第六話 対能力者隊
「よし,我ながら上出来」
腕組をし,桃花はカレーがいっぱいに入った鍋を見つめる。帰宅したのち約束通り俺は桃花と昼ご飯を作ったが,
「ほぼ俺一人で作ったじゃねえか・・・」
桃花は恐ろしく料理ができなかったのだ。切り方はおろか可食部の判別もできなかった。危うくジャガイモの芽入り毒カレーを食べるところだった。結局桃花に任せたことは具材を入れることと味見となったが,具材はいったん台所にぶちまけ,味見は超薄めの味で笑顔でOKを出すまさにキッチンに立たせてはいけない生物ナンバーワンに輝く成績だった。
「ま,まあ今日は壊れた道具が出なかったし,ボヤ騒ぎにもならなかったからよかったってことでね。」
冷や汗をかきながら桃花は俺を説得する。
リビングのテーブルでカレーを食べ終え俺は学校での話の続きを桃花にする。
「で,なんで秋月を捕まえないんだ」
桃花に学校と同じ時のように質問する。
「まあ,正式にはしないというより出来ないって言ったほうがいいわね。秋月をとらえて尋問したとして仮に本当のことをいったとしても超能力なんて非現実的なものは証拠にもならないから逮捕もできない。そして逮捕しろって誰かに頼んだところで得体のしれない攻撃をしてくるんだから怖くて誰も逮捕できないって感じかな」
桃花は少し曇った声で言った。
「じゃあ,何もできないのか」
「そういうわけでもない。安全を守るために警察と自衛隊は手を組んで『対能力者隊』を立ち上げた。でも」
桃花は制服のスカートのポケットからスマホを取り出し画面を見せてきた。画面は『対能力者隊』の検索結果だった。だが,
「対能力者隊の検索結果は0件。していることも存在自体も極秘になっている。このことをつなぎ合わせれば勘のいい川村君なら対能力者本部が何をしているかわかるよね」
逮捕のできない能力者にする極秘の対応となれば
「暗殺?」
これ以外答えはないだろう。
「正解。国内の安全を優先するにはそれしか方法が考えつかなかったみたい。そして,私も対能力隊で実際に能力者の暗殺に加わった。暗殺のためにあまり目立たない女子学生を探してたらしくて本部からスカウトされたの。断り切れず『わかりました』って引き受けたらまだ中学生だった私に拳銃を私てきてその時にこの仕事はおかしいと気づいたけどもう逃げられなかった」
桃花は深くうつむきその時の表情は見えなかった。部屋に漂うカレーの甘い匂いが鼻についた。
「そこで川村君には頼みがあるの。もちろん暗殺じゃない」
桃花は顔あげ言った。
「能力者たちを助けほしい」
俺の目をまっすぐに見つめる桃花の目は裏切る勇気に満ち溢れていた。
こんにちは!春桜 結分です!
二週間ぶりの投稿です。やはり投稿感覚を圧倒的に多く開けた前よりも書きやすかったし,展開が思いつかないことも少なかったです。今回は序盤は一人称の良さをふんだんに盛り付け,後半は表現に多めにしました。書いているときにとても楽しかったです!
それでは最後まで見ていただきありがとうございました!