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10話 冒険者登録

 日輪歴499年12月29日08時30分

 日輪歴500年の記念日まで残り2日となった。


 俺とルカは朝食をすませると冒険者ギルドへと出向く。

 目的は俺の冒険者登録だ、先日ミリアに話はつけていたためスムーズに登録は完了した。


 「はい、これがギルドカード、再発行は時間がかかるから紛失しないようにね~。」

 ミリアからギルドカードを受け取るとそれを俺はポケットにしまいこむ。


 冒険者にはSS、S、A、B、C、Dとランク分けされている。

 ギルドの依頼をこなしたり、功績をあげるなどすることでランクは上がっていく。

 俺は当然ながら冒険者登録を完了したばかりなのでD級冒険者だ。

 冒険者のランクに応じて受けられるクエストは制限される。


 俺が現在受けられるクエストは限られるが、今から冒険者ランクを上げている時間はない。

 クエストを受ける目的は資金と素材の調達だ。


 「ホロウの森の採取クエストを受けたい。」

 「は~い、ちょっと待っててね。」

 ミリアからクエスト依頼書を受け取ると内容を確認する。

 薬草と綿花の採取か、重量は軽いものばかりだしそれなりの量を持ち帰ることができそうだ。


 「ミリア、初級冒険者用のカバンと採取鎌を借りてもいいかな?」

 「もちろんだよ、はいどうぞ。あ、カバンには昨日話してあったものも入れておくから。」

 道具一式を借りると冒険者ギルドを出る。


 「このあとはクエストに行くの?」

 「そうしたいけど、まずは寄りたいところがあるんだ、ついてきて。」

  

 俺は足早に街の中央にある駐屯所へ向かう、目的は哨戒にきている王立騎士団への交渉だ。

 相手は数で勝る獣人たちだ、可能な限り協力がいる。

 堅牢な扉や外壁で作られた駐屯所は、見るものを圧倒する威圧感がある。

 入口には2人の兵士が立っていた。


 「ん?ルカじゃないか、この子は?」

 「あ、この子は親戚なの。今ロベルト団長はいる?」

 「今ならちょうど任務から帰られたところだからいらっしゃるよ、案内しよう。」

 どうやらルカは騎士団長と顔見知りらしい、というかこんな顔パスみたいな通し方で大丈夫なのか。


 「ルカと団長って知り合いなの?」

 「えーと、そうね、そうなるかな。」

 なにやら含みのある言い方だがスムーズに団長と交渉に持っていけそうなことは心強い。

 俺たちは奥の応接室へと通された。


 室内には大きなソファがあり、そこには立派な髭をたくわえた威厳のある軍人が鎮座していた。

 この人が王立騎士団のロベルト団長か。

 

 「ルカ!?」

 ロベルト団長はルカを見つけると、目の前まで歩み寄ってきた。

 髭と強面の顔、そして長身で頑強な体つきから近くで見ると恐ろしい迫力がある。


 「なんでしばらく顔を見せなかったんだ、心配したんだぞ!!」

 開口一番声がでかい、しかしその顔は先ほどまでの迫力はどこへやら、泣き入りそうに緩んでいる。


 「お父さんは忙しいんだから仕方ないでしょ、私だって冒険者ギルドの仕事もあるし。」

 「あんな質素な宿舎で生活しなくても、王都で冒険者とは無縁な生活をしたっていいじゃないか。」


 ……ん?お父さん?

 状況をよく呑み込めない俺はしばしその光景をながめるしかなかった。

作品をお読みいただきありがとうございました。


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