10
すると国王が顔を青くしたままバイルに言いました。
「ええい、今はそんな事はどうでもいい。アニアに一緒に謝るぞ。」
バイルはリゼラの事がショックなようで国王にすぐに返答しませんでした。
「あっ、はい。」
国王が私に言いました。
「アニア様、すいませんでした。」
国王は謝りましたが、バイルはリゼラの事がショックなようで茫然としていました。
するとバイルは国王に怒鳴られました。
「おいバイル!!何をボケーとしておるのだ!!さっさと謝らんか!!」
バイルが慌てて私に言いました。
「アニア、本当にすまなかった。」
するとクラインが国王達に厳しめの口調で言いました。
「まさかそれだけで済ますつもりか?」
すると今度は膝をつけて国王が土下座をして私に謝ってくるのでした。
「アニア様、本当にすいませんでした。この愚かな国王を許してくれ。」
バイルも私に土下座をしてこう言いました。
「アニア、本当にすまなかった。」
するとバイルは私にこう言いました。
「アニア、君は本当の聖女だった。俺はあのリゼラに騙されていただけなんだ。リゼラは救いようのないクズな女だった。アニアこそ俺の婚約者にふさわしい女性だとやっと気がついたよ。どうだろうアニア?君とやり直す事はできないか??」
私は首を横に振ってバイルに言いました。
「すいませんがもう無理です。私はバイルの本心を知ってしまいましたから。もうあなたの言葉は私には全く響きません。」
すると土下座した国王がまだ土下座をしていなかったリゼラやお父様に言いました。
「おいパルシス伯爵!!リゼラ!!お前達もはやく謝らんか。」
お父様が言いました。
「なんで自分の娘に土下座して謝らなきゃならないんです?」
リゼラが国王に言いました。
「アニアは出来損ないの姉なんです、私の方が優秀なんだからアニアに謝るなんて絶対に嫌です。」
すると国王が国際会議の会場に連れてきた護衛の騎士を数人自分の所に呼びよせました。
そしてその騎士達によってリゼラとお父様は力づくで土下座させられたのでした。
「アニア、すまなかった。愚かな父を許してくれ。」
無理矢理土下座させられているリゼラが私に言いました。
「お姉様。本当に申し訳ありませんでした。」
クラインが二人に言いました。
「リゼルも伯爵もあまり反省していないようだな。」
これを聞いた国王が焦って大きな声でリゼラに言いました。
「リゼラ!!もっとちゃんと謝らんか!!そうだ!!お姉様どうかこのバカで性格の悪いリゼラを許してくださいと言うんだ。」
そしてそれは騎士達によって遂行されるのでした。
リゼラは床におでこを着けて目に涙を浮かべながら土下座していました。
その姿で私にこう言ってくれました。
「お姉様、本当に申し訳ありませんでした。お姉様どうかこのバカで性格の悪いリゼラを許してください!!」
私の心の中が大きく晴れていくのが分かりました。
クラインが私に尋ねました。
「アニア?区切りはつけられたかい?」
私がクラインに言いました。
「はい、心の整理はつけられました。ありがとうございます。」
クラインが私に言いました。
「うん、なら良かった。」
クラインが国王に言いました。
「いいだろう、最低限の誠意は見せた。魔法石の王国への輸出は認めよう。」
国王がクラインに言いました。
「クライン殿ありがとうございます。」
するとクラインが国王に言いました。
「ありがとうは俺じゃなくてアニアに言うんだ。」
国王とバイルが私に言いました。
「アニア様、ありがとうございます。」
「アニア、本当にありがとう。」
国王がお父様とリゼラに言いました。
「お前たちもちゃんと言え。」
お父様とリゼラが言いました。
「アニア、ありがとう。」
「お姉様、ありがとうございます。」
そして会議はそのまま閉幕となりました。
それから1か月ほど月日が流れた。
バイル王太子は国王によって王位継承権をはく奪されて、地下牢へと囚われの身となっていた。
