第七話『海を越え島へ』
「船に乗ります」
「あ、うん……」
しばらく港町で過ごしていた二人は、ようやく船のチケットを手に入れたので、海を渡る事になった。中々に遠いらしく、船で三日間かかるとの事。かなり長旅になるのだ。食事に関しては一応出るのだが、もし食べられなくてもいいよう、ミックスナッツは常備している。
「なんかすっごい大きい船だね……」
「と言うか、これでも小さい方。じゃあ入ろうか」
結構な人数が船に入っていく。月一の連絡船も兼ねているからか、かなり人数がいる。
「そう言えば、ミルはなんでこの島にいたの?」
「修行。この島は魔法使いの修行所なの」
ほぼ全員が修行帰りとの事。よく見れば、確かに魔法使いのような恰好をしている奴が多い。そんな訳で歩いていると、ふと誰かに話しかけられる。
「お?ミルじゃね?」
「……なんでいる。『カウラ』」
「俺?俺は見ての通り、あいつらの護衛でな。もう終わったから自由時間だがな!ガハハ!」
どうやらミルの知り合いらしく、一般的にミノタウロス娘と言う存在であった。身長は二メートルを超えるデカさで、胸もそれ相応にデカい。貧相なんて次元じゃない二人とは、格が違う。
「えっと……知り合い?」
「ん、前にちょっとあった」
「お?なんだそのチビ?」
「私の女。師匠のところで結婚する」
「へー、そうなんだ……えっ!?」
軽く聞き流そうとした瞬間、流石に聞き流せなかった一言があった。明らかに、正気か?と言う感じの目をしていた。
「マジでぇ……?!おいチビ名前は?」
「え。えっと。ナラです」
「そうか……。いやまぁ人の恋路にどうこう言う訳じゃないがな?あいつ結構面倒くさいからな?結婚するなら気を付けろよ?」
「は、はぁ……」
「おい。お前に言われたくない」
どうやら並々ならぬ因縁があるらしい。そんな感じで話を聞いていると、いきなり船を揺れが襲う。
「何!?」
「ナラ!気を付けて!」
何事だと思っていると、船員がやってきて叫ぶ。
「大変です!今海賊に襲われています!皆さん部屋の中に避難してください!」
「えっ!?」
「ナラ、部屋に行ってて」
「僕も戦う!」
いきなりの事にパニックになる船内。だが三人は慌てずに、現況を叩きに行く。乗り込んできた海賊たち。その中には、仮面を付けた謎の男が一人立っていた。