第五十三話『デート……か?』
「えーっと、服は……」
「お、デートかよ?」
「うわっ骸だ!なんでいるんだ」
「ねぇ、俺ちゃんはゴキブリか何か?」
明日のデートに向けて服を選んでいるナラの元に、カサカサと言う感じでやってくる骸。アレでは本当にゴキブリである。とりあえず、何故入って来たのかだけは聞くナラ。
「なんで来たの?」
「俺ちゃん暇なの~よ」
「僕は暇じゃないの」
「……むぅ。まぁいいや、それよりコレね、お守り」
「……なにこれ」
どうやらこれを渡しに来ただけらしい。お守りと言うにはあまりに固形物であるが。セミの。
「セミ……だよね?」
「そう。セミ。セミをシロップ漬けにした奴」
「……お守り?」「お守り」
どうやらこれをお守りだと、あくまで言い張るつもりであるらしい。ナラはゴミを見るような目で骸を見るが、全く応えていない様子。いつもの顔でカサカサとそのまま部屋の外に出て行く。服をちゃんと決め、そのまま眠る。
「明日着ていく服よし!じゃあ寝よ……」
着て行く服も決まったのでスヤスヤと眠りにつくナラ。そして翌朝。リスモフパジャマで下の階に降りるナラ。まだ眠そうなのか、目を擦りながら降りて来たならの目の前には、もうバッチリキメている三人の姿が。
「おはよう」
ミルは普段着ている服から、フリフリの甘ロリ系ファッションに。黒で固めた服からはみ出す、白いふわふわの尻尾がとてもかわいい。子供が本気で考えた可愛い服と言う感じで、とても可愛い。
「あ、おはよう……。き、着替えてくるね」
「あぁ。今日は真面目な日だからな。俺も真面目な衣装で行く」
ギンは、パリッとしたスーツ姿の服だが、ところどころに金の装飾が施されている。銀色のもふもふ尻尾や耳とのアクセントで、どことない色気を出している。
「私の服……似合う?」
コノオは、一見ただの巫女の衣装に見えるような服だが、よく見ればその全てが手作業で作られている事が分かる服。赤と金色の刺繡がところどころに入っており、幼さの中にあどけない色気を放っている。
「っと……着替えて来たよ!」
そして、ナラが今回のデートに選んだ服は、いつも着ている服の新品であった。飾り気も確かに重要だが、ありのままでいたいと言うナラなりの考えがあってこそである。
「じゃあ行こうか?」
「ん」
「おう!」
「もちろん」
そんな訳で、彼女たちのデートが始まるのであった……。何やら不穏な空気を漂わせて……。




