう道を歩きながら、悠真は横目で棗を観察していた。

夕日に照らされた棗の横顔が、妙に綺麗に見える。悠真の胸の中で、温かい感覚が広がっていく。


……この感覚は何だろう。組織では教えられなかった、名前のつけられない感情。




「……水鏡」


悠真は棗に視線を向けながら、小さく呟く。


「お前といると、俺も普通になれる気がする」

「……ふっ。やっぱりキミって面白いな」


悠真の言葉に、棗は笑いながらバスに乗り込む。


「普通になろうとしなくていいんだよ。私だって普通じゃないんだから。だから、キミ自身がそのままのキミを愛してやりな」


悠真は棗を追って慌ててバスに乗り込む。


「ほら、今日はキミが窓際に座ればいい」


棗に促され、悠真は窓際の席に座った。そして窓の外を流れる景色を見つめながら、呟く。




「……そのままの俺を、愛する……か」


その言葉を反芻しながら、悠真は棗を横目で見た。


5人の命を奪った自分が、そのままの自分を愛していいのだろうか。

組織に育てられ、感情を持つことを許されなかった自分が、人間として生きていいのだろうか。


「……水鏡、お前は」


悠真は棗に視線を向けながら、ぎこちない口調で続ける。


「お前は、俺を受け入れてくれるのか?そのままの、俺を……」


このままの自分を、棗は受け入れてくれるのだろうか。期待を込めた、問い掛けだった。







「はあ?」




一瞬無言になった後、棗は何を言ってるんだ、とでも言いたげに声をあげる。


その声に、悠真はビクリと肩を震わせた。


(……やはり、俺が普通を望むなど、烏滸がましいことだったのか)




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