終話 意見
心地の良い風が吹く。
「秋月!大丈夫か!」
手榴弾の予想以上の威力に心配する。幸い傷はできていない。爆発の時と吹き飛ばされて地面に叩きつけられたときに衝撃を受けたらしい。
「私もここまでですね。能力を使えるようになって一番強いと思っていたんですが・・・そんなこともなかったですね・・・」
泣くのを我慢しながら,秋月は言った。
「それにしてもどうやってここだとわかったんですか」
秋月からの問いかけに応じるために,俺はポケットからスマホを取り出した。
『暴力団殺人事件』
画面に一際大きく表示されていたその文字を見るなり,秋月は画面から目を離した。
「これ,お前の妹だろ。そして,この犯人の暴力団のが今日ここに集まってくる」
家に帰った後桃花に電話をして闇夜組が今夜どこに行くのかを聞いた。国の機関とつながっているだけあって疑問を持った声でこの公園に集まることを教えてもらった。その際,『なんでそんなこと聞くの?』と言われたが何とかごまかした。
「さすが川村さんですね。ですが,あなたの『かたき討ちをやめてほしい』という意見にはこたえることができません」
私が妹にできることはこれぐらいですから。
と秋月はところどころしゃくりあげながら付け加えた。
「違う」
俺は秋月にいった。秋月は驚いた顔で真っ赤に腫れた目を丸くする。
「この事件の日から家に帰ってないだろ」
秋月がはっとした表情になる。
「お前の親は今でもお前のことを探しているし,心配している。妹のことをどれだけ考えたって帰ってこないからあきらめて,今1パーセントでも可能性のあることに全力を注いでいる」
そこで一区切りつけて
「だから,お前にしかできないその願いにこたえるべきだと俺は思う」
無理やりにでもさせたい気持ちはやまやまだが,俺の存在は弱者と同じだからな。
と付け加えた。
いつも通りのちょうどいい風を俺はその時に感じた。
翌朝
「おれってさ~さいきんじょしちゅうがくせいにめざめちまったんだよな~」
「寝不足だったらドスケベになるのどうにかならないの」
いつも通りの通学路で桃花に怒られながら学校に登校していた。これが世にいう言葉責めか。いや,これもこれでアリだな!
歩いていると道の先にいる黒髪の女の子を見つけた。
「川村さんおはようございます・・・って,大丈夫ですか!川村さん!」
「この馬鹿寝不足だったらいつもこんな感じだから気にしないで」
秋月の心配に桃花があきれた口調で捕捉をした。
「ま,もとはと言ったら秋月ちゃんのせいだからね」
「うっ」
桃花の鋭い言葉に秋月は言葉が詰まらせる。
ふと,桃花は秋月の持っているものに気が付いた。
「今日は学食じゃなく弁当?」
「はい,今朝お母さんが作ってくれました」
笑顔で弁当を胸の高さまであげて見せてくる秋月。その姿を俺は忘れることはないだろう。
こんにちは!春桜 結分です!
ついに『弱者と能力者』を書き終えることができました!
最後まで読んでいただきありがとうございました。(あ,まだあとがき終わりませんよ)
事件解決後の十行ぐらい書くのが一番楽しかった気がします。書きながら「これで『第一部』終わるんだな」とさみしさもあり達成感もありって感じです。
この話を書くにあたって気づいたことがあります。
バトル系を書くのは難しい!!!
てことで次は違うジャンルを書くのでそちらももうご期待!
それでは,最後まで読んでいただきありがとうございました(`・ω・´)ゞ