合成
アリアの居ない日が続き、独りだった僕は、昼は護身術の特訓を夜は竜力の特訓をしていた。
おかげで暇を持て余す事は無くなったのだが...。
「疲れたぁぁっ.....」
風呂から上がった僕はベッドに勢いよく転がった。
「カルマ様、明日は学校がお休みの為、アリア様が戻られるとの事です」
「え、ほんと?!やったっ!」
アリアと会うのは4日ぶりだ。
学校は前に行った中央区にあり、近くに寮がある為、普段は屋敷に戻らない。
リナが言うには学校では4日の授業と2日の休みを繰り返すそうだ。
そして、大半の令嬢は2日の休みの間に自宅へと戻るらしい。
「じゃあ、2日間も遊べるんだ!久しぶりだから何して遊ぼうかなっ」
屋敷で遊ぼうかなっ、街に出かけようかなっ。
今から楽しみで眠れないよっ!
「では、お休みなさいませ」
「うんっ、お休み〜。んふふ〜」
『カルマ、テンションが高いところ悪いが、今日は合成についての特訓をするぞ』
どうやら僕は、疲れと楽しみでテンションがおかしいようだ。
そんな中、今日のシキと特訓をする時間がやって来た。
後から聞いた事だけど、あちらの世界に行っている間の体は睡眠と同じ状態になるらしい。
普通に寝ようとしても、アリアの事を考えて寝付けないと思うから、ほんと都合がいい。
「で、合成って何?」
『合成はそのままの意味で、技と技との合成だ。少し見ていろ』
そう言って、シキは尻尾の先を口に近付けた。
口を開き、水の玉を出し、尻尾の先からは雷の玉を出した。
その2つの玉を混ぜ合わせるようにして解き放った。
『合成"水雷乃大砲"』
夢の世界なので、永遠と続く靄の中を進み、見えなくなってしまったが、とてつもない威力だと言うのは分かる。
『初めに儂とお前の間にパイプをイメージしろと言ったのを覚えているか?』
「う、うん」
『実際、儂ら繋ぐパイプは存在する。だが、初めはそれが細い。力を使っていくに連れて太くなっていくが...』
「じゃあ、僕たちのパイプは結構太くなってるんじゃない?だって毎日ここで特訓してるんだし」
『いや、ここで竜力を使っても太くはならない。現実世界と違ってここではパイプを経由しないからな』
つまり、ここでの特訓は感覚を掴んだり、技の研究をしたりすることは出来ても、竜力を強化したりは出来ないのだと言う。
「な、なるほど...」
『そこで、今から教える合成だ。竜力は異なる色同士を混ぜた時、何倍にも威力が上がる。パイプが細くとも、強敵と戦えるという事だ』
「強敵って....」
でも、敵に襲われないという保証はない。
もう二度と大切な人を失わない為にも...。
『ま、と言っても独りで合成する分には苦ではない。これを複数人でする場合は波長を全く同じにしなければいけないがな。だから、今までと同じように竜技を頭と体に叩き込むだけだ』
「わ、わかった」
『じゃ、最低限使えるように仕上げるぞ』
「はいっ!!」
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