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18話 当日

 日輪歴499年12月31日07時02分

 日輪歴500年の記念日の当日。


 ルカは早朝に街を出発する準備をしていた。

 昨日とは打って変わって身軽な服装で髪はポニーテールにまとめている。


 昨夜はお互い緊張しながらも、宿舎に戻ってからはいつも通り穏やかに過ごした。

 ルカには俺が考えていた作戦を話し、概ね了承してくれた。

 お互い不安はあったが、覚悟を決めた。


 「それじゃ、行ってきます。」

 「王都までは馬を急がせれば4時間ほどで着くだろう、私も後ほど合流しよう。道はわかるか?」

 「大丈夫よ、これでも小さい頃からお父さんと一緒に王都を往復してたでしょ。」

 心配そうに話しかけるロベルト団長をよそにルカは馬にまたがりながら自信満々にほほ笑む。


 「シエル……みんなをお願い。」

 「うん、気をつけてね!」

 ルカは騎士団の兵士2人と共に勢いよく馬を走らせる。

 

 「行っちゃったね……よかったの?」

 見送りにきていたミリアは俺にそう問いかける。


 「大丈夫、ルカも俺の提案を飲んでくれたんだ、うまくやるさ。」

 「ふーん、まあやるしかないか~。あ、前暴れてたあいつら、今日ギルドに来てたよ。」

 「何か動きはあった?」

 「今日公開した例の罠っぽいクエスト、あれが満員になってるのを確認したら満足そうに帰っていったよ。」

 ガドウ達を含めた流れの冒険者まがいの連中が内通者であることは間違いないだろう、今はあやしまれないように泳がせる方がいい。


 「それじゃ、ボクはもうギルドに戻るよ。」

 「ミリア、協力してくれてありがとう。」

 「君とルカのためだよ。じゃあ、あとはよろしくね~。」

 そういうとミリアはウインクするとギルドへと戻っていく。

 

 「よし、シエルくん我々も行こう。」

 「はい!」

 俺はロベルト団長と共に駐屯所へ向かった。

 


 ▼▼▼


 一方――


 「いや~この街の夕焼けは美しいですネェ。明日、ここが我々のものになると思うと楽しみですヨォ♪」

 ゴブリン師団の長、グレア・ダダニアは夕焼けに染まる都市を眺める。


 「駐屯していた王立騎士団はつい先刻、この街を出発した。ギルドの冒険者も例のクエストに食いついた、そいつらの始末は任せるぞ。」

 「いいですネェ、それでは私たちも準備しますカ♪」

 「俺たちは深夜に施錠される東西南北の物資搬入口を開放する、お前たちはタイミングを見て侵入してくれ。」

 ガドウとグレアは街を遠目に眺めながら会話を交わす。

 ここ数週間、獣人たちとの内通者としてこの街に入り込んだガドウ達だが、今日でこの街ともおさらばだった。

 しかし、達成感とどこかしこりのような異物感を感じていた。


 「グレア、この街に数日前から居座ってるガキには気をつけた方がいいかもしれん。」

 「ん?あぁ、アナタがコテンパンにヤラれたとか言う子供のことですカ?」

 「……まあ、そう言われたら返す言葉もないがな。」

 「あなたの仲間の話では、その少年はギルドで低級クエストをこなしたり買い物をしてる程度の話しか聞いてないですヨ。気に掛けるまでもありませんヨォ、それに、私を誰だと思っているんですカ♪」

 「そうだな、あんたほどの強さがあれば造作もないか。」

 「ま、覚えてたらアナタたちの報酬に上乗せして持ってきてあげますヨ。持ってこれるだけ原型を止めた部位があればの話ですけどネ。それでは、よろしくお願いしますヨォ♪」

 グレアはそう言い残すと森の闇へと消えていった。

 

 「よし、俺たちも行くぞ。時間まではアジトで待機、23時になったら街へ移動して配置につけ。」

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