そして国王はこのひどい状況をなんとかしようと躍起になったが、アニアが稼いでいた収入を頼り切ってずっとあぐらをかき続けてきた国王にそんな事ができる訳もなかった。
アニアがいない状態では何も成す事はできずにアニアが頑張って得ていた大きな収入を失った王国がどんどん沈んでいったのだった。
そして王宮の金庫から金貨が尽きて、財務室の机の上には商人達から借りたすごい数の借用書で溢れていた。
そして国王はリヒテル王国の民達から税金を上げてたくさん搾り取ればいいという浅はかな考えを思いついたのだった。
しかもこれまでの5倍の税金を払えと触れを出したのだった。
国王はこれでリヒテル王国が助かると思っていたが、実際は真逆だった。
税金を5倍に上げられた王国の民達は当然のごとく怒り狂ったのだった。
国王が触れを出した次の日には王都で暴動が発生すると、それから暴動への参加者はうなぎのぼりで増えていき、数日後には王家は打倒できるほどの規模に膨れ上がったのだった。さらには諸侯もほぼ静観を決め込んでどこの家も王家を助けようとはしなかった。さらに騎士団に至ってはほぼ全員が市民達に味方をするのだった。そして暴動発生から一週間も経たない間に王宮を王都民や市民側に味方した騎士団によって占拠されてしまったのだった。
そして騎士団が味方した事で誰がこの事態を招いたかをリヒテル王国の皆が知る事になった。
この事態を招いた国王や伯爵やリゼラは市民達に捕まってしまうのだった。
市民達に国王達は詰め寄られていた。
「ふざけるな!!なぜアニア様を追放などしたのだ??この愚かな国王め!!!」
「自分は悔い改める事もなく税を5倍にしやがって!!国王!!ふざけてやがるのかテメエは!!」
国王がふざけた事を市民達に言いました。
「5倍に税金を上げたのは仕方がなかったんだ。収入はなくなってしまうし、支払いは一気に増えるし。王宮の金庫から金貨がごっそりと消えてしまうし。」
市民達はそれを聞いて呆れ果てるのでした。
「全部お前が自分で蒔いた種だろうが!!ふざけた事を言ってるんじゃねえぞ!!」
「そうだ5倍の税金とか舐めてるのか!!とんでもないお荷物国王じゃねえか!!」
すると市民達に捕まっていたリゼラが言いました。
「なぜ私まで捕まらなければならないの?私は関係ないと思うんだけど?」
市民の一人がリゼラに言いました。
「しらばっくれても無駄だ。リゼラがアニア様の追放の元凶だった事もその後王宮の金庫からたくさんの金貨を盗み出したのも、全部調べがついてるんだよ。」
すると国王がリゼラに尋ねた。
「リゼラ??お前が王宮の金庫から盗んでたのか?」
リゼラが国王に言いました。
「そうよ、だってもうバイルは地下牢に入っちゃって私に何も貢いでくれなくなったでしょ。だったら自分で買うしかないじゃない。だから金庫にあった金貨はありがたく私がもらいました。」
国王がリゼラに言いました。
「リゼラ??なんてことをしてくれたんだ??」
リゼラが悪びれる様子もなく国王に言いました。
「だってバイルとの婚約破棄も解消も認めてくれないんだもの。だったらせめて今のうちだけでも贅沢しなきゃいけないでしょう?言っとくけどもう金貨を使い切ってないからね。」
パルシス伯爵がリゼラに言いました。
「ふん、リゼラ?とんでもない悪女だと知られた以上どうせお前はもうだれとも婚約などできんよ。全くとんだ親不孝な娘だ。俺まで巻き込みおって。」
リゼラがパルシス伯爵に言いました。
「お父様だって盗んだお金で新しいお屋敷作ろうとしてたじゃないですか。」
するとリゼラが尋ねた。
「ねえまさか私を地下牢に放り込むつもりじゃないでしょうね?」
市民の一人が言いました。
「もちろんそのつもりだ。暗い地下牢の中でお前の罪をしっかり反省するんだな。」
すると騎士が国王とパルシス伯爵とリゼラに言いました。
「国王とパルシス伯爵とリゼラの3人には終身刑を言い渡す。アニア様を追い出した罪を一生薄暗い地下牢の中で悔いて生き続けろ!!分かったな!!!」
