解剖記録26番目 婀娜
伏黒「…電話だ…おやっさんか」
カスミ「…ふぅ、男子め…」
伏黒「そうですか…はい、わかりました、彼女にも伝えておきます……嬢ちゃん、命狙ったやつの組織名が分かった」
カスミ「…すぐわかるんだ…」
伏黒「情報屋がいるからな…しぶといな…速水は…」
カスミ「…それで…その組織の名前は…」
伏黒「婀娜教だ」
カスミ「…知らないね…そういうところは…」
伏黒「まぁ、カタギは知らない情報だ、無理もない」
上谷「…やっぱりあの修道院、気になりますね…」
伏黒「そうか…まぁ…気になるもの仕方ない、けれど今は休め」
カスミ「……銃をバリバリ持ってましたが…」
伏黒「ああ、多分近くの軍事施設から盗み出したんだろう」
カスミ「…怖いですね…」
安藤「うっす…」
健次郎「安藤さんだ!」
安藤「これを届けに来た…どうしたんだ、その傷」
伏黒「ああ、これは婀娜教にやられたんですよ」
安藤「…婀娜…そうか…そりゃ災難だったな…」
カスミ「そうですよね…」
安藤「…本当に怖いのはゾンビでもなく…人間なのかもな…」
伏黒「ああ、人間は腐ってるやつもいるからな…」
安藤「極道が語ってどうするんだよ…」
伏黒「…こう見えて筋は通ってるんだがな…」
安藤「まぁ…私はその極道とつるみあう気はないから」
伏黒「なんで俺とはつるむんだ?」
安藤「カスミちゃんのそばにいるから」
伏黒さんは大きなため息をついて、このことを話した。
伏黒「…この子はなぁ…昔幼いころに亡くした妹に似てるんだよ…だから…」
安藤「お兄ちゃんってわけね…いいお兄ちゃんだな…」
伏黒「あんたは妹の立場だったのか?」
安藤「まぁ…そうだ、いつも兄に守られていた、兄は製薬会社に勤めていたんだ、けれど、変な死に方をしたんだ、まるで…誰かに恨みを持たれて殺された感が…」
伏黒「…そうか…あんたもつらい過去があったんだな…」
カスミ「その製薬会社は?」
安藤「smoke industryだね…」
カスミ「…なにか知ってる…気がする…」
そういえば…病院でそのロゴを見た覚え…それに…親が…
カスミ「…思い出した…私の親が務めている会社だ…たしか…お父さんが…社長…お母さんが…秘書…」
安藤「…そうか…そういうことだったら…お前に話すのはやめだ」
カスミ「どうしてなんです?」
安藤「…お前には話が重すぎる…」
カスミ「でも…お父さんとお母さんの過去が知りたいんです」
安藤「…………無理だ、その話を聞くと…お前は気を狂ってしまう」
カスミ「いいんです、私の精神なんか…」
安藤「…本当か?」
カスミ「はい…」
私の中で何かが決心した。
安藤「…まず…この事件の首謀者は…あなたの…会社なのよ」
カスミ「……だから…」
安藤「それで、外側に鳥かごあるわよね」
カスミ「あるんですか?」
安藤「ああ、ある、それは政府と会社が組んで、作ったやつなんだ、どういう意味か知らないけど…」
カスミ「…そのせいで…みんなが…」
安藤「…だから私たちはあなたの両親を殺して、この事件に終止符を打ちたいんだ」
カスミ「……わかった、私が両親にとどめを刺したい、それで、私の物語を終えたいんだ…」
安藤「…………お前の決意はわかった、でもこっから出る手段が分からないんだ」
カスミ「そうですか…」
安藤「だから…それまで生きてて…」
安藤さんはヘリに乗って帰った。
伏黒「…親が…この事件の首謀者か…」
カスミ「ああ、もう…寄り添う人は…いや元から一人だったか」
伏黒「何言ってんだ、俺らがいるだろ」
健次郎「そうだそうだ」
カスミ「……一度顔を見させてほしいものだ…」
この世は人の命を金に換えて計算する大人がいるらしい、それは私の親も同様だ。人の命をもてあそんで、わたしが…許さない。
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