第五話 秋月 灯
避難場所である学校の体育館には避難してきた人であふれかえっていた。何とか座れるところを確保することができた。
「そのうち,もっと人が来ると思うから今のうちにトイレに行っておいたほうがいいかも」
桃花の提案に俺は「そうだな」といい,カバンをその場において桃花と人が少ないであろう学校の外のトイレに向かった。
用を済ませ,トイレから出て桃花を待つ。すると学校の敷地内から出ていこうとしている一人の少女を見つけた。黒いロングヘアーで桃花と同じ学校のセーラー服を着ている。反射的に俺は「ちょっと」と彼女を呼び止める。彼女は一度止まってこちらを見て,「何ですか」と笑顔で言った。
「まだ,外は危ないから学校の外に出ないほうがいいんじゃない・・・かなと思って・・・」
俺は緊張しながらも彼女を学校に戻るように言った。
「大丈夫ですよ,家に忘れ物を取りに行くだけですし,すぐに帰ってきます」
彼女はそのままの笑顔で答えた。
俺は「でも・・・」とまた引き留めようとしたとき,
「川村君」
その冷え切った声に俺は急いで振り返る。そこには桃花がいた。
桃花のその視線は異様に冷たかった。
「ど,どうした桃花?あ,今彼女が学校の外に出ようとして危ないな~手引き留めてたところなんだけど」
「早く戻ろ」
桃花の冷え切った声に負け,「はいっ」と語尾が上がった返事をし,桃花といっしょに体育館へと向かった。
体育館に戻ると人が十人ほど集まっているところがあった。どうやらステージ上にあるテレビを見ているらしい。テレビには爆発が起こった時のビルの防犯カメラの映像を流している。
ビルが強い光を放ち,大爆発を起こす。爆発の影響で映像にノイズがかかった。暗くなった映像の中に俺はあるものを確認した。
「あの女の子・・・!」
爆発したビルとその隣のビルの間からセーラー服姿のロングヘアーの女の子が当たり前のように出てきて映像の画面外へといった。右下に三秒ほど小さく出てきただけだったが,人がおらず動きの少ない映像の中では違和感があり目に留まった。
「桃花,あれってさっきの女の子じゃないか」
俺は桃花に確認をとった。桃花はぎくっとしたが,その後深いため息をつくと「ついてきて」と強引に腕をつかまれ人にいない体育館裏へと連れこまれた。
「桃花,であの女の子はなんなんだ?」
「秋月 灯。私たちと同じ高校で同学年の女の子。落ち着いた性格で成績も悪くはなく普通ぐらい。それと・・・」
桃花は間をあけ
「超能力者,てところかな」
俺はあまりにも非現実的なオーラを持ったその言葉に一瞬頭が真っ白になる。
「今までの爆発の原因は間違いなくあの女のしわざよ」
「じゃあ,秋月ってやつを捕まえればこの事件もなくなるのか」
「もちろんこの事件は終わる」
「ならなんで捕まえないんだ?」
俺が質問すると桃花の携帯に着信が入った。メールの確認をし終えると桃花はほっとした顔になる。
「避難警報解除になったみたい。続きは昼食を食べた後に説明するから」
その日は休校となり,俺と桃花はいつも通り一緒に家に帰った。
「あ,昼食作るのは手伝うからよろしくね」
桃花は明るくいった。
こんにちは!春桜 結分です!めちゃくちゃ遅くなりましたが次回作を上げることができました!
いろいろと時間がなく,「久しぶりに上げてみよう!」と思って書き始めると書き方を忘れていて焦りました。継続はやはり力なりですね。
今回はいつもよりも内容もあとがきも長めとなっています。(あとがきはたまたまです)自分的には一話をこのくらい長くしていきたいと思っています。
それでは最後まで見ていただきありがとうございました!