第十一話 決戦
俺は駆け足で公園へと向かった。少し暖かい風がかすかに吹く。
『多分ここにいるはず』
公園の広場に到着した。公園の周りに等間隔に並んだ街灯。その下に人影が見えた。
「秋月!」
名前を呼ぶと人影はこちらを向いた。セーラー服の襟とロングヘアーの黒髪がふわりとなびく。
「何もしないでくださいって言ったじゃないですか」
「最善の行動は何もしないことって言ってたろ」
「ほぼ同じ意味です。で,あなたはここに何をしに来たんですか?」
早く帰れというような,邪魔だというような,秋月の柔らかい毒味を帯びた言葉になぜか罪悪感を覚えた。
秋月だって本当優しい。ただその優しさが間違った方向に向いている。
だから俺は秋月に
「俺の意見を聞いてくれ」
考えを押し付けるわけでもない。俺は少女の人生を左右するほどえらくも強くもない。
秋月は予想外の返事に目を丸くした。
「これは驚きました。あなたのことですからてっきり『やめろ』だとかいうかと思いました」
「もちろん最終的に言いたいことはそれだ」
「なら,あなたは敵ですね」
ザクッとこもったような音が左から聞こえた。見ると,まばゆい光を放っている槍が地面に刺さっていた。秋月の後ろの一本の街灯が光を失う。
「最後の警告です。帰ってください」
秋月がにやりと笑顔をみせる。
「それは・・・できないっ」
素早く腰のホルダーから拳銃を抜き秋月に向けて発砲した。
秋月は瞬時に円形の光の盾を自分の前に出す。球が当たると盾はバラバラに砕けていった。どうやら,光で作ったものは耐久性が弱いらしい。
「女の子に向かって銃で奇襲はひどいですよ。でも私はただの女の子じゃないんで大丈夫ですけど」
機銃掃射のごとく上から大量の槍が降る。後ろにぜんそくで逃げるが槍は俺をとらえてぎりぎりの位置にささっていく。
「う~ん,面倒ですね,光は直進しかしないんで力技しか使えませんしね」
秋月は首をかしげる。
「やっと・・・聞いて・・くれるか・・」
息を切らしながら聞いた。
「申し訳ありませんがそれはできません。あ,光って直進以外にもできましたっけ?例えばこんなものを使って」
秋月は肩にかけてある通学カバンから何かを取り出した。
「そんなに怪しまないでくださいよ,ただの水の入ったペットボトルです」
「なんで,そんなものをいま出すんだ」
「光って鏡に当てたら反射して,水面とかに入ったら屈折するんですよ。面白いですよね」
「それでっ」と秋月は俺の頭上にペットボトルを思いっきり投げる。ペットボトルが夜空に溶け込んでいった。
「で,面白いのがですね屈折の角度に関することなんですけど」
ペットボトルが満月と重なり月明かりが一瞬まばゆく光った。
『まさか!』
とっさにペットボトルの真下から離れるために後ろを向いた。
「さすが川村さん!じゃあ,答え合わせなんですけど」
目の前の街灯が点滅し消えた。
「ある角度から光が入ったときに『全反射』って現象が起きるんです」
光がペットボトルを貫いた瞬間ペットボトルが爆発し放射線状に光が飛び散った。その爆風で背中を強打したような感覚に襲われ引き飛ばされる。さすがに攻撃を食らってしまった。右手首や背中から血がにじむ。
「川村さん,まだ終わりじゃないですよね」
間髪入れずに光の槍が三本こちらに直進してきた。ひざまずいた状態で疲れ切った体を無理やり上半身だけ後ろに向かせ槍に向けて発砲する。弾に当たった槍が光の粉となって風に飛ばされていく。
「ああ,まだ終わりじゃねえ。そっちが爆弾を使ってくるなら」
ポケットに忍ばせていた手榴弾を素早く出す。安全ピンを抜き秋月のほうへと投げる。
『手榴弾・・・!』
さすがにこれには驚いたらしく秋月は驚いた表情を浮かべる。手榴弾が秋月のお腹から1mほど前に来る。
『まずい!』
秋月は急いで光の盾を出す。それを見計らって俺は実弾に切り替えた銃で手榴弾に発砲した。銃がピュンッと鋭い音を立て,手榴弾が空中で爆音とともに破裂した。
光の盾は手榴弾の破片を防ぐことができたが爆風までは防げなかったらしい。秋月がくの字になって吹き飛ばされた。
こんにちは!春桜 結分です!
今回はじらしにじらした戦いのシーンです!いや,難しい!でも楽しい!
自分なりにはうまく書けたと思います。今回も下書きガン無視です。
書きながらかっこいいなと思いました。自画自賛というか自文自賛です。
次は秋月編最終回です!今度こそ終わらせる!
それでは最後まで読んでいただきありがとうございました(`・ω・´)ゞ