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第五十五話『風呂での一幕』

 

「ふゆぅ~……」


 銭湯に来たナラ一行は、それぞれ適当に風呂を楽しむ事にしたようである。ナラは大浴場に肩まで浸かり、久しぶりの何もない平穏をかみしめていた。思えば転生してから半年の間で、もう色々ありほとんど休んでいなかったのだ。たまにはこうして休んでも大丈夫だろう。


「ふへぇ~……」


 そんな感じでゆるゆると過ごしていると、ミルがふよふよと近づいてくる。そしてナラの胸に顔を寄せると、しょぼくれた顔をナラの方に向けてくる。


「……ナラ……」


「どしたのミル~」


「……今度、二人だけでデートしよ?」


「いいよ~……。今日はごめんね。みんな一緒に行かないとさ、色々モメそうだし」


「……いい。ナラはそう言う人だって知ってるもん」


 二人が肩を並べて風呂に入っていると、恐らくサウナに入っていたであろうギンが外気浴にやってくる。未だ湯気が漂うそのボディを余すところなく見せびらかしながら、外気浴用の寝る場所に一人眠る。


「……デカい」


「デカいね」


「胸……。欲しい」


 呼吸に合わせて揺れる胸を見て、二人は若干嫉妬している様子なのであった。


「じゃ、僕ちょっと水飲んでくるから……」


「ん。私はしばらくここにいる」


 茹で上がりそうだったので一度休憩をはさむナラ。サウナの横にある蛇口から水を摂取しようとすると、その横に何か岩らしき物質を発見する。なんだろうとよく見てみると、それは骸の顔。思わず投げ飛ばしてしまう。


「な、なんだ今の……」


「あっ俺ちゃんの頭が無い!」


 サウナから出てくる顔の無い骸は、頭の部分が無くなっている事に気が付き、風呂から出て行く。なんなんだよアイツとか思いながら、外にある椅子へ向かう。しばらく休憩してのほほんとしていると、そう言えばコノオを見ないなぁと思い少し見回す。


「……あ、いた」


 コノオは、一人薬湯で傷を癒しているようだった。古傷か何かなのだろうか?だがまぁ乙女の傷の詳細を聞く気はない。そのまましばらくゆるゆると過ごし、そしてそろそろ良いかと風呂から上がる。食事処のあるこの店には、既に茹で上がってしまったミルが水を煽っていた。


「大丈夫?」


「……ん……」


 まだアツアツな状態なようなので、冷たいミルクを買って手渡すナラ。


「ほら飲みなよ」


「ん……。ありがと……」


 アツアツの体に冷えたミルクを流し込むのが、風呂上がりの定石。しばらく適当におつまみを摘まんでいると、ギンがナラの方へ向かってくる。手にはビールを持ちながら、もう半分飲んでいる様子。こんなので大丈夫なのか?と思うだろうが、こう見えてギンは酒強いタイプ。なんかやたら強い。


「あっギン」


「よっ。良く分かんねぇけどこのビールって奴行けるなぁ!もう一本買ってくるわ!」


 そう言って店員の方へ歩いて行くギン。そんなこんなで、コノオが上がるのを待ち、そしてやって来たところでようやく初めのデートプランである、ミルの予約している店に向かうのであった。


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