リゼラが驚いた様子で尋ねました。
「一生地下牢に閉じ込めるつもりなの?」
騎士がリゼラの問いに答えました。
「そうだ。」
リゼラが涙目で叫びました。
「待って、そんなのいやよー!!!誰か代わってよ!!」
国王が無様に泣き叫びました。
「余もそんなの嫌じゃ!!だれか助けてくれ!!」
騎士がリゼラに言いました。
「ちょうどいいじゃないか、お前の婚約者のバイルがすでに暗い地下牢の中に入っている。二人仲良く暗い地下牢の中で一生を過ごせばいい。愛する者同士なんだろう??」
リゼラは大きな声で泣き叫びました。
「そんなの絶対にいやー!!!お願い!!私だけでいいからだれか助けてよ!!!」
もちろん誰もリゼラを助けるはずがなく、国王とパルシス伯爵とリゼラの3名は市民側に味方した騎士達によって王宮の地下牢へと引きずられていきました。
それから数日後、ベスタール帝国の大宮殿の謁見の間に私は居ました。
私の横にはクラインがいました。
衛兵の報告を私は冷静に聞いていました。
「申し上げます。王都で発生した暴動の続報でございます。王国では大きく税が5倍に引き上げられ、取り立ても相当に厳しくなっているとの事でそれに対する反発によって暴動が起こったものと思われます。どうやら以前と変わらぬ贅沢な豪遊を国王やリゼラは続けていたようです。」
クラインが衛兵に尋ねました。
「しかしリゼラはバイル王太子との関係は悪くなっていたようだったが?」
衛兵がクラインに言いました。
「それがリゼラはバイル王太子との婚約解消が叶わなかったようです。そして肝心のバイル王太子も地下牢に閉じ込めらてしまったので王宮の金庫から金貨を全て盗んで豪遊していたようです。これには父親のパルシス伯爵も関わっていたようです。」
クラインが言いました。
「なんか聞いてるだけで頭が痛くなってくる。せっかくアニアに最後のチャンスをもらったというのに、あいつらは。以前と変わらぬ贅沢な豪遊を続けていたとはな。何も反省していないではないか。」
私もクラインに賛同しました。
「呆れてものも言えませんね。」
衛兵がクラインに言いました。
「市民派はすでに王宮を占拠した模様です。さらに国王と伯爵とリゼラの3人には終身刑を言い渡し責任を取らせる為に地下牢にその3人を放り込んだとの事です。」
私がクラインに言いました。
「終身刑ですからもう二度とリゼラ達は牢屋の外に出てくる事はできないでしょうね。」
クラインが私に言いました。
「ああ、あいつらはアニアにひどい仕打ちをしたんだからな当然の報いだろう。一生をかけて自分達の行いを償うべきだ。」
衛兵がクラインに言いました。
「リヒテル王国の市民派を代表して使者が来ております。これまで通りの友好関係を維持してほしいとの事。」
クラインが衛兵に言いました。
「リヒテル王国の民達の怒りは最もだ。今回の事の発端は全てリヒテル王家とリゼラ達にある。分かった。ベスタール帝国としてはこれまで通り友好関係を維持すると、そう使者の方にお伝えしてくれ。」
衛兵がクラインに言いました。
「はっ。」
クラインが私に言いました。
「最後の最後まで愚かな連中だったな。」
私は小さく頷きました。
「そうですね。」
私は話題を変えようと思いこうクラインに言いました。
「それにしても初めてこの宮殿に案内された時は驚きましたよ。」
帝国にやってきて驚きの連続でした。
ベスタール帝国には何度か来た事がありましたが、私が前に来た時よりもさらに発展しているように見えました。
大河には石造りの大きな橋がかかり、小さな川にまでちゃんと橋が掛けられていました。
帝都の大通りの両側には見渡す限り4階建て以上の建物がズラリと建ち並んでいました。
一般の帝都民ですら王国とは比べ物にならない良い生地の服を身に着けており、道路にはゴミもあまり落ちていませんでした。
道路には大量の荷を積んだ馬車が行きかい、運河にはたくさんの船が行きかっていました。
