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06

一方その頃 リヒテル王国の王宮の大広間ではバイル王太子や国王やリゼル達が話をしていました。


バイルが国王に尋ねた。


「父上??アニアが使っていた屋敷に置いてあった大量の魔法石はなんだったのでしょうか?」


国王が怒った様子でバイルに言った。


「分からんが、あのアニアがきっとアホな事をしていたのだろうよ。置いてあった魔法石は全部商人達に渡しておいた。ふん!!お荷物聖女のアニアめ、よくもお荷物聖女の分際でこの余を騙してくれたものだ。全くとんでもない量の魔法石を屋敷に持ち込みおって。最後までお荷物な女だったな。」


パルシス伯爵が国王に言った。


「国王様、不出来な娘で申し訳ございません。」


バイルが国王に言った。


「父上?今はあのお荷物聖女のアニアがいなくなった事を喜びましょう。」


国王がバイルに言った。


「それもそうだな。ではこれから宴を始めるとしよう。」


バイルが国王に尋ねた。


「宴?」


国王がバイルに言った。


「バイルとリゼラの婚約とリゼラの聖女への就任を祝して宴を用意したのだ。」


パルシス伯爵が国王に言った。


「国王様、まだリゼラは聖女になっておりませんが?」


国王がパルシス伯爵に言った。


「前祝いだ。リゼラが聖女になれるに決まっているからな。だから前祝いで盛大に祝う事に決めたのだ。」


パルシス伯爵が国王に言った。


「おお!国王様ありがとうございます。」


国王が使用人達に言った。


「よし宴の始まりじゃ。すぐにここに料理を持て。」


しかしその国王の命令が実行される事はありませんでした。


しばらくして使用人たちが大広間に謝りにやってきた。


「国王様、申し訳ありません。少々調理に手間取っておりまして。」


国王は使用人達を責め立てました。


「なんだと?なんでさっさと料理を運んでこんのだ。」


使用人が国王に言いました。


「国王様?突然宴を始めると言われても料理がすぐにできる訳ではありません。下準備などの都合もありますので前もって知らせて頂かないと。」


国王が使用人に言いました。


「うるさい、そんなもんパッパッとできるだろうが。余に仕える使用人ならそれぐらいやれ。」


バイルの父親であるリヒテル国王はバイルと同等かそれ以上に頭が残念な人物でした。


パルシス伯爵が国王に言った。


「国王様?別に構いません、少しぐらいでしたら待ちます。じきに料理が出てくるでしょう。」


だがどれだけ待っても料理がリゼル達が待つ大広間に運ばれてくる事はありませんでした。


バイルが国王に言った。


「父上、おなかが減りました。」


リゼラがおなかを空かしながらバイルに言いました。


「バイル様、おなかが減りました。」


国王が激怒しながら使用人達に言いました。


「ふざけるな!!一体いつまで待たせるつもりだ!!」


使用人の一人が国王に言った。


「申し訳ございません。それが調理に取りかかろうとしたのですが、調理用の魔道具が一斉に故障してしまいまして。」


国王がその使用人に言いました。


「魔道具ぐらいちゃんと準備しておけ!!全く!!いつになったら料理が食えるんだ??」


使用人が国王に言いました。


「国王様、申し訳ありませんが、調理用の魔道具が使えないとなると、薪を大量に調達せねばなりませんので今回の宴は諦めてもらえませんでしょうか?」


国王が怒りながら使用人に言いました。


「宴を諦めろだと??そんな事できるわけないだろうが!!」


その使用人が国王に言いました。


「それでしたら国王様??簡素な料理でしたらすぐに準備できますが??」


国王が激怒して使用人に言ました。


「ふざけるな国王である余が粗末な料理を食べろとでも言う気か!!」


バイルもその使用人に言いました。


「父上の言う通り。王族である俺達は着る物を住む場所も食べる物も全てが最上級でなければならないんだ。下民が食べるような粗末な料理を食べる事なんて断じてあり得ない!!」


国王は最上級の料理をすぐに作るように使用人達に命令したが、だが結局国王とバイルとリゼラ達は何も食べる事ができずに国際会議が開かれるトロイラント公国に出発する羽目になったのだった。


リゼラがひもじそうにバイルに言いました。


「今日は私が聖女になる晴れ舞台になのに、おなかペコペコです。」


バイルも空腹で少しイライラしているのでした。


「全く使用人の連中め食事の用意すらできないのか全く。まあいい、明日はリゼラが聖女になる祝いの日になる。今回だけは大目に見てやるとしよう。」


パルシス伯爵が国王に言いました。


「国王様、リゼラを是非聖女にして頂きたいのですが?」


国王がパルシス伯爵に言いました。


「分かっておる、余にとってもゆくゆくは大事な義娘になるわけだからな。」


国王がバイルとリゼラに尋ねました。


「そうであろう?バイル?リゼラ?」


バイルが国王に言いました。


「もちろんでございます。父上。私はリゼラと真実の愛を見つけたのです。」


リゼラが国王に言いました。


「国王様ご安心ください。私はバイル様を心より慕っております。」


国王が納得した様子で三人に言いました。


「うん、素晴らしい返答だ。」


すると国王がバイルに尋ねました。


「ところでバイル?一つ聞いてよいか?」


バイルが国王に言いました。


「父上?なんでございましょう?」


国王がバイルに尋ねました。


「リゼラを聖女にするにはどうすればよいのだ?」


バイルが国王に言いました。


「さあ?分かりません。父上。」


するとリゼラが国王に言いました。


「国王様、聖女というのは国際会議で聖女選任(せいじょせんにん)の手続きを行って各国に承認される必要がございます。ですのでこれからちょうどトロイラント公国で国際会議が開かれますので、そこで国王様が私を聖女に推薦して頂いて、各国の皆さまの承認を得られれば晴れて私は聖女となる事ができます。」


国王がリゼラに言いました。


「おおそうなのか?リゼラは頭もよいのだな。」


バイルがリゼラに言いました。


「ああリゼラ!!君は頭もいいんだね。俺は全然知らなかったよ。」


国王がリゼラに尋ねました。


「では余が会議でリゼラを聖女の推挙をすればいいのだな?」


リゼラが国王に言いました。


「はい、あとお姉様の退位も申し出る必要があります。」


国王がリゼラに言いました。


「あのお荷物聖女の退位とリゼラを聖女に推挙するんだな。そうすればリゼラが晴れて聖女になれるという事だな。」


リゼラが国王に言いました。


「その通りでございます。」


国王がリゼラに言った。


「うむ、任せておれ、リゼラを必ず聖女にしてやるとしよう。」


パルシス伯爵が国王に言いました。


「国王様ありがとうございます。しかし他の国の参加者達はリゼラの聖女就任を認めてくださいますでしょうか?」


国王がパルシスに言いました。


「そんな心配する必要もない。あんなお荷物聖女のアニアなどクビにされて当然だろうよ。きっと他の国の方々も余と同じ考えのはずだ。」


バイルも国王に賛同しました。


「そうです。他の国の参加者達もリゼラの聖女就任を拍手喝采で認めてくれる事でしょう。」


パルシス伯爵も納得した様子で頷きました。


「それもそうですな。」


そして国王の一行は国際会議が開かれるトロイラント公国にある大聖堂へとやってきたのでした。



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