第八話『男……?』
「おい動くんじゃねぇ!お前らに興味はねぇんだよ!」
「クッ……、いったい何が望みだ!」
「だから黙ってろって言ってんだろうが!あたしらも詳しい事は知らねぇんだよ!」
既に船の中央部、最も人がいる客船部は、完全に制圧されてしまっている様子。さぁどうするかと考えていると、ミルが作戦を簡潔に述べる。
「恐らくボスがいる。今の話からして、誰かを狙ってる」
「誰をだよ?」
「知らん。でも私たちじゃないことは確か。……とりあえず、ナラはその人を探して。私とコイツであいつらを制圧しておくから」
「なるほど。んじゃさっさと制圧しちまうか!」
話が決まったので、ナラはその目的の人物とやらを探しに行く事になった。いったい誰なのだろうかと、走り出す。そしてカウラとミルの二人は、颯爽と海賊達の前に立ちふさがると、カウラはパワーで海賊を粉砕、ミルは魔法で船員や乗客の保護をする。
「やっぱあいつら魔法効かねぇらしいぜ!」
「これだけ魔法使いがいるのに、負けるのはあり得ないし」
「だがまさか俺みてぇな火力バカが乗ってるとは思わなかったかぁ!?」
斧の風圧で竜巻を発生させ、それで海賊を吹き飛ばしていく。どれだけ派手にやっても、一応守っているので大丈夫。だがしばらくやっていると、仮面を付けた男が二人の前にやってくる。
「ん?誰だアレ……」
「あ、ボス!大変なんです見ての通り……」
その光景を見た瞬間、仮面の上からでも分かるくらいのため息を吐いた後、ミルの方を向く。そして、仮面の男の姿が消えたかと思った瞬間、ミルの体は船から吹き飛んでいた。
「!?」「ッ!?」
その瞬間、ハッキリとその目に見える。この男は海の上を走っているのだ。それも、吹っ飛ばした後その速度を上回り、今度は背中を蹴り飛ばし無理やり船内に吹っ飛ばす。
「ミル!」
「来るなカウラ!こいつ……強い!」
咄嗟に魔法で防御したのだが、それでも血反吐を吐くほどの火力。そして何より、恐ろしい速さ。
「……お前らの目的はなんだ!?」
回復魔法を使っているのが見えたので、その間に時間を稼ごうとするカウラ。だが男にとって、そんな事はとんでもなく面倒くさい事。と言うか、わざわざ出張る必要があるか?と言うほど面倒な状況。気が付けばカウラの体はシャンデリアに叩きつけられていた。
「……カハッ……!?」
まさに圧倒的と言った所か。一方その頃、ナラはと言うと何やら変な剣を発見していたのであった。