間違いなくリヒテル王国よりもベスタール帝国の方の経済が発展しており、今もそれが続いているのです。
そしてベスタール帝国に到着してから3日後に帝国の皇宮へと招待されたのでした。
ベスタール帝国の皇宮はリヒテル王国の王宮とは比べ物にならないほどに巨大な建物でした。
皇宮のあちこちには金細工や銀細工が施されており、とても華やかな雰囲気でした。
私は皇宮の壮麗さに圧倒されてながら、謁見の間へと案内されたのです。
そして謁見の間の玉座にクラインが座っていたのですから、本当に驚きました。
そしてクラインがベスタール帝国の皇帝である事を私に告げられたのでした。
私はあの時の事を思い出しながらクラインに言いました。
「クラインがまさか皇帝だったなんて。びっくりしてしまいました。」
クラインが私に言いました。
「俺が皇帝になったのもなると決まったのもつい最近だからね。3か月前までは俺自身も侯爵家の跡取りになると信じていたからね。優秀な兄上達が何人もいるからまあ皇位継承はないだろうと考えていたんだが、俺が次期皇帝に指名されてしまったんだ。しかも兄上達までが賛成してくれた。」
それは何となく想像できます。クラインは頼りがいがあって博識ですもんね。
帝国の皆さんがクラインを押すのも分かります。
私はクラインに尋ねました。
「2回目のプロポーズはどういう事だったんですか?」
クラインが私に言いました。
「君に対して隠し事をしていたをしていた訳だからね。ちゃんと俺がベスタール帝国の皇帝だと知ってもらった上でプロポーズをしたかったんだ。」
クラインは私に自分が皇帝だと伝えた後で改めて私にプロポーズをしてくれました。
クラインが私を愛してくれていると言ってくれて、私はとても救われました。
今さら自分の気持ちにウソをつく必要もありませんし、私はクラインからの2度目のプロポーズも受け入れました。
クラインが安堵した顔で私に言いました。
「正直、皇帝と知られたら断られるんじゃないかって心配してたんだ。アニアがまたプロポーズを受けてくれて本当に良かった。君とこれからずっと一緒にいられるなんて本当にうれしいよ。」
私はクラインに尋ねました。
「そんなに嬉しいんですか?」
クラインが笑顔で私に言いました。
「ああ君と一緒にいる時が本当に心地いいんだ。俺は今君が傍にいてくれて本当に満たされているんだ。」
ああまた恥ずかしくなってきました。
「僕はアニア君を愛している。君が私の傍にいてくれて本当にうれしい。絶対にアニアの傍から離れないから。」
そう言うとクラインは嬉しそう笑顔で私の言葉を待ちました。
あれ結構言うの恥ずかしいんですよ。
そうやってはっきり答えを求められると恥ずかしいんですよ。
私は恥ずかしくて言い淀んでしまいました。
「どうしたんだいアニア??はやく言ってくれよ。」
すると彼は悲しそうな顔をしてしまうのでした。
「まさか?もう俺の事が嫌いになってしまったのかい?待ってくれ、もう俺はアニア君なしでは生きていけないんだ。君のいない人生なんて考えられない。」
クラインは心配そうに私に言いました。
クラインはとても頼りになる人なんですが、私と一緒にいるときはすごく子供っぽくになってしまう時があるんですよね。
「大丈夫です。」
「えっ??」
私はそう言うと彼の唇に唇を重ねました。
彼は顔を真っ赤にしていました。
きっと私の顔も真っ赤になっている事でしょうね。
「私もクラインを愛しています。信じてもらえましたか?」
クラインが静かに頷きました。
「ああ。」
それからしばらくの間、私とクラインは赤い顔のまま見つめあいました。
END
------------------------------------------------------------
ここまで読んでくださりありがとうございました。
早速ブックマークや評価をしてくださってありがとうございます。




