第十一話『別れと二人目』
「ようやく港町が見えて来たよ!」
スゥとの一戦から二日後、何とかかんとかボロボロになりながらも、撃退に成功した一行。船から降りると、カウラはここで再び護衛に行くとの事であった。
「大丈夫?」
「ん?あぁ、気にすんなって!俺があの程度で死ぬ訳ねぇっての!……ま、ちょっと寂しくなるけどな」
つまりカウラとは、ここでお別れと言う事である。寂しい事は寂しいが、まぁ仕方ないと言えば仕方ない。三人が別れた後、ミルとナラの二人はミルの師匠に会いに行く。師匠はこの港町にいるとの事だが、誰なのかが見当もつかない。
「そう言えば……ミルの師匠って誰?」
「私の師匠は……」
「なんじゃ、久々に我のところに来る奴がいると思えば……、可愛い弟子ではないか。どうした?久しぶりに我の尻尾をもふもふしたくなったか?」
「……これ。『タマ』」
師匠の事をコレ呼ばわりするミル。どうやら腕は確かなようだが、性格に難があるらしい。カウラを見る時の目は、どちらかと言えばライバルと言う感じだが、師匠を見る時の目はゴミを見るような目をしていた。
「なんじゃ師匠をコレ呼ばわりして。悲しんじゃうぞ~」
「ペッ」
そんなこんなで、師匠の家にやって来た二人。家の中はこざっぱりとしており、ほとんど何にもない。ビックリするくらいに。それはそうと、中に入り茶を嗜むナラ。ミルとタマの二人は、話があるようで裏に回っていた。
「あっ美味しい……」
「そうか?俺にもくれよ」
「んぉ?喋る剣とは、珍しい物持ってんじゃなぁ」
キングにも茶を出すタマ。どう飲ませればいいのか分からないので、そのまま剣に茶をかけるナラ。
「ほら飲め」
「うごご……。結構なお手前ね」
それで飲んだと言えるのか?と言いたくはなるが、味は感じる事が出来るらしい。絵だけで見ても何とも意味不明な光景であるが。そんな訳で茶を嗜んでいると、浴衣を着たミルがやってくる。
「ここじゃこの服が正装。着替えてきたら?」
「そうする!」
「ほな我も付き合うとするか……」
そんな訳で、浴衣を着る事になったのはいいのだが、何故か付いて来るタマの姿が。確かに一人では浴衣を着る事が出来ないとはいえ、ここまでわざわざついてきたと言う事は、つまりそう言う事である。
「良い体と尻尾してるのぉ……」
「な、なんですか……」
「グヘヘ……、スケベしようや……」
「なんなんですか!?」
襲いに来たと言う事だ。