解剖記録44番目 出口
カスミ「…匂いが…すごいな……」
生臭い匂いがあたりに漂っていた。
カスミ「そういえば…」
雨水を入れるタンクをどこかから調達しないとな…
カスミ「……一斗缶でもいいや…」
廃油を捨てて、雨水を貯める貯水槽にした。
カスミ「…あとは……」
すると安藤さんが珍しく玄関から入ってきた。
安藤「……お疲れかな…?」
カスミ「いや、全然」
安藤「そりゃよかった…最近ゾンビ減ってるよね…」
カスミ「だね……」
安藤「それでだけど…このラジオ、聞いてほしいんだ」
カスミ「なんだー?」
すると、音声は想像を絶するものだった。
ラジオ「○○市から発生した謎のウイルスは××市にまで蔓延し、このままでは世界中に蔓延してしまいます。それでsmoke industryはこういう声明を発表しました」
すると、聞きなれた声が聞こえてきた。
ラジオ「我々はこの感染症に対するワクチンを今研究して作っています、このウイルスの出どころは○○市のとある民家からだと、私たちは聞いています」
カスミ「…とある民家…」
すると、私の家の住所が淡々と晒された。
カスミ「……嘘……でしょ…?」
安藤「…これを聞いている人はあんたが元凶だと騒ぎ立てている、だがこっちは裏を取った、本当の感染源は水道局だ」
カスミ「……水道……煮沸したらウイルスはあまりなくなるのよね…」
安藤「そうだ……その情報をラジオに乗せたら?」
カスミ「…そうした方がいいよね…」
安藤「近くに電波塔がある、もしまともな人がいたら、聞いてくれるだろう…だが…その塔は外壁の近くにあるんだ…見つかる可能性があるんだ…」
カスミ「でも、行動しなきゃ…死ぬ命があるかもよ…」
安藤「……そうだな…行こう…伏黒、この子、連れて行くよ」
伏黒「ああ……どこから来たんだ?」
そして私は電波塔にヘリで向かった。
安藤「……あの声、知ってるか?」
カスミ「……聞いたことがある声でした…」
安藤「あれ、お前のお父さんの声だ」
カスミ「…お父さん…」
安藤「……おっと、危ない」
ヘリは電波塔ギリギリで停止した。
安藤「すまないね…視力が悪くて」
カスミ「…いいんです」
安藤「…おい、変われ」
隊員「はい!」
安藤「降りるぞ」
外壁近くだが…まったく警備がいない、それどころかガラスが割れているかのように見えた。
カスミ「…割れてる…」
安藤「…たしかにな…どうしてなんだ?」
外には警備員がいない…ということは…
カスミ「…でもいいや…」
私は電波に声を乗せた